蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

文字の大きさ
上 下
28 / 182
蛇珀といろり

13

しおりを挟む
「……今のは、蛇珀様が……?」

 正気に戻った蛇珀は、自身の行いに愕然としていた。

 ――俺は今、一体何を……?

 そんな蛇珀を前に、いろりは苦しげな面持ちで話し始めた。

「ご、ごめんなさい、蛇珀様。嘘をついたわけではないんです。言う必要がないと思っただけで……でも、ちゃんと話します。実は……今日の放課後、同じクラスの男の子に呼び出されて、その……告白、されたんです。付き合ってほしいと。もちろんお断りしましたが、その時に、あきらめられないと言われて、抱きしめられてしまいまして……」

 話を聞く蛇珀の顔が再び険しくなるのを見て、いろりは慌てて弁解する。

「あ! でも嫌がりましたから、すぐに離してもらいましたし、それ以上は何もありませんでしたから!」
「……あってたまるかよ、クソ」

 蛇珀は自身を落ち着かせるため、顔を片手で覆った。
しおりを挟む

処理中です...