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第七章 青い炎のドラゴン! レベッカ究極進化
第57話 レベッカ、ビーストモード
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「まさか、最初から剣だったわけじゃないでしょ? 見せなさいよ、魔物としてのあなたの姿を!」
『いいのかい? しょんべんをチビッちまうぞ?』
「ワタシを誰だと思ってるのよ? こっちは剣術の心得も、ちゃんとあるのよ」
『わかったよ。正体を見た後で、怖気づいたって容赦しないよ』
「威勢だけはいいわね。レプリカ!」
『ああ、見せてやんよ。影打の意地ってものをさ!』
さんざん煽り合いをした後、レベッカちゃんがオレンジ色に燃え盛った。
『レーヴァテイン・ビーストモード!』
ウソだ。レベッカちゃんが、わたしに手加減をしていたなんて。
しかし、眼の前にいるそれは、明らかに異質な物体だった。
柄も刃も、わたしの知っているレベッカちゃんではない。
刃は生き物のようにねじれ、プリンテスさんの顔に突き刺さらんばかりである。柄も、プリンテスさんの握力から逃れようとしていた。
『どうだい。伝説の鍛冶屋! これが、アタシ様の本性さ! 通称、ビーストモードだよ』
「やばやばやばやばやばやばやばやばやば! ムリこれムリこれムリ! こうなったら、こっちも、巨大化するわよ。レーヴァテイン!」
『おうさ!』
プリンテスさんの身体が、みるみる膨れ上がってくる。
同時に、レベッカちゃんもモンスターのような姿へと変質した。
もはや今のレベッカちゃんは、剣というより鉄製の怪物だった。柄はワキワキと蠢き、柄頭からは蛇腹状のシッポが伸びる。
持っているプリンテスさんも、苦しそうだ。
レベッカちゃんが、モゾモゾと暴れる度に、プリンテスさんもレベッカちゃんの異形体を抑え込む。ときどきシッポを足首を絡め取られて、すっ転ぶ。
さながら、怪獣大戦争だ。
これが、魔剣の本当の姿だったとは。
「はあ、はあ。もういいかしら? あなたの強さは、だいぶわかったわ」
『おうさ。気にってもらえてなによりだよ』
ふたりとも、元の大きさに戻った。
「魔剣を持つと、本性を見たくなる性分なのよ」
「今のが、魔剣の正体なんですか?」
「そう。魔物としての性質を、剣という形に圧縮した感じ? ヘルムースから口で説明されるより、見たほうが早かったでしょ?」
わたしは、コクコクとうなずく。
たしかに、あれを剣と呼ぶにははばかられた。
あんなのは、剣じゃない。もっと別の物質だ。生き物を取り扱っていると言っても、過言ではなかろう。
『キャル、というか人間では、本当のアタシ様を扱えないからね』
「どうして、言ってくれなかったの? レベッカちゃん?」
『言ったところで、アンタがどうこうできるワケでもないからさ』
「でも、相談してもよくない?」
『アタシ様もアンタも、最強が目的じゃないだろうが』
たしかに、わたしがなりたいのは錬金術師だ。剣士になりたいわけじゃない。
同時に、レベッカちゃんも唯一無二ではあっても、到達点は最強とは言いがたかった。
最強になりたいなら、とっくにフルーレンツさんを吸収して、剣術をマスターしている。
『それにな、さっきの姿になったとしても、剣としての強さはアンタが持ったときと変わらないんだ。アンタの力を得ないと、調子は出ないんだよ。それは、アンタが一番わかったはずさ』
「うん。そうだね」
わたしは、納得した。
レベッカちゃんのいうとおり、魔力はわたしが持っていたときとまったく同じだった。姿が変わっただけで。
「ワタシが巨人形態を取ったのも、魔剣レーヴァテインの魔力を生身じゃ抑えられないからだったの。あなたに従っているのが、よくわかったわ」
プリンテスさんも、わたしとレベッカちゃんとの絆を称賛する。
レベッカちゃんは放置しておけば、化け物として暴れても仕方なかった。
それを、わたしが抑え込んでいるのだと。
「ぶっちゃけ、その子はあんたのいうことしか聞かないみたいだし」
「そうなんですね」
「ええ。もはや体の一部よ」
転んで打ったおしりを、プリンテスさんはずっとさすっている。
『けどね、アタシ様は驚いているんだよ。アタシ様の本性を披露しても、アンタはちっとも逃げなかったんだからさ』
「どうして、逃げる必要があるの?」
わたしとレベッカちゃんは、もはや他人ではない。
一心同体だ。
『そうさ。そんなアンタだから、ついていこうと思ったのさ』
「ありがとう。レベッカちゃん。正直に話してくれて」
『礼なんて。むしろ詫びなきゃいけないさ。今まで隠していて、悪かった』
「とんでもない。事情はわかったから」
『アハハ! それでこそキャルだね!』
バカ笑いをする。
「でも、魔剣を安定させるには、柄が大事ね。持ってみて、わかったわ」
プリンテスさんが、レベッカちゃんの弱点を突く。
「柄ですか?」
「魔剣の本質って、柄とか鞘の方なのよ。ドワーフのヘルムースが、迷いに迷いまくるわけよ」
そっか。
金属部分を扱うドワーフでも、怪物じみた素材はノーサンキューなワケだし。
「今以上に強化しようと思うなら、柄に有効な素材が必要ね。刃の部分は、打てばどうにでもなるわ」
「お願いします」
「あなたも、鍛冶に参加してもらうわよ」
「いいんですか?」
「そりゃあそうよ。これから、このレーヴァテインを一人で鍛えなきゃいけないんだから」
「ありがとうございます」
「いえいえ。こんな珍しい剣を触らせてもらえるなんて、こっちが感謝したいくらい」
その前に、プリンテスさんは休憩したいといい出した。
ゼゼリィが入れてくれた、お茶をいただく。
「なるほど、そんないきさつが」
プリンテスさんも、魔女イザボーラを葬ろうと思っていたらしい。
しかし、あの異界への扉が開かなくて、断念したという。
「そうだったのねー。勇者の血筋がないと開かない扉とか、ムリゲーじゃないのよ! せっかくワタシが、とっちめてやろうと思っていたのに!」
プリンテスさんが、イライラと悔しがった。
「あはは……ところで、これ全部魔剣ですか?」
「そうよ。これぜーんぶ、ワタシが作ったの」
部屋には、様々な形をした魔剣が飾られている。
円形の刃を持ったフリスビーのような形や、球体状のものまで。
「あのボールみたいなのも、魔剣?」
やはり、ヤトは子どもっぽくてカワイイ形状のモノが好きのようだ。
「あー。あれは、失敗作よ。自分への戒めとして、飾っているの」
剣の形を取らせようとして、あのまま固まってしまったらしい。
「あれを、妖刀の素材にしたい」
「いいわよ。あなたの妖刀も、あれで強化してあげるわ」
リンタローが、「よかったでヤンスね」と、手を叩く。
「あの、二本の角を組み合わせたような武器もですの?」
クレアさんが、特殊な形状の魔剣を指差す。
「そっちは、ゼゼリィが作ったものよ。筋がいいでしょ」
「いえいえ! オイラなんて!」
プリンテスさんに褒められて、ゼゼリィが頭をかく。
「ところで物は相談なんだけど、剣を強化してあげる代わりに、ワタシのお願いもきいてちょうだい」
「はい。なんでしょう」
レベッカちゃんを鍛えてくれるのだ。なんでも聞こうではないか。
「レーヴァテインを打つ、しばらくの間でいいの。このゼゼリィを、あなたたちの旅に同行してくれないかしら?」
「いいんですか? お弟子さんなのに」
「この子は、世間をあまり知らなすぎるわ。魔剣のアイデアも、頭打ちになっていてね。お願い」
「それなら、いいですよ」
他の仲間も、同意してくれた。
「じゃあ、ゼゼリィ。この子の……レベッカだっけ? 素材を集めてきてちょうだい。このお嬢さんたちと一緒に」
「わかりました、親方」
ん? こころなしか、ちょっとビビってる感じ?
『いいのかい? しょんべんをチビッちまうぞ?』
「ワタシを誰だと思ってるのよ? こっちは剣術の心得も、ちゃんとあるのよ」
『わかったよ。正体を見た後で、怖気づいたって容赦しないよ』
「威勢だけはいいわね。レプリカ!」
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『レーヴァテイン・ビーストモード!』
ウソだ。レベッカちゃんが、わたしに手加減をしていたなんて。
しかし、眼の前にいるそれは、明らかに異質な物体だった。
柄も刃も、わたしの知っているレベッカちゃんではない。
刃は生き物のようにねじれ、プリンテスさんの顔に突き刺さらんばかりである。柄も、プリンテスさんの握力から逃れようとしていた。
『どうだい。伝説の鍛冶屋! これが、アタシ様の本性さ! 通称、ビーストモードだよ』
「やばやばやばやばやばやばやばやばやば! ムリこれムリこれムリ! こうなったら、こっちも、巨大化するわよ。レーヴァテイン!」
『おうさ!』
プリンテスさんの身体が、みるみる膨れ上がってくる。
同時に、レベッカちゃんもモンスターのような姿へと変質した。
もはや今のレベッカちゃんは、剣というより鉄製の怪物だった。柄はワキワキと蠢き、柄頭からは蛇腹状のシッポが伸びる。
持っているプリンテスさんも、苦しそうだ。
レベッカちゃんが、モゾモゾと暴れる度に、プリンテスさんもレベッカちゃんの異形体を抑え込む。ときどきシッポを足首を絡め取られて、すっ転ぶ。
さながら、怪獣大戦争だ。
これが、魔剣の本当の姿だったとは。
「はあ、はあ。もういいかしら? あなたの強さは、だいぶわかったわ」
『おうさ。気にってもらえてなによりだよ』
ふたりとも、元の大きさに戻った。
「魔剣を持つと、本性を見たくなる性分なのよ」
「今のが、魔剣の正体なんですか?」
「そう。魔物としての性質を、剣という形に圧縮した感じ? ヘルムースから口で説明されるより、見たほうが早かったでしょ?」
わたしは、コクコクとうなずく。
たしかに、あれを剣と呼ぶにははばかられた。
あんなのは、剣じゃない。もっと別の物質だ。生き物を取り扱っていると言っても、過言ではなかろう。
『キャル、というか人間では、本当のアタシ様を扱えないからね』
「どうして、言ってくれなかったの? レベッカちゃん?」
『言ったところで、アンタがどうこうできるワケでもないからさ』
「でも、相談してもよくない?」
『アタシ様もアンタも、最強が目的じゃないだろうが』
たしかに、わたしがなりたいのは錬金術師だ。剣士になりたいわけじゃない。
同時に、レベッカちゃんも唯一無二ではあっても、到達点は最強とは言いがたかった。
最強になりたいなら、とっくにフルーレンツさんを吸収して、剣術をマスターしている。
『それにな、さっきの姿になったとしても、剣としての強さはアンタが持ったときと変わらないんだ。アンタの力を得ないと、調子は出ないんだよ。それは、アンタが一番わかったはずさ』
「うん。そうだね」
わたしは、納得した。
レベッカちゃんのいうとおり、魔力はわたしが持っていたときとまったく同じだった。姿が変わっただけで。
「ワタシが巨人形態を取ったのも、魔剣レーヴァテインの魔力を生身じゃ抑えられないからだったの。あなたに従っているのが、よくわかったわ」
プリンテスさんも、わたしとレベッカちゃんとの絆を称賛する。
レベッカちゃんは放置しておけば、化け物として暴れても仕方なかった。
それを、わたしが抑え込んでいるのだと。
「ぶっちゃけ、その子はあんたのいうことしか聞かないみたいだし」
「そうなんですね」
「ええ。もはや体の一部よ」
転んで打ったおしりを、プリンテスさんはずっとさすっている。
『けどね、アタシ様は驚いているんだよ。アタシ様の本性を披露しても、アンタはちっとも逃げなかったんだからさ』
「どうして、逃げる必要があるの?」
わたしとレベッカちゃんは、もはや他人ではない。
一心同体だ。
『そうさ。そんなアンタだから、ついていこうと思ったのさ』
「ありがとう。レベッカちゃん。正直に話してくれて」
『礼なんて。むしろ詫びなきゃいけないさ。今まで隠していて、悪かった』
「とんでもない。事情はわかったから」
『アハハ! それでこそキャルだね!』
バカ笑いをする。
「でも、魔剣を安定させるには、柄が大事ね。持ってみて、わかったわ」
プリンテスさんが、レベッカちゃんの弱点を突く。
「柄ですか?」
「魔剣の本質って、柄とか鞘の方なのよ。ドワーフのヘルムースが、迷いに迷いまくるわけよ」
そっか。
金属部分を扱うドワーフでも、怪物じみた素材はノーサンキューなワケだし。
「今以上に強化しようと思うなら、柄に有効な素材が必要ね。刃の部分は、打てばどうにでもなるわ」
「お願いします」
「あなたも、鍛冶に参加してもらうわよ」
「いいんですか?」
「そりゃあそうよ。これから、このレーヴァテインを一人で鍛えなきゃいけないんだから」
「ありがとうございます」
「いえいえ。こんな珍しい剣を触らせてもらえるなんて、こっちが感謝したいくらい」
その前に、プリンテスさんは休憩したいといい出した。
ゼゼリィが入れてくれた、お茶をいただく。
「なるほど、そんないきさつが」
プリンテスさんも、魔女イザボーラを葬ろうと思っていたらしい。
しかし、あの異界への扉が開かなくて、断念したという。
「そうだったのねー。勇者の血筋がないと開かない扉とか、ムリゲーじゃないのよ! せっかくワタシが、とっちめてやろうと思っていたのに!」
プリンテスさんが、イライラと悔しがった。
「あはは……ところで、これ全部魔剣ですか?」
「そうよ。これぜーんぶ、ワタシが作ったの」
部屋には、様々な形をした魔剣が飾られている。
円形の刃を持ったフリスビーのような形や、球体状のものまで。
「あのボールみたいなのも、魔剣?」
やはり、ヤトは子どもっぽくてカワイイ形状のモノが好きのようだ。
「あー。あれは、失敗作よ。自分への戒めとして、飾っているの」
剣の形を取らせようとして、あのまま固まってしまったらしい。
「あれを、妖刀の素材にしたい」
「いいわよ。あなたの妖刀も、あれで強化してあげるわ」
リンタローが、「よかったでヤンスね」と、手を叩く。
「あの、二本の角を組み合わせたような武器もですの?」
クレアさんが、特殊な形状の魔剣を指差す。
「そっちは、ゼゼリィが作ったものよ。筋がいいでしょ」
「いえいえ! オイラなんて!」
プリンテスさんに褒められて、ゼゼリィが頭をかく。
「ところで物は相談なんだけど、剣を強化してあげる代わりに、ワタシのお願いもきいてちょうだい」
「はい。なんでしょう」
レベッカちゃんを鍛えてくれるのだ。なんでも聞こうではないか。
「レーヴァテインを打つ、しばらくの間でいいの。このゼゼリィを、あなたたちの旅に同行してくれないかしら?」
「いいんですか? お弟子さんなのに」
「この子は、世間をあまり知らなすぎるわ。魔剣のアイデアも、頭打ちになっていてね。お願い」
「それなら、いいですよ」
他の仲間も、同意してくれた。
「じゃあ、ゼゼリィ。この子の……レベッカだっけ? 素材を集めてきてちょうだい。このお嬢さんたちと一緒に」
「わかりました、親方」
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