サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

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第六章 ベトナム旅行記・アイスコーヒーウイズミルク

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  十時間の列車の旅、やれやれの再会

        第八話


 夜行列車で向かうラオカイは中国との国境の町、中越戦争では戦場となり、国境のナム・ティー川に架かる橋が破壊され、貿易も途絶えていた。

 一九九三年に再び国境の門が開かれ、一九九六年にはハノイからラオ・カイまでの貨物列車が走った後、同年四月に十八年ぶりにハノイと中国の昆明とを結ぶ国際列車の運行が再開された。

 ※ベトナム戦争で全世界を味方にしたベトナムは三年後の一九七八年暮れに紛争状態にあったカンボジアに侵攻した。
 これに対し以前よりベトナムと対立関係にあった中国は懲罰を加えるとして、翌年早々にベトナム領に中国人民解放軍を送り込んだ。
 中国は次々とベトナム国境の町を破壊したが、ベトナム軍の激しい抵抗のため、翌年三月に目的を果たしたとして撤退した。


 さて、列車はホン川(紅河)のほとりを北上して走り、ラオ・カイには翌日午前八時頃に着く予定とのことだ。

 僕は暑さを少し気にしながらも、疲れていたのかぐっすりと眠り、目が覚めたら午前六時半頃だった。

 窓の外を見ると、ホン川沿いに所々に点在する粗末な民家では朝御飯の支度をしている様子が窺えた。
 窓からは涼しい風が入り、気持ちの良いすがすがしい好天の朝で、僕はしばらく外の風景を眺めていた。

 この辺りは全くの田舎で、一応電気は各家庭に通じているらしいが、列車から見える子供達は殆どが裸足で、着ている服も長く洗濯をしていないのか随分汚れているように窺えた。
 大人達は農業に従事しているのだろうが、その暮らし振りは貧しいものであることは十分推察できた。

 時々停まる駅には、迎えの人たちが大勢集まってきていて、車窓から窺える範囲では所々にしか民家がないのに、何処からこれだけの人が集まるのだろうかと不思議に思った。

 列車から降りた乗客は、出迎えの人とたくさんの荷物を持って、談笑しながらそれぞれの家に散っていった。
 ハノイにはこの田舎にはない品物を買出しに出かけるのだと思われるが、往復の運賃は貧しい人達にとってはかなりの負担になるのではないかと余計な心配をしてしまう。

 そんなことを感じながら窓の外を見つづけていたが、よく寝ていたベトナム青年もそろそろ目が覚めたようだ。

 「おはよう! よく寝れたかい?」

 「ぐっすり眠れましたよ、いい朝だ」 挨拶を交わすと彼は洗面に立った。

 外の風景は次第に民家が多くなってきて、終着駅のラオ・カイが近づいていることを示していた。

 列車内は洗面やトイレに立つ乗客で騒がしくなり、朝食のフランスパンやロールケーキや飲み物を販売するワゴンサービスも狭い通路を行き来している。

 僕は食欲は十分にあるのだが、何故だか全然お腹が空いてなくて、きっと自分の気が付いていないところで緊張しているのかもしれないと思った。

 午前八時を少し過ぎた頃に列車はようやく終点のラオカイ駅に到着した。

 僕は青年と握手をして、「See you again. Good luck.」と言葉を交わし別れた。(脳天気なフランス娘達は、列車が着いたのも知らないでまだ寝ていた。

 バックパックを背負って列車から降りて改札に向かうと、そこはあっという間に人の山であった。

 改札に出るまでのところでサ・パ方面のミニバスチケット(二万五千ドン・・・一九二円くらい)が売っていたので購入したら、案内の青年がここで待ってくれというので、駅舎内の待合室のようなところに入って待った。

 しばらくして同じコンパートメントだった脳天気フランス娘達がチケットを購入して、同じ待合室に入って来た。
 僕は知らん顔していたのだが、そこは社交的な欧米人だ、僕に気さくに話しかけてきた。

 「は~い、あなたもサ・パに行くのだね」

 「そうだけど、君達も?」

 何だかだうんざりした気分になったが、でもよく見たら皆んな結構綺麗なのだ。
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