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第1章
記憶が甦ります
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(1章 1話と2話の間の話)
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気づくと、あの時のことを何度も思い出してしまっている。
殿下の顔を。
殿下の手を。
殿下に…されたことを。
思い出したくなんてないのに。
窓を拭いているとき。
シーツを集めているとき。
食事をしているとき。
…眠っているときでさえ。
不意に、あのときのことを思い出してしまう。
どれだけ嫌がってもやめてくれず、楽しそうに私に触れた無遠慮な手を。
嫌がる私を面白がっていた瞳を。
耳の穴に無理矢理ねじ込まれた舌先を。
縛られて身動きの取れない私の体の奥を抉って、心までをも踏みにじった殿下のモノを。
頭が、体が、心が思い出す。
恐怖に体が竦むと同時に、体の奥で熱い何かが脈を打つ。
必死にそれから目を逸らして、言い聞かせる。自分に。
嫌…だ……私、は…そん…な、の…望ん、で……ないっ…!
湧き上がる衝動を振り払う。
認めたくない気持ちを、体の奥底に封じ込める。
殿下の…声が…耳に…甦る…
「また、声かけるよ」
ぶるりと体が震えた。
怖い。
嫌だ。
逃げ…たい。
けれど、ここは私の職場で。
逃げ出せる先なんてなくて。
もし、殿下にまた会ったら、拒む術なんてない。
ただのメイドの私には。
だから、祈る。
どうか、殿下に見つかりませんように。
どうか、殿下が気まぐれを起こしませんように。
どうか、殿下が私の顔など忘れてしまいますように。
どうか、殿下が二度と私に興味を持ちませんように。
震える手で、お腹を押さえた。
殿下に、戯れに欲望を吐き出された場所を。
触れたところの内側に、熱い感覚が甦った。体の奥の、一番深いところを殿下に蹂躙されたあの感覚。
それを忘れたくて、ぎゅっと目を瞑った。
どうか…殿下のお子…を…妊娠して…いま、せん…よう、に…。
それだけ、は…どうか…どう…か……。
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気づくと、あの時のことを何度も思い出してしまっている。
殿下の顔を。
殿下の手を。
殿下に…されたことを。
思い出したくなんてないのに。
窓を拭いているとき。
シーツを集めているとき。
食事をしているとき。
…眠っているときでさえ。
不意に、あのときのことを思い出してしまう。
どれだけ嫌がってもやめてくれず、楽しそうに私に触れた無遠慮な手を。
嫌がる私を面白がっていた瞳を。
耳の穴に無理矢理ねじ込まれた舌先を。
縛られて身動きの取れない私の体の奥を抉って、心までをも踏みにじった殿下のモノを。
頭が、体が、心が思い出す。
恐怖に体が竦むと同時に、体の奥で熱い何かが脈を打つ。
必死にそれから目を逸らして、言い聞かせる。自分に。
嫌…だ……私、は…そん…な、の…望ん、で……ないっ…!
湧き上がる衝動を振り払う。
認めたくない気持ちを、体の奥底に封じ込める。
殿下の…声が…耳に…甦る…
「また、声かけるよ」
ぶるりと体が震えた。
怖い。
嫌だ。
逃げ…たい。
けれど、ここは私の職場で。
逃げ出せる先なんてなくて。
もし、殿下にまた会ったら、拒む術なんてない。
ただのメイドの私には。
だから、祈る。
どうか、殿下に見つかりませんように。
どうか、殿下が気まぐれを起こしませんように。
どうか、殿下が私の顔など忘れてしまいますように。
どうか、殿下が二度と私に興味を持ちませんように。
震える手で、お腹を押さえた。
殿下に、戯れに欲望を吐き出された場所を。
触れたところの内側に、熱い感覚が甦った。体の奥の、一番深いところを殿下に蹂躙されたあの感覚。
それを忘れたくて、ぎゅっと目を瞑った。
どうか…殿下のお子…を…妊娠して…いま、せん…よう、に…。
それだけ、は…どうか…どう…か……。
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