異世界でスローライフを目標にしましたが、モテ期到来で先の話になりそうです。

koh

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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ

第十八話

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「何を作りましょう?」
メイは侑とキッチンに立っている。

「カレーが食べたいです。」
侑は自分のスキルで作るとお店のカレーが出来てしまうので、家族で食べたカレーが食べたいとメイにお願いした。

「侑さんが作るとお店の味になるのですか?」
メイは逆に羨ましい。

「俺は料理の経験がなくて、調理のスキルだけで作るのでオリジナリティーが無いんです。
だから、本に載っているレシピなどの分量通りしか出来ないんです。」
侑は家庭の味って言う物を感じたかったと言う。

「分かりました、一緒に作りましょう。」
メイは侑の意図を理解した。

「材料は一通り有ると思うんですが、足りない物が有ったら教えてください。」
侑はシンクに野菜を、まな板の上に肉を準備した。

「だいたい揃ってますね、足りないのはチョコかコーヒー位でしょうか。」
メイはカバンの中からコーヒーの粉を出した。

「カレーにコーヒーを入れるんですか!?」
侑は予想外の物が出てきて驚く。

「隠し味なんですよ。」
メイは侑にニコっと笑った。

「それでは作り始めますよ。
家で作る時は大きめに、野営の時には小さめに肉と野菜を切ると良いですよ。
今回は火力が安定しているので、大きめに切ります。
鍋に油を廻してニンニク・生姜等を入れ、香りを油に移します。肉を入れて表面だけ焼きます。
野菜を入れたら油を馴染ませるようにかき混ぜます、水を入れたらフタをしないで野菜に火を通します。
箸で刺してみて、スッと刺されば大丈夫です。
火を止めてスパイスを入れます。
よく混ざったら、弱火にかけてトロミを出します。
仕上げに少し、コーヒーを入れます。」
メイは鍋をかき混ぜながら、カレーのトロミ具合を調整した。

「出来ました、簡単でしょ?」
メイは本に書いていないような細かい事を教えてくれた。

「ありがとうございます、みんなで食べましょう。」
侑は皿にカレーをよそいながら、ちょっと涙目になっている。

(…家庭料理を覚えたいっていうのは、多分口実ね。
侑は母親とキッチンに立って、一緒に料理がしたかったのね。)
ミチルだけが侑の涙目に気付き、侑の本心を知った。

(親と別れたのが6歳の時だから、一緒にキッチンに立って料理した事が無いのは仕方無いけど…
料理が出来る様になった今だから、余計に無い物ねだりをしたくなったのね。)
ミチルはやるせない気持ちで侑を見つめていた。

カレーをテーブルに並べても、ミチルは固まっていた。
「ミチル?具合悪いの?食べないの?」
侑は食べ物を見ても反応しないミチルを心配した。

「食べるに決まってるでしょ!
お腹が空き過ぎて、動けないのよ!」
ミチルは無理に普通を装った。

カレーを食べながら、バトラは今後の事を話し始めた。
「侑様の戦闘センスは冒険者以上です。
これなら、ギルドに行って冒険者登録をしておいた方が良いでしょう。
但し、それ迄に覚えなければいけない事が有ります。」
バトラは侑の戦いを見て、クエストを受けても大丈夫だと思った。

「町に行くまでに、スキルをいくつか覚えて頂きます。
ステータスをそのまま見せる事が出来ないので隠蔽を、敵意を持った者を見つける索敵、トトリの町なので鍛冶と錬金のスキルを覚えて下さい。」
全てが整ったら町へ行きましょうとバトラは言った。

「スキルに関しては本棚の二段目、左の方に専門書を足して置きました。
鍛冶と錬金術に関しては、一段目の一番右に分かりやすそうな物から専門書まで並べてあります。」
バトラはサラッと本のある場所を侑に教えた。

「本を並べた場所を全部覚えているのですか?」
侑はバトラに底知れないものを感じていた。

「国立図書館の千分の一位ですから、容易いですね。」
バトラは珍しくドヤ顔で答えた。

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