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第25話 歓迎会を開いてもらいました。

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「ようこそ!!ランメルトヘ!!」
え、なにこれ。扉が開いたタイミングで、みんな声を合わせて…。人数的に全員参加してそうだし、それに壁に"ようこそ!サトさん!"って貼ってある。どうしよう。すごく嬉しい。

「サト!ビックリした?」
「リュカ!そりゃビックリするよ。皆さんありがとうございます。」
「新しいメンバーが入ったときはこうやって全員集合でパーティーするんだよね!あとで、宿屋の親父さんにもお礼言っとかないと!」
「え?」
「サトがこっちに来るようにお願いしておいたんだよね。」
「あぁ!だから夕飯休みって言ってたのか!」
「そういうこと!」

「サトさん、初めましての人が多いと思うので、是非皆さんとお話してみてください。面白い方ばかりですので。」
「リアムさん!そうやってハードル上げるのよくないですよー!じゃ、みんなで乾杯しますか!マスター!お願いします!」

「グラスをどうぞ。」
「リアムさん。ありがとうございます。」

「はい。ではみんなグラスは行き渡ったかな?じゃ手短に。新メンバーのサトさんです。サトさん。ようこそ。ランメルトヘ。みんないい人で頼りになるので是非仲良くしてくださいね。ではサトさんからみんなに一言お願いします。」
「皆さん。初めまして。サトと言います。この国に来たばかりで常識はずれなところもあるかと思いますが、よろしくお願いします。」
みんな笑顔で聞いてくれてる。
「ありがとうございます。では、新メンバー、サトさんに!乾杯!」

「乾杯!!」


「サトさん。リュカから怪我をしたと聞いたのですが、大丈夫ですか?」
「あぁ、少し腕を擦りむいたくらいなのでリアムさんに心配していただくほどのものではないですよ。それにもうなんともありません。」
「そうですか。無事ならなによりです。ですが、小さな傷でも命取りになることがあるので気を付けてくださいね。」
「それ、リュカにも言われました。気を付けます。」
「もし、依頼を受けるようでしたら僕も一緒に行きますので遠慮せず言ってくださいね。」
「ありがとうございます。じゃ、リアムさんが依頼を受けるようでしたら私も一緒に行きますので遠慮せず言ってくださいね。」
「ふふ。分かりました。」

「サトさん。」
「あ、マルタンさん。」
「サトさん、薬ありがとうございました。無事間に合いました。」
「はい。マスターから伺いました。本当に良かったです。」
「実は死の魔物にかかった子は俺の甥でして。本当に助けて頂いてありがとうございました。」
「甥っ子さんだったんですね。」
ん?てことはマルタンさんって貴族なの?なんで冒険者に?

「2人ともちゃんと飲んでます~?」
「ポールさん。それにフレデリックさんも。」
「こんばんは」
「隊長と何話してたんです~?」
ポールさん、もう酔っ払ってんのかな?
「何って…甥っ子さんのことを伺ってました。」
「ああ~、本当その節は助かった。ありがとう。」
こういうところはポールさんもきちんとしてるんだね。
「いえ、無事に間に合ったみたいで良かったです。」
「うんうん。俺達さ、サトちゃんには期待してるからさ、本当よろしくね。」

「あの、言いたくなければ全然大丈夫なんですけど、お2人は子供の頃何かあったのでしょうか?」
「あーそれね。そりゃ気になるよね。あんだけ熱く語っちゃったし。俺とフレデリックはさ、親がいなくて、物を盗みながら毎日城の兵隊から逃げ回って暮らしてたんだよね。他にも仲間は何人かいたけど……ね。ま、そんな感じ。」
「そんな生活をしていて、もう生きてる意味あるのかなって人生を諦めてた時、マルタン隊長に出会ったんです。それで、俺とポールを拾ってくれて。そこから人生が大きく変わりました。でも、俺たちは運良く拾ってもらえましたけど、そんな子ばかりじゃない。だから、今度は俺たちがそういった子の手助けが出来ればなと思ってます。今は週に1度そういった子供たちのところに出向いて食料を提供したりしています。」
そんな活動してたんだ。

「マルタン隊長には本当感謝してる。」
「はい。僕らは一生マルタン隊長について行きます。」
「お前ら……。そんなこと言ってくれるなんて俺も嬉しいよ。」
3人とも涙目で男の固い友情って感じ。本当に仲良いんだな。

「お話聞かせて頂いてありがとうございます。」
「いや。全然構わないさ。で、サトちゃんはどうして子供達の施設作りたいって思ったの?」
「そうですね。純粋に子供が好きって言うのもあるんですけど、なんて言うか、子供ってすごく純粋で希望に満ちあふれていて、夢とかやりたいことに対してまっすぐで。でも、生まれた環境によってそういったことを諦めなくちゃいけないのはなんか違う気がして。それを少しでも無くすことができればなって思ってですかね。
……後は、私弟がいて9歳の時に病気で亡くなって……。弟はお医者さんになるって夢があって。でも叶えられなくて……。だから、他の子には夢を叶えてもらいたいなっていうのもあると思います。すみません。まとまってなくて。」

「いやいや。なんか俺らこそ…話してくれてありがとな。あ、そうだ!今度、俺らが仲良くしてる子供達を紹介するよ。サトちゃんもきっとすぐ仲良くなれるだろうし。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「さぁ!今日はぱーっと飲みますか!ほらサトちゃんも飲んで~飲んで~!」
「ポールさん、無理強いしちゃだめですよ。」
「もう~フレデリックは堅いこと言いすぎ~。」
「あぁありがとうございます。」
「あ、ちょっとまった~。一応確認だけど、成人してるよな?」
ここの成人って15歳だよね?

「ポールさん。私そんなに子供っぽく見えます?」
「見えるから聞いたんだけど~?」
ものすごくからかわれてる気がする。
「とっくの昔に成人してますよ。」
「まじか~じゃーどーぞー。ってこれアルコール入ってないけどね~」
「え!?入ってなかったんですか!?じゃなんでそんな酔っ払ってる風…?」
「こうした方が話しやすいかな~って。」
「え、俺も気がつきませんでしたよ。」
「え!フレデリックさんも気がつかなかったんですか?」
「まっ俺の演技力のすごさかな~」
めんどくさいからそうしておきますか。

「ポールさん。すごいですね。流石です。」
「ちょっサトちゃん、何その棒読み~」
「さっきのお返しです。」
「ふふやりおるな~。」


みんな盛り上がってて楽しそうだな。各々、踊ってたり、ふざけて笑ってたり…。初めましての人とも話せたし、こういう会を開いてもらって本当感謝だな。ただ名前覚えるのが大変だってことを除けば。コツコツ覚えていこう。
そういえば今更だけど、冒険者で女って私だけなんだな。メイドさんとかで女性はいるけど……。

あぁーまさかこっちの世界でこんなにも充実した日が過ごせるなんて思わなかったな。本当、こっちに来たとき国王には出て行けって言われて、無一文で、飢え死にする可能性だってあったのに、周りの人が助けてくれて。みんな親切でいい人ばかりで、本当、人に恵まれたな。こんなに幸せで良いのかな。
ああーなんか飲み過ぎたかな?涙が……ってこれアルコール入ってないんだった。

「これ、よかったら。」
ハンカチ…。
「ありがとう。」
リュカ。じゃないノアか。
何も言わずに隣にいてくれる。ノアとはあまり接点がなかったけど、一緒に居るとなんか落ち着くな。

「みんな!今日はそろそろお開きにしよう。」
「えーマスターもう少し!」
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