王子様⁉️いや、それよりスローライフ‼️

第７段階

　あれ？私……何してたっけ……
なんか……長い夢でも見てたような……
「…ナ！」
？何？誰か私を呼んでる？
「ユナ！」
「……へ？」
突然、視界が開けた私は、抜けた言葉しか口に出せなかった。
「ア……アレン？どうしたの？」
状況が理解できない……何これ、どうなってんの？何でアレンは私を抱き抱えてるの？……ん？ちょっと待てよ。私たち……もっと凄いこと……なんかしなかったっけ？
「ユナ！もう、勘弁してよ……もう、目を開けないかと思った……」
ちょっと……なんなの？アレン様泣いてるんだけど。どういうこと？
「？？何で？……てか、爆発は？」
アレンは涙を拭いて笑った。
「ユナは相変わらず、バカだね……」
「は？バカ？」
何よ！なんなのよ！失礼しちゃう！
私の顔を見たアレンがさらに笑った。
「……で、爆発は？」
「あぁ、起きなかったよ。爆発なんて。」
「？なんで？」
爆発起きなかったの？あの空気を読まない『暗殺者』があんなに嫌味ったらしく言ってたのに？私は『暗殺者』をにらんだ。
「な……なんだよ！」
「爆発……起きなかったけど？」
「ちっ！ほんとだよ！何で起きないんでしょうね！こっちが聞きたいわ！」
暗殺者……逆ギレ……
「そんなこと……僕らに言われても……ねぇ？ユナ。」
「うん。ところで……アレン……」
「何？」
そう、さっきからずっと気になってたんですよ……
「……アレンもだけど、何でみんな泣いてるの？後、暗殺者……危機的状況」
そうなのだ。さっきからずっと気になってた。みんなが泣いてることと……暗殺者が……ねぇ。今にも、首切られそうな状態っていう……
「おい！逆殺姫！なんとかしろよ！お前のせいだからな……俺はお前に何も仕掛けてねーよ！早くどうにかしてくれ！」
「？」
何いってるんだろ？
「そうだよ？ユナ。あれは間違いなく……君のせいだな。」
爽やかに笑うアレン。ちょっと怖いのは私だけ？
「何よ？私のせいって……」
「君が倒れるから……」
「私が？」
まぁ、記憶はなんか飛んでるけど……
「言ったろ？ユナ。爆発は起きなかったんだ。でも、君は倒れた。」
「うん？」
「まぁ、君は寝てただけみたいだけど。とにかく、それで……君に何か盛られたのかと。」
「盛られた？」
「あぁ。そこの彼に疑いが行ったわけだ。まぁ……彼は命拾いしたようだね」
……なるほど。少し分かった。
「くそっ！そもそも……そもそもだ！何で爆発しないんだよ！」
「……さあ？僕らに言われても。」
「じゃあ、誰だよ！」
もはや、コントである。
「君の爆弾が不良品だったんじゃないか？」
「んなわけあるか！俺はプロだぞ！」
「……お前、プロなのか。さて？そんなやついたっけな……」
ん？アレンが……なんか楽しそう。てか、絶対なんかたくらんでるぞ……あれ。
「何だと！俺はあのカリバーだぞ！」
「あぁ、あのカリバー家？」
「ふん！」
「そうか。あいつら、どこにいるんだろうな……全く掴めないんだ。実に残念だよ。」
「アハハハ！名高いお前らでも分かるまい！あの◯◯にあるんだからな！」
……あ。こいつ、今……言ったわ。アジト……
「ほぉ。あの◯◯か？あそこは険しい。行き方に何かコツがあるはずなんだ……」
「お前らに分かるものか！俺たちしか知らない◯◯を◯◯して行く方法なんか！」
……こいつ、バカ？バカなの？自分でしゃべってら。
「おぉ！どこから入るのだ？俺は頭が悪くてな……」
「ハハハ！頭の悪いお前らには分かるまい。◯◯にある抜け道なんて！」
……あぁ。こいつ、ほんとにバカ。全部しゃべったわ……
アレンが兵士に言いつける。
「おい。今の聞いてたな？行け。引っ張り出せ。」
アレンは暗殺者に向き直った。
「情報提供、感謝する」
「……！あ……な…何だと！卑怯者！」
暗殺者……お前が悪い。諦めろ。お前、バカだわ……

しかも……相手が悪い。

　私は……してやったと笑うアレンと悔しがるバカな暗殺者を見て、苦く笑うしかないのであった。