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第二十七話 一度エネローワへ帰ろうか

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アドレーとマリアは、ランシッグの王都で1週間程、アーサー王と共にドルイダスの研究の為に、滞在した。

ドルイダスの力を生活に活かす研究は進んだが、アドレーのランシッグ訪問は今回、急に決めたものだった為、一度帰って王と話す必要が出てきた。

「アーサー、まだまだ研究の途中だが、一度帰る事にするよ。」

「そうなのか?まぁ、今回はエネローワの書庫で見つけた書物の信憑性を確かめる為の訪問だったからな………本来は。」

「ああ、でも、それがこんなにも色々と事態が変わり、エネローワ王へ報告しなくては行けないことが山のように溜まってしまった。」

「そうだな。しっかりと婚約の報告をしてこい!」

アーサーがアドレーの背中を叩く!

「う!痛いな。まぁ、そうやって勢いをつけて王には報告しようとは思うが、本当は国民にも婚約を知らせたいんだよな…………でも、ドルイダスの汚名をそそぐ事と、ザスベエリ真教会の教えを変えないと、マリアの立場が危うくなるからな……本来は教会を解体できれば良いんだけど、300年続いたものをなくすのは、国民の手前、さすがに無理があるだろう……。マリア、すまない。」

「いいえ、アドレーさんがそう思うならその通りされるのが良いと思いますよ。何より国民を思われる貴方を誇りに思います。」

「マリア、ありがとう。でも、思うところがあるなら言ってくれよ?私は君の事も国と同じくらい大事なんだから。」

「分かりました。そうします。」

「おい、おい、私の前で、いちゃつくのは止めてもらおう。」

「す、すみません。ランシッグ陛下。」

「ハハハハハハハ!このくらい許せよ、アーサー、これからはお互いにドルイダスの技術を使って、豊かに暮らす為に共に研究する仲間になるんだからな。」

「ああ、その為にも王へ話すときは慎重にな。」

「分かってる。」

こうしてアドレーとマリアはランシッグ王国に一度、別れを告げ王都を後にするのでした。

エネローワへと向かう馬車の中、アドレーは思い出したように、マリアに訪ねる。 

「なぁ、その指輪を通すと、イデアルと会話できたんだよな?」

「ええ、何か聞きたい事でも?」

「本当に今さらだけど、あの暗殺者の身元が分からないか、聞いて欲しいんだ。」

「分かりました。」

マリアは指輪に意識を向け、語りかける。

『イデアルさん、聞こえますか?』

『ん?ああ、マリアか、どうかしたかい?』

『あの、イデアルさんそばに、暗殺者が倒れていると思うのですが、何か遺品など、ありませんか?アドレーさんが、身元を知りたいそうなんです。』



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