生身の男とAI、両方イケメンならどっちが良い？

『初恋の人』

高校時代、隣に住む蒼あおの自宅に遊びに来ていた翠みどりさんを見て、一目惚れした。
背が高く手足が長いモデル体型、落ち着き払った振る舞い。
一度目にしたら忘れることが出来ない洗練された美しい顔立ち、意味深な視線。

一瞬にして心を鷲掴みにされた。


「ねぇ、どうだった・・？俺との初夜は」

「へっ？！」

思わず変な声が出て、腰が抜けそうになる。
朝礼前、給湯室でコーヒーをいれていたら、いつの間にか副社長が後ろに立っていた。


「蒼から聞いてるよ。君のオーダーメイドの夫は、俺がモデルなんだって？」

「えっ、あ、あのっ・・・それは・・・」

「そんなに顔真っ赤にしちゃって・・かわいいね。照れてるの？」

（え・・これ本物の副社長・・・？それとも緑みどり君・・・？！）

信じられないほど甘い言葉をサラリと吐く副社長に、寝不足の頭が大混乱を起こす。

「昨夜は俺と・・・新婚初夜、だったんだよね？」

長身の彼が壁に手をついて、私を見下ろしている。

（何これ少女漫画の世界・・・！？副社長・・・・っ・・・朝から刺激が強すぎます・・・・ッ♡）

緑君との熱い一夜を思い出して、身体が疼く。

耳元で囁く、甘い声。
私の気持ちイイ部分を寸分の狂いもなく的確に擦り上げながら、中に熱い精液を放った彼の荒い吐息。

何度も蘇ってくる快感。AIの緑君との熱い新婚初夜。


「俺の身体は、そんなに良かった？」

顔真っ赤だよ？と耳打ちする彼に、私のちっぽけな脳みそはすぐにキャパオーバーを迎えた。

「ふ、副社長・・・っ・・・」

副社長と緑君が、ごちゃ混ぜになって頭が混乱する。

（昨日の夜私を抱いたのは・・・もしかして副社長・・・・！？）

「あはは、蒼から聞いてはいたけど、君って本当に面白い子だね。」

「え・・・・っ？！」

あたふたと馬鹿面を晒す私とは対照的に、副社長は世にも美しい微笑みを浮かべていた。

（副社長ってこんな顔して笑うの・・・？？かっこよすぎなんですけど・・・・♡）

いつもクールな副社長の笑顔。
私はギャップにやられてしまい、彼から目が離せなかった。