転生者とバグでない異世界人の物語

@000-ooo

文字の大きさ
50 / 119

50. アー川会戦

しおりを挟む
 王国歴321年5月、ハルト11歳、秋になると12歳である。
 先日ジグムントお義父様から、
「ユリアーネお義姉様の護衛としてハルトの妹のレアとリズを送るので、彼女たちが到着したらすぐに俺とレンは学園を休学して、領都に戻るように。詳細は追って話す」
との指示を受けた。レアとリズが王都に来たので、俺とレンは5月15日に領都に戻った。

 ジグムントお義父様の話は以下のようである。
「これまで、ベー王国はアムスム王国にスパイを送ったり、アムスム王国の貴族に反乱を促したりしてきたが、スパイの摘発や反国王派貴族の切り崩しがうまくいかず、相当焦っていたようだ。
 そこにもってきてハルトの開発した魔道馬車の出現によって、これが量産されると、両国の戦力差が歴然となるため、ついにベー王国はアムスム王国への戦争を決断したとのこと。
 第1目標は隣接する、このテー公爵領とのこと。
 ベー王国はすでに王都より東側の貴族に総動員令を出しており、準備ができ次第王都を出て、貴族の領軍を集めて、公爵領へ向けて軍を進めてくる。
 これに対し、国王にはすでに援軍を要請しており、これも準備ができ次第王都を出る予定とのこと。
 また、寄子の貴族にも援軍を要請しており、これも準備が出来次第領都を出る。
 ジグムントお義様とともに俺とレンは戦争に参加する。そして、俺は仮の参謀として作戦の立案をしてほしい」
とのことである。

 その後、地図を広げ、今後の方針を、ジグムントお義父様、騎士団長のオトー様、副騎士団長のギジル様、カール様と協議した。
 決まった方針は
「決戦の場所は国境のアー川のアーの丘、ここに陣地を構築し、ベー王国軍のアー川渡河を阻止する。そして時間稼ぎをして、援軍を待つ。
 俺とレンは魔道馬車50台兵1000人で先行してアーの丘に陣地を構築する。
 ジギグントお義父様、オトー様、ギジル様は領軍と寄子の軍がそろい次第領軍を率いて、領都を出る。
 カール様は領都の守りにあたる」
である。
 俺は追加で
「アー川の支流のノー川の上流に堰を設け、そこに水を貯めて、ベー王国軍が渡河してきた時点で堰を壊し濁流でベー王国軍を押し流す作戦」
を提案し了承された。

 5月20日俺とレンは魔道馬車50台兵1000人で領都を出発した。この魔道馬車は以前俺が作って、アイテムボックスに保管してあったものを使用した。
 俺たち先発隊は夕方にはアーの丘に到着した。そして魔道馬車を宿舎代わりにして陣地の構築を開始した。俺とレンは土魔法で粗方の陣地の構築を終えると、後の細部は工兵隊長に任せ、ノー川上流に堰を作っていった。
 6月2日にはテー公爵家とその寄子の貴族家の領軍1万が到着した。

 その後アー川会戦と呼ばれたアムスム王国とベー王国の戦争はベー王国軍のアー川の渡河の失敗で終わった。

 なお、アムスム王国の援軍は、ベー王国が軍を引いたという知らせを受けて引き返した。
 また、ベー王国軍はいったんアー川から軍を引いた後、途中ギゼル公爵領の領都に留まったが、アムスム王国の援軍が引き返したという報告を受け、軍を解散した。
 公爵軍とその寄子の領軍はベー王国軍が軍を解散したため、アーの丘に公爵家の駐留軍1000人を残して、領都まで軍を引き、その後軍を解散した。

 その後、事務方により戦後処理の会談が行われたが、
「捕虜の有償での返還、テー公爵家でアー川の湿地帯で遺品等の捜索を行い、ベー王国軍の遺品等が見つかれば有償でベー王国が買い取る」
ということ以外は何も決まらなかった。
 ベー王国から賠償金が得られなかったことから、今回の戦争での費用についてはテー公爵軍とその寄子の戦費についてはテー公爵家がもつ。
 またアムスム王国の援軍についてはアムスム王国が持つこととなった。

 なお、テー公爵とその寄子の領軍の被害は、死者は0、捕虜になったものはいない。負傷者は2000人ほどですべて治療済み、重症者はいなかった。

「ベー王国軍の死傷者は少なくとも約7000人と推測される。捕虜は3500人で捕虜の負傷者はすべて治療済み、多分1から2年はアムスム王国に戦争は出来ないだろう。」というのがテー公爵の見方である。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

召喚獣スライムに転生したが、美少女召喚士が自分のすごさにまったく気づかない

椎名 富比路
ファンタジー
美少女召喚士リップルに召喚される形で、スライムの【ロピ】ちゃんとして転生したヒロミ。 リップルは誰しも認める天才美少女召喚士で、召喚獣からも慕われている。 なのに、本人はまったく無自覚で、自分の力より召喚獣のほうが優秀だと思っている。 だが、ロピちゃん本人も、自分が最強だと気がついていなかったのである……。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

{完結保証}規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜

Saioonji
ファンタジー
母に殴られ、命を奪われた――そのはずだった。 だが目を覚ました先は、白く豪奢な王城の一室。 赤子の身体、仕えるメイド、そして“皇子”という立場。 前世では愛されず、名前すら価値を持たなかった少年が、 今度は世界の中心に生まれ落ちてしまった。 記憶を失ったふりをしながら、 静かに、冷静に、この世界を観察する皇子。 しかし彼の中には、すでに常識外れの思考と力が芽生えていた。 ――これは復讐でも、救済でもない。 自由を求めただけの少年が、 やがて国を、歴史を、価値観そのものを揺るがしていく物語。 最強であることすら、彼にとってはただの前提条件だった。 重複投稿作品です 小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 2025/09/12(金)5巻発売!同日コミカライズ開始! 2026/03/16(月)コミカライズ1巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

貞操逆転世界の「内助の功」~掃除と料理を極めた俺が、脳筋幼馴染を女王にするまで~

ありゃくね
ファンタジー
前世の記憶が目覚めたそこは、男女の貞操が逆転した異世界だった。 彼が繰り出すのは、現代知識を活かした「お掃除アイテム」、そして胃袋を掴む「絶品手料理」。 ただ快適に暮らしたいだけのマシロの行動は、男に飢えた女騎士たちを狂わせ、国の常識さえも変える一大革命へと繋がっていく。

処理中です...