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第3段階

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 どうも。ユナです。ただいま謹慎中。とってもとっても退屈です!誰かここから連れ出してくれません?冗談抜きで!

理由はやはりあの『魔法披露』である。あれがお父様の逆鱗に触れてしまった。なぜなら、私の火魔法……いや、もはやそんな威力じゃないな……。適当にまぁ『荒野』とでも呼ぼうか。そのまんまだけど。とにかく、その『荒野』が字のごとく的を含めたその他もろもろを焼き飛ばし、人的被害はなかったものの物理的被害は相当だったらしい。その被害額が……ねぇ。笑っちゃう額になっちゃって。お父様の怒りが爆発した……というわけだ。
 おかげで謹慎されてから1週間。やっと明日から学院に行けるわけで。まぁ、学院には行きたいわけではないが、こんな退屈な日々よりはましだ。お父様と言ったら1週間前に「頭を冷やせ」と言ったっきり口を聞いてくれない。

 しょうがないじゃん!まさかあんなにチート級だとは私も思ってないって!それにしても……火魔法がこれなら、他の魔法ではいったいどうなるんだろ。後で実験だな!これは。でも、やっぱり魔法のこと知られるのはまずそうだなぁ。全魔法コンプリートとか目立つこと間違いなし。目立たない……ねぇ。

 ………もう遅いけど……これ以上目立つよりは…まぁいいかな。

「お嬢様。」
「モナ!どうしたの?」
「どうしたの?じゃありませんよ!少しは反省なさいました?明日から学院ですし。魔法の制御はちゃんとなさってくださいね。魔法には長けていらっしゃるんですら。人一倍気をつけないと行けません!」

モナの口調は説教じみていたが、それは私をユナを思ってこその言葉だったから。ただ嬉しかった。愛されているんだなぁって感じることができるから。お父様もお母様もきっと……
「わかったよ。気をつけます。ありがとう……モナ。」
「……いいえ。つい説教じみちゃってすいません。お嬢様は昔からおてんばさんですもんね。」
「そうなの?」
私は幼少期のユナを知らない。ユナの記憶があると言っても、物心つく前のことなんてユナ自身もあまり覚えてないだろう。
「そうですよ。おてんばさんで困ったものです!今も…ですけどね。」
「アハハハ」
釘を刺されて返す言葉のない私は、ごまかすことにした。おてんば……ねぇ。悪役令嬢がおてんばって。まぁいっか。そんなこんなで明日から学院でございます!退屈生活から解放です!

 
 ……学院に戻ったのはいいんだけど。

 学院に入る時かいたプロフィールがなぜか公開されてます!

 よかったぁ。嘘かいといて。そして『魔法披露』で偶然にも火魔法をやっといてよかった。危うく、嘘がばれるとこだった。てか、なんで公開されてんの?個人情報でしょ?この学院はプライバシーとかないわけ?
「ユナ!ごきげんよう!やっと出てこられたのね。」
こちらはアイリス。私のお友達だ。そして
「あら。ユナ!会いたかったわ!」
そして今ものすごい力で抱きついてきたのはルマンダ。こちらもお友達だ。
「ちょっと!痛いわ!ルマンダ。久しぶりね。私も2人に会いたかった!」
私も2人に抱きついた。
「あぁ。ごめんなさい。つい」
「いいのよ。」
2人はその後、それぞれ急ぎの用があるらしくその場を後にした。さてと……私は…
「おい!お前!」
ん?あぁクリスト。って…クリスト!?とっとにかく……
「何か?ご用ですか?」
私は素っ気なく返す。多少声は裏返ったが「なんで、火魔法しか使えないことになってるんだ?お前もっと魔法使えただろ?」

あっ……こいつ私の魔法事情知ってるわ…
そういえば、小さい頃ユナがよくクリストに見せていたっけ。ゲームのちょっとした回想シーンにあったような。

自慢してたな…しまくってたな!おぉっと。めんどくさいことになったぞ。ユナ。

「なんのこと?何かの間違いじゃない?」
「そんなわけあるか!小さい頃からの中だろ!婚約破棄は別として。」
シラをきってもダメかー。って婚約破棄のことはいいでしょ!別として……とか思ってるなら言うなよ!……でもさぁ。
「だから?あれが仮に嘘だったとして。どうするの?」
嘘はばれたとして、これをどう切り抜けるか。ってなわけなんだけど。どうしよう。
「別に?どうしようとも思ってないけど?ただ気になっただけで……」
「は?」
「だからっおかしいだろ?普通なら自慢できることだろ?それなのに。隠すなんてさ。」
あぁ。……なんだ…そーいうこと。びっくりさせなでよ。
「あいにく、私は自慢話が好きではないの。あまり悪目立ちもしたくないし。じゃあね。王子様。」
「あ……あぁ」
……それだけ?もっとなんか言われるかと思ったけど。それなりにクリストも成長したのかなぁ。それとも全部が全部残念ってわけじゃなかったってことかもね。今さらどうでもいいけど。

私の『スローライフ計画』第3段階。それはまだ始まったばかりである。次のストーリー開始までもう少し。頭をひねって考えを練ろう。

 魔法学院を何事もなく、おさらばする方法を。

 ところであの公開プロフィールのことだが、あのあと、私の分だけうまく回収させて頂いた。あんだけたくさんの生徒のがあれば、ばれないだろう。全く失礼な話である。個人情報は大切なのだ。

 ついでにムカついたから、全生徒の公開プロフィールを氷漬けにしてきたけど、あそこは日があたる。明日の朝には使い物にならなくなっているだろう。これにこりてあんな取り組みやめて欲しい。



 万が一同じことをしたら、次は緑の災いが起こるだろ。

そう書き置き済みだ。
 
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