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試練
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「ねえねえ、いろりちゃん、今日誕生日でしょ?」
「え? どうして知って……」
「神様だからねぇ、いろりちゃんの基本情報はインプットされてます! せっかくのおめでたい日なんだし、よかったらこれからどこか行かない? ケーキも買ってあげるよ!」
それを聞いたいろりは、喜ぶどころかとても物悲しい顔をした。
「あ……ごめんなさい、お祝い事は、その、蛇珀様と、初めてしたいと思っているので……」
いろりの反応に百恋は一瞬真顔になったものの、すぐいつもの笑顔に戻って言った。
「そっかそっか、そうだよね! 今俺超デリカシーなかった! ごめんね!」
「い、いいえ、そんな! ……あ、そろそろ私帰りますね。今日は入学式なので母が休みを取ってくれて、一緒に料理をする約束なので」
「りょうかーい! またねいろりちゃん!」
「はい、ご馳走様でした。この御恩は必ずお返し……」
「拝まなくていいよ!? 礼儀正しすぎ!!」
いろりは手を合わせ深々とお辞儀すると屋上を後にした。
「……なかなか手強そうだね。俄然、燃えてきたよ」
いろりが出て行った扉を眺めながら、百恋は不敵な笑みを浮かべていた。
そう。いろりの最も厳しい試練は、この恋神の誘惑に打ち勝つことであった――。
「え? どうして知って……」
「神様だからねぇ、いろりちゃんの基本情報はインプットされてます! せっかくのおめでたい日なんだし、よかったらこれからどこか行かない? ケーキも買ってあげるよ!」
それを聞いたいろりは、喜ぶどころかとても物悲しい顔をした。
「あ……ごめんなさい、お祝い事は、その、蛇珀様と、初めてしたいと思っているので……」
いろりの反応に百恋は一瞬真顔になったものの、すぐいつもの笑顔に戻って言った。
「そっかそっか、そうだよね! 今俺超デリカシーなかった! ごめんね!」
「い、いいえ、そんな! ……あ、そろそろ私帰りますね。今日は入学式なので母が休みを取ってくれて、一緒に料理をする約束なので」
「りょうかーい! またねいろりちゃん!」
「はい、ご馳走様でした。この御恩は必ずお返し……」
「拝まなくていいよ!? 礼儀正しすぎ!!」
いろりは手を合わせ深々とお辞儀すると屋上を後にした。
「……なかなか手強そうだね。俄然、燃えてきたよ」
いろりが出て行った扉を眺めながら、百恋は不敵な笑みを浮かべていた。
そう。いろりの最も厳しい試練は、この恋神の誘惑に打ち勝つことであった――。
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