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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ
第十九話
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「それでは、失礼します。」
バトラ夫婦を侑は玄関で見送った、門まではラピスがついて行った。
ラピスは門の近くでピョンピョン跳ねて挨拶しているようだ。
メイはラピスに手を振っている。
「ミチルさんもラピスさんも可愛いですね。」
メイは可愛い者が大好きみたいだ。
「お前は見境無くなるから、節度を弁える事を心掛けなさい。」
バトラはメイに苦言を呈した。
「…侑様も可愛いぞ。」
バトラも満更では無いらしい。
「ねぇ、あなた。
次に人間界に転移する時は子供を授かりたいです。
侑様の聡明でいて、周りに気配りのできる優しい子を見たら私も子供が欲しくなりました。」
気付きました?
侑様はあなたと一緒に居る時間が長いのを気にして、私と夕食を作りたいと言い出してくれたのですよ。
バトラとメイは久し振りに夫婦の会話を楽しみながら、家路へと向かった。
ミチル寝てるし……
その頃、侑はキッチンで片付けをしていた。
片付けが終わると、メイさんに貰ったコーヒーを淹れてミチルを起こさない様に横に座った。
コーヒーを飲みながら、侑は思いに浸っていた。
(バトラさん夫婦は良いな、言葉は一線を引いてるように見えても態度は俺を息子みたいに接してくれてる。
あの事故が無かったら、今日みたいな生活が毎日続いていたのかな…
でも、事故が起きたからこそ今が在るんだよな。
秋元さんどうしてるかな…
ブラフマー様が、人間界の事は転生した使徒に全て指示したから心配しないでと言ってくれてたけど。
ちゃんと、家族仲良く暮らしてるかな?
秋元さんの10年間を俺が奪ってしまったからな。
今度、ブラフマー様に聞いてみようかな。)
侑は駆け足の様に過ごしてきたが、落ち着いたのか色々な事を考える余裕が生まれた事を実感した。
「侑様?」
ミチル寝癖を器用に直してる。
「あっ、起きた?
これからお風呂に入って、そのあとスキルを覚える為に勉強するよ。」
侑は勝手に風呂に入って、上がったあとミチルに怒られないように起きるのを待っていた。
「では、その間に外を飛び回って地形とか町までの道などを確認してきますね。」
ミチルはリビングで一人(羽)で待っているのが嫌だったし、侑の邪魔をするのはもっといやだった。
侑は心情を察したのか
「暗いから気をつけてね。」
敢えて、あと止めなかった。
「誰に言ってるんですか?」
ミチルも侑の気遣いが嬉しくて、笑顔で答えた。
お風呂から出た侑は書斎で砂時計の魔導具を出した。
砂時計をひっくり返すと周りの景色はセピア色に変わった。
本棚からスキル大全書を手に取った。
(国語辞典みたいだな。)
その本は辞典の様に厚く、小口側にはインデックスがあった。
侑はスキル隠蔽を覚える為、頭で隠蔽はと考えながら本を開こうとすると本が光り隠蔽のページが勝手に開いた。
…何だ?勝手に開いたぞ?
侑は本をパラパラめくり、閉じた。
また本を開くと何も起きずに指の入ったページが開けた。
もしかして…
今度は隠蔽を考えながら、手を本の上に置いた。
本は光り、隠蔽のページが開いた。
調べたい物が決まっている時はイメージすると魔力として伝わり自動で開いてくれるみたいだ、これは便利だ。
スキル名 隠蔽
あるものを他のもので覆い隠すスキル。
数字を他の数字で覆い隠す事はできるが、数字をただ隠す事は出来ない。
剣を棒として隠す事はできるが、剣を見えなくする事は出来ない。
なるほど、そのもの自体を隠す事は出来ないんだ。
次は索敵。
スキル名 索敵
スキル偵察とスキル監視の合成スキル。
敵等の情報を収集し、警戒して動きを見張る。
通常はスキル偵察を発動し、見つけたらスキル監視を発動する流れである。
索敵は同時に発動する為、タイムラグが無い。
しかし、必要とする魔力は偵察・監視の四倍となり範囲によっては更に魔力が必要となる。
魔力ありきだな。
あとは、鍛冶と錬金術か。
これは別の本だな。
専門書を本棚に戻し、鍛冶の本を探す。
一段目の右の方…有った。
『鍛冶って何?』
この『って何?』シリーズは読みやすくて優秀なんだよな、侑はクスッと笑う。
バトラ夫婦を侑は玄関で見送った、門まではラピスがついて行った。
ラピスは門の近くでピョンピョン跳ねて挨拶しているようだ。
メイはラピスに手を振っている。
「ミチルさんもラピスさんも可愛いですね。」
メイは可愛い者が大好きみたいだ。
「お前は見境無くなるから、節度を弁える事を心掛けなさい。」
バトラはメイに苦言を呈した。
「…侑様も可愛いぞ。」
バトラも満更では無いらしい。
「ねぇ、あなた。
次に人間界に転移する時は子供を授かりたいです。
侑様の聡明でいて、周りに気配りのできる優しい子を見たら私も子供が欲しくなりました。」
気付きました?
侑様はあなたと一緒に居る時間が長いのを気にして、私と夕食を作りたいと言い出してくれたのですよ。
バトラとメイは久し振りに夫婦の会話を楽しみながら、家路へと向かった。
ミチル寝てるし……
その頃、侑はキッチンで片付けをしていた。
片付けが終わると、メイさんに貰ったコーヒーを淹れてミチルを起こさない様に横に座った。
コーヒーを飲みながら、侑は思いに浸っていた。
(バトラさん夫婦は良いな、言葉は一線を引いてるように見えても態度は俺を息子みたいに接してくれてる。
あの事故が無かったら、今日みたいな生活が毎日続いていたのかな…
でも、事故が起きたからこそ今が在るんだよな。
秋元さんどうしてるかな…
ブラフマー様が、人間界の事は転生した使徒に全て指示したから心配しないでと言ってくれてたけど。
ちゃんと、家族仲良く暮らしてるかな?
秋元さんの10年間を俺が奪ってしまったからな。
今度、ブラフマー様に聞いてみようかな。)
侑は駆け足の様に過ごしてきたが、落ち着いたのか色々な事を考える余裕が生まれた事を実感した。
「侑様?」
ミチル寝癖を器用に直してる。
「あっ、起きた?
これからお風呂に入って、そのあとスキルを覚える為に勉強するよ。」
侑は勝手に風呂に入って、上がったあとミチルに怒られないように起きるのを待っていた。
「では、その間に外を飛び回って地形とか町までの道などを確認してきますね。」
ミチルはリビングで一人(羽)で待っているのが嫌だったし、侑の邪魔をするのはもっといやだった。
侑は心情を察したのか
「暗いから気をつけてね。」
敢えて、あと止めなかった。
「誰に言ってるんですか?」
ミチルも侑の気遣いが嬉しくて、笑顔で答えた。
お風呂から出た侑は書斎で砂時計の魔導具を出した。
砂時計をひっくり返すと周りの景色はセピア色に変わった。
本棚からスキル大全書を手に取った。
(国語辞典みたいだな。)
その本は辞典の様に厚く、小口側にはインデックスがあった。
侑はスキル隠蔽を覚える為、頭で隠蔽はと考えながら本を開こうとすると本が光り隠蔽のページが勝手に開いた。
…何だ?勝手に開いたぞ?
侑は本をパラパラめくり、閉じた。
また本を開くと何も起きずに指の入ったページが開けた。
もしかして…
今度は隠蔽を考えながら、手を本の上に置いた。
本は光り、隠蔽のページが開いた。
調べたい物が決まっている時はイメージすると魔力として伝わり自動で開いてくれるみたいだ、これは便利だ。
スキル名 隠蔽
あるものを他のもので覆い隠すスキル。
数字を他の数字で覆い隠す事はできるが、数字をただ隠す事は出来ない。
剣を棒として隠す事はできるが、剣を見えなくする事は出来ない。
なるほど、そのもの自体を隠す事は出来ないんだ。
次は索敵。
スキル名 索敵
スキル偵察とスキル監視の合成スキル。
敵等の情報を収集し、警戒して動きを見張る。
通常はスキル偵察を発動し、見つけたらスキル監視を発動する流れである。
索敵は同時に発動する為、タイムラグが無い。
しかし、必要とする魔力は偵察・監視の四倍となり範囲によっては更に魔力が必要となる。
魔力ありきだな。
あとは、鍛冶と錬金術か。
これは別の本だな。
専門書を本棚に戻し、鍛冶の本を探す。
一段目の右の方…有った。
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この『って何?』シリーズは読みやすくて優秀なんだよな、侑はクスッと笑う。
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