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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ

第十一話

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「おはようございます。」
ミチルは侑の顔の上でパタパタと羽ばたいて、侑を起こそうとしてる。
侑はベッドの中で色々考えていたらしく、まだ眠気が醒めない。

「侑様、今朝も石が有りますよ。
綺麗な青っぽい石ですよ。」
ミチルは侑を起こす為に、興味のある話題を振った。

侑は石を受け取ると
「ラリマーだね。」
鑑定眼を発動した。

鉱物名 ペクトライト
通称 ラリマー
魔晶石には不向き。
アクセサリー等に使用。

侑が目覚めたのを確認すると
「今日も良い天気ですよ。」
ミチルは部屋の窓を開けた。
侑はノソノソとベッドから立ち、窓の外を見た。

「うん、今日も良い天気だね。
芝生も青いし…えっ?」
侑は異常な光景に一瞬で目が醒めた。

外を見ると、比喩ではなく本当に一面が青い。
ミチルも外を見ると
「ほら、嫌な予感が当たった。」
首を擡げてげんなりしてる。

侑は急いで下に降りた。
リビングの窓を開けると外は一面、芝生の緑だった。

「侑さん、おはようございます。」
窓の下でスライムがピョンピョン跳ねている。

…昨日より、ちょっとデカくなってるな。

「スライム、おはよう。」
侑は挨拶するとスライムに異常な光景の話をした。

「すいません、僕達です。
食事をしてました。
食事の時は分離して個々に食べた方が時短になるので。」
スライムは侑に謝った。

「食事って何を食べてたの?」
侑は純粋にスライムが何を食べるのか知りたかった。

「僕達ブルー種の主食は水分です。
なので、芝生に付いてる朝露と芝生の伸びた部分を頂いていました。」
芝生を手入れしていたのはスライムだった。

「そっか、芝生の手入れしてくれていたのは君達だったんだね。
食事は一日何回なの?」

「僕達は二三日に一回食べれば、大丈夫ですよ。
ただ、僕達は自分の体積の半分位水以外の物を摂取してしまうとブルー種ではなくなります。
モンスターの毒素を食べ続けるとポイズンスライムに、肉を食べ続けるとレッド種の肉食スライム等になってしまいます。」
スライムは説明しながら、オドオドしてる。
後ろを見ると、ミチルが睨んでいた。

「ミチル、食事の時はしょうがないよ。
それにこの綺麗な芝生は彼等が手入れしてくれてるんだから。」
ミチルは『はーっ』とため息をつきながら、仕方無いですねと諦めた。


侑とミチルはダイニングで朝食を摂った。
メニューは昨日のカニの味噌汁の残りを使った雑炊だ。

ミチルは朝食で機嫌が直った。
「今日は何をしますか?」
ミチルが尋ねると、侑は
「これから、庭にテーブルセットを作るよ。
それと、バトラさんが本とかを持ってきてくれたら片付けかな。」

「では、昼食はお庭で食べれそうですね。」
ミチルは食べることで頭が一杯みたいだ。

「そうだね、お茶とかも庭でゆったりと飲みたいね。」
侑は片付けをしながら、お茶を飲んでる自分を想像していた。

…ちょっと前ならこんな事考えられなかったな、ブラフマー様に感謝しなくちゃ。

侑はちょっと涙ぐんだ。

庭でテーブルとイスを作り、白く塗っている時にバトラが夫婦で訪問してきた。

「バトラさん、こんにちは。
メイさんも一緒に来てくださったのですね。」
侑は作業している手を止めて挨拶する。

「昨日の料理のお礼が言いたいから、妻が連れて行けと。
それに、妻がミチルさんに用があるみたいですので。」
バトラの後ろで控えていたメイが肩に乗っているミチルに話しかけた。

「今日はお茶や簡単な軽食をお持ちしました。今日の用事は長くなりそうなので、もしよかったらお話をしませんか?」
ミチルは大はしゃぎで、メイをリビングに連れて行った。

「侑様は昨日、自分用の武器を作りたいから専門書を所望致しましたよね?
本も持参しましたが、実際に色々な武器を手に取って頂いたほうが宜しいかと何種類かお持ちしました。」
「お試しになる相手は私が務めさせて頂きたく思います。」
バトラはカバンの中から、大量の武器を出した。

「ありがとうございます、バトラさんが相手をしてくれるのですか?」
武器を見ながら、不安そうに尋ねる。

「大丈夫ですよ、私は使徒です。
其処らの騎士より強いですよ。」
バトラは得意なのか、両手剣を手に持った。
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