悪の組織のイケメンたちに捕まったのですが、全員から愛されてしまったようです。

スーツ姿

お風呂から出ると、ベッドの前に、スーツ姿の色男が立っていた。

「何？俺のスーツ姿に、見惚れてる？」

「い、いや・・・あの・・スーツ似合いますね。」

悔しいけれど、見惚れてしまった。
スラリとした、宗そうのスーツ姿。

（宗さんのスーツ姿・・・眩まぶしすぎる・・・エロすぎる・・・うわぁ・・・）


「これから仕事なんだ。その前に、お前の顔を見ておきたくて。」

珍しく柔らかい彼の言葉に、警戒心が高まる。
彼のこの美しい微笑みに、何度騙だまされかけたことか。

（仕事って悪事・・・？何やるんだろう・・？それにしてもカッコいい・・・髪サラッサラ・・！！この人ほんとルックスだけは最高にいいよなぁ・・・・）

黒光りしている、サラサラの黒艶髪。
スラリと長い手足。完爾かんじや千畝ちうねと比べると少し華奢きゃしゃではあるが、スタイルが良い。
儚はかなげな彼の表情が、細身の身体に絶妙にマッチして艶なまめかしい。

彼は、切ない表情がよく似合うイケメンなのだ。


「最初は、大我たいが君をたぶらかす女を駆除くじょするって目的で近付いたんだけどな・・・。」

ふっと、自嘲じちょうするように笑い、俯うつむく。
言っている内容は恐ろしいが、美しさが全てをコーティングして、女を魅了する。

「俺としたことが、人質の女に惚れるなんてね。どうかしてるよ。」

（イケメン・・っ・・・眩し・・・・っ・・・・）

私は彼の放つ「儚げ美青年オーラ」に、まんまと飲まれてしまっていた。


「どうやって、責任取るつもり？」

イケメンの顎あごクイは、強烈だ。
彼の歪んだ性格を知っているはずなのに。落とされるのは時間の問題だった。

「大我君は関係なく、俺の正直な気持ちで・・ちゃんと言うから、しっかり聞いてて。」

切なげに目を細めて、彼は私を愛おしそうに見つめる。


「お前が、好きだよ。」


これは、夢だ。
たちの悪い夢に、違いない。

意地悪で何を考えているのかわからない、食えない男。
薬物を使った拷問を得意とする男なのだから、信用なんてしてはいけない。

頭ではそう思っているのに。


目の前に立っている宗の妖艶な魅力に、私は閉口するしかなかった。