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授業
食後
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モンブランは美味しかった、外側のマロンクリームは勿論だけど、中の生クリームが特に。アーロンとしてはもう一個食べたいくらいだ。さすがにケーキは大盛りになっていなくて、がっかりしたのはアーロンだけでは無かった。
食後ライム先輩が教室迄送るというのを断ろうとしたのだが、多分まだ廊下に生徒が多いだろうからと押し切られた。ライム先輩とアーロンが並んで歩き、後ろを火の国の二人がついて来る。
廊下にはやっぱり生徒達が屯していて、彼等から庇う為に時々先輩の手がアーロンの腰や背中に回される。ライム先輩に身体に触れられるのは嫌では無い。
自分を守ってくれる背の高い年上の人が側に居る、というのはアーロンにとっては不思議な感覚だ。何しろアーロンの一家は全員小柄なので、父も兄もアーロンとそう身長は変わらない。父や兄に守って貰うのとは違う、包み込まれている様な、高い壁で遮られている様な……、それは違うか、兎に角圧倒的安心感。見上げると、先輩がすぐにアーロンの視線に気付き、優しく微笑みかけてくれる。
「なんかおいら達邪魔者じゃ無いっすかね」
後ろで何か言っているタイスケの声なんて聞こえ無い振りだ。
「明日もまた迎えに行くので教室で待っていて欲しい。時間は今日よりは早く着くと約束しよう」
「でも」
「ふふふ。でもは無しだよ」
ライム先輩の綺麗な指が続きを言わせない様に、アーロンの唇に触れる。
「もう付き合っちゃった方が良いんじゃ無いっすか?」
また何か聞こえた気がするけれど、気のせいだ。
「私がしたくてしている事だから気にしないで。もし君が私と食事するのが嫌ならもう来ないが。君は私と会うのが嫌かい?」
「嫌では無いです、そんな、寧ろ」
「寧ろ?」
「先輩とご一緒できるのは嬉しいです、けど」
「嬉しいなら明日も一緒に食事しよう。私も君達と食事が出来て嬉しいのだよ。ね?」
「……はい」
何だか無理矢理承諾させられた気がする。嫌では無いのだけれど。
教室の前迄アーロン達を送ると、ライム先輩は颯爽と帰って行った。廊下の生徒の数はそう変わらないように感じた。中に入ると何人か生徒は居たが、子爵家の生徒達はまだ戻って来ていなかった。席についてぼーっとしていると、イアンが他の男爵家の子息達と一緒に戻って来た。
「アーロン様、お昼どうだった?」
「どうって、美味しかったよ。同じ献立だよね? 後は上の個室みたいなとこに連れて行って貰って」
その答えに男爵家の子息達が興奮している。
「あそこ使えないんだよ」
「え?」
イアンが教えてくれるのには、一年生は伯爵家以上の子息なら利用可能、二年生は子爵家以上なら、三年生になって初めて男爵家の子息が使えるそうだ。
「連れて行って貰う分には構わないけど。だから、今年はアーロン様、ライム様と一緒に二階がいいのかもね」
ほら、あいつらも行けないし、と言われてああと思い当たる。
「結構、身分毎に色々決まりがあるんだね」
「うん、そう」
話していると、伯爵家の子息と一緒になった班が戻って来た。とても楽しそうに何だが酷く盛り上がっている。
「もしかしたら連れて行って貰えたのかもね?」
「ふうん」
「アーロン様ってお兄様居るんだよね?」
「うん」
「学院の話、聞いて無い?」
「聞いたけど、その話は知らない」
アーロンのすぐ上の兄とは六つ歳が離れている。上に兄が九人居てもその分歳が離れている訳で、一番上の兄なんてアーロンの倍以上の年齢だから、そんな決まりがあった事なんて覚えていないのでは無いだろうか。それにアーロンの兄達なら食堂の二階で食事する事に興味は持たなかった気がする。ああ、でも一番上の兄だけはそういう特権階級に憧れそうだが。
「歳がだいぶ離れてるんだよ。上の兄同士では学院の話はしていたかもしれないけれど、僕に対してはそんなにしないかな」
「そういうものなの?」
「うん」
イアンは不思議そうな顔をしている。
「イアン様の所は良く話す?」
「うん。だって、愚兄、口から生まれて来た様な男だしね」
「ふ」
ルークの話っぷりを思い出して、つい笑ってしまった。
食後ライム先輩が教室迄送るというのを断ろうとしたのだが、多分まだ廊下に生徒が多いだろうからと押し切られた。ライム先輩とアーロンが並んで歩き、後ろを火の国の二人がついて来る。
廊下にはやっぱり生徒達が屯していて、彼等から庇う為に時々先輩の手がアーロンの腰や背中に回される。ライム先輩に身体に触れられるのは嫌では無い。
自分を守ってくれる背の高い年上の人が側に居る、というのはアーロンにとっては不思議な感覚だ。何しろアーロンの一家は全員小柄なので、父も兄もアーロンとそう身長は変わらない。父や兄に守って貰うのとは違う、包み込まれている様な、高い壁で遮られている様な……、それは違うか、兎に角圧倒的安心感。見上げると、先輩がすぐにアーロンの視線に気付き、優しく微笑みかけてくれる。
「なんかおいら達邪魔者じゃ無いっすかね」
後ろで何か言っているタイスケの声なんて聞こえ無い振りだ。
「明日もまた迎えに行くので教室で待っていて欲しい。時間は今日よりは早く着くと約束しよう」
「でも」
「ふふふ。でもは無しだよ」
ライム先輩の綺麗な指が続きを言わせない様に、アーロンの唇に触れる。
「もう付き合っちゃった方が良いんじゃ無いっすか?」
また何か聞こえた気がするけれど、気のせいだ。
「私がしたくてしている事だから気にしないで。もし君が私と食事するのが嫌ならもう来ないが。君は私と会うのが嫌かい?」
「嫌では無いです、そんな、寧ろ」
「寧ろ?」
「先輩とご一緒できるのは嬉しいです、けど」
「嬉しいなら明日も一緒に食事しよう。私も君達と食事が出来て嬉しいのだよ。ね?」
「……はい」
何だか無理矢理承諾させられた気がする。嫌では無いのだけれど。
教室の前迄アーロン達を送ると、ライム先輩は颯爽と帰って行った。廊下の生徒の数はそう変わらないように感じた。中に入ると何人か生徒は居たが、子爵家の生徒達はまだ戻って来ていなかった。席についてぼーっとしていると、イアンが他の男爵家の子息達と一緒に戻って来た。
「アーロン様、お昼どうだった?」
「どうって、美味しかったよ。同じ献立だよね? 後は上の個室みたいなとこに連れて行って貰って」
その答えに男爵家の子息達が興奮している。
「あそこ使えないんだよ」
「え?」
イアンが教えてくれるのには、一年生は伯爵家以上の子息なら利用可能、二年生は子爵家以上なら、三年生になって初めて男爵家の子息が使えるそうだ。
「連れて行って貰う分には構わないけど。だから、今年はアーロン様、ライム様と一緒に二階がいいのかもね」
ほら、あいつらも行けないし、と言われてああと思い当たる。
「結構、身分毎に色々決まりがあるんだね」
「うん、そう」
話していると、伯爵家の子息と一緒になった班が戻って来た。とても楽しそうに何だが酷く盛り上がっている。
「もしかしたら連れて行って貰えたのかもね?」
「ふうん」
「アーロン様ってお兄様居るんだよね?」
「うん」
「学院の話、聞いて無い?」
「聞いたけど、その話は知らない」
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「歳がだいぶ離れてるんだよ。上の兄同士では学院の話はしていたかもしれないけれど、僕に対してはそんなにしないかな」
「そういうものなの?」
「うん」
イアンは不思議そうな顔をしている。
「イアン様の所は良く話す?」
「うん。だって、愚兄、口から生まれて来た様な男だしね」
「ふ」
ルークの話っぷりを思い出して、つい笑ってしまった。
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