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♡『安心と執着心』(SIDE 有明 総司)

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~~~~登場人物~~~~



♡有明 総司(ありあけ そうし) 34歳 内科医

サラサラのマッシュルームヘア。色素の薄い茶髪。クォーター。
童顔で30代には見えない優男。いつもニコニコしている。
朗らかで柔らかい雰囲気の内科医。大人気の医師で外来はいつも混雑している。
後輩として面倒を見ている篠医師のことが大好きで、とても可愛がっている。


♡篠 直人(しの なおと) 29歳 内科医師

ボサボサの黒髪。黒縁メガネ。小柄で白衣がぶかぶか。童顔で学生に見えるが、内科の新米医師。
ドジっ子でいつも何かしらやらかしている。
薬剤部の羽山とは小学校からの同級生で親友。一生懸命で真っ直ぐな性格。純粋で鈍感。



♡音川 直佳(おとかわ なおか) 41歳 非常勤内科医

185センチの長身、細身。食べても太れない体質。実は大食い。
いつも何かを食べている。食べることが大好き。
真ん中で髪を分けているが、髪質がストレートでサラサラのため、すぐに落ちてきて目にかかるのがストレス。
内科医の欠員補充のため、愛治医療センターから引っ張ってきた道原院長の後輩医師。
週に2回だけ外来を担当する臨時の内科医。
飄々としていて適当な冗談ばかり言うが、内科医としては優秀。
人の心理を読むことに長けていて、後輩をからかうのが好き。有明の大学の先輩。






~~~~~~~~~~~



♡『安心と執着心』(SIDE 有明 総司)


僕は、しのに出会って人並みの恋心というものを初めて知った。

初めて、というのは語弊があるかもしれない。
初恋は研修医時代に経験した。

自分が自分でいられなくなるような激しい感覚で、「良い思い出」というよりは「怖い体験」と言う方がしっくりくる。

狂おしいほどの、激しい感情。
自分の中に飼い慣らすことのできない、コントロール不能のモンスターがいるような気分で、彼と出会ってしまったことを後悔するほどに僕は追い詰められていた。

篠に抱く感情は、その時のものとまるで別物だ。
いつも心が穏やかで、彼と同じ空間にいると心がじわりと温かい気持ちで満たされる。

ずっと仲良くしていたいから、近づき過ぎずこのままの距離感で居たいと思っていたけれど、彼が風邪を引いて寝込んだあの夜に、全てがくつがえされてしまった。

篠が、僕を求めてくれた。
医者としてではなく、一人の人間として。男として。
篠はいつものんびりマイペースで、鈍感で、医学の知識や経験談以外のものを僕に求めてきたことはなかったから、とても驚いた。

彼は、僕といると変になるのだと告白し、僕も彼への気持ちを告白した。
点滴中の彼にキスされて舌を絡められた時、このまま一線を越えてしまいたいという欲望が芽生えたけれど、医師として病人に手を出すなんてことはできないと、なんとか抑えた。

篠にキスされた時、僕が篠にキスした時、頭の片隅に音川先生の顔がチラついて身が縮まった。
僕はまだ彼への執着心を捨て切れていないのかと、ひどくショックだった。

音川おとかわ 直佳なおか
僕の初恋の人。そうと認めるまでに長い年月がかかって、最近ようやく彼が自分にとって特別な存在だったと受け入れられるようになった。

一生一人で生き抜こうと決めていた僕の心の壁を取り除いてくれた人。


先日、僕の部屋に篠を初めて招いて一緒に過ごした。
彼と一線越えるつもりだったけれど、彼の様子を見て関係を進めるのは急がないと考え直した。
篠は終始落ち着かない態度で困った様子だったし、仕事に支障が出るようなことになったら取り返しがつかないと思った。

慌てる必要もない。
彼と僕は、お互いを特別な存在として認識しているのがよくわかったから。

その日から彼は毎日僕の部屋に来て、僕に「安心」を与えてくれている。

「安心」と「執着心」はどちらが重要なのだろう。
ふとそんなことを考える。

篠がくれる「安心」と、音川先生に対する「執着心」。

音川先生に触れられるのは、怖くてたまらなかった。
篠に触れたいという気持ちは、穏やかな心の延長線上にあって、音川先生に対するそれとは全くの別物だ。

安心感をくれる篠といることを選ぶ僕は、逃げているのだろうか?
過去の狂おしい感情から逃れたい一心で。

いくら考えても答えは出そうになかった。



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