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ライム先輩との初めて
下準備
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※前話、葛藤油→潤滑油に訂正しました。以前の話で葛藤油になっている箇所がある場合は後日訂正します。
☆
黙ってしまったアーロンにライム先輩は不思議そうに小首を傾げた。
「始めないのかい?」
「えっと」
(いや、始めないのかい?って言われましても)
アーロンの頭の中を物凄い勢いで考えが駆け巡る。
(もしかして失言しちゃった? 準備するのが好きな人が居るとか、相手が自分でやるのを見るのが好きな人が居るとか言っちゃったから、先輩に変な知恵を付けちゃったとか……三の兄上め!)
三番目の兄ケビンに対する怒りがめらめらと燃え上がる。
「何が問題なのかい? もし分からない事があるのなら、言ってくれないと抱く方の知識を教えられないのだが」
「えっとですね」
「うん?」
そう言うライム先輩の顔付きはいやらしい事を期待しているのではなく、ただ単に何故始めないのか疑問に思っている様に見えた。アーロンの脳裏に、不意に先程の光景が浮かび上がる。
(は! そうだ、先輩のお風呂にマーリーさんついて行ってた!)
うっかり忘れていたが、アーロンの家と違ってちゃんとした貴族の家なら、使用人に服の脱ぎ着から、入浴のお手伝い等何から何までやって貰うのだ。ましてや伯爵家嫡男のライム先輩だ。これはもう当然の様にマーリーにお世話して貰っている筈。
それを思い出して、アーロンにはライム先輩の頭の中が理解出来た。
ライム先輩の頭の中では、もし自分が抱かれる側ならば当然の様に下準備はマーリーにやって貰う。しかしライム先輩は抱かれる側である事をマーリーには知られたくない。かと言って自分でやるなんて考えは露程も浮かばない。すると代わりに誰がやるのか?
勿論それはアーロンである。アーロンがやりたそうに見えたとか、先輩がやってる所を見せるのが好きとかでは全く無く、やって貰うのは当然の事である。何故ならそれがいつもの事だから。
そしてアーロンもそう考えている事にライム先輩は全く疑いを持っておらず、当然だと考えている……。
(うわ、これ、もしかして先輩がまぐろ? ええええ? 三の兄上、僕はどうしたら良いのー??? 抱く方の知識もちゃんと教えてくれてなきゃだよ。ああ、でも兄上も抱かれる方だから兄上もどうしたら良いのか知ってる訳無いもんね……)
アーロンは頭を抱えたくなった。しかしこうなれば、やら無いという選択肢は無い。もしもアーロンがこれ以上逡巡して見せるとライム先輩はまたおかしな言動に戻ってしまうだろう。それは危険だ。
(よし)
アーロンは覚悟を決めた。
「先輩、ガウンを脱いで寝台の上で四つん這いになって下さい」
アーロンはぴょいと寝台から飛び降りるとお盆を手に持ち何処に置こうかと辺りを見回した。
寝台横の小机に置くのが一番安定すると思うのだが、先輩ならともかくアーロンの手の長さでは届きにくい気がする。その度に四つん這いになっている先輩の横を膝立ちで歩いて小机迄行く事になる。それは抱く方として何だか格好が付かない。
次に近いのは勉強机だ。勉強机は足元の方にあるから取りに行く時に先輩の横を通る必要な無いが、今度は一回一回寝台から降りなくてはならない。
(うーん、でも使うのは紙縒と潤滑油だけだよね。この瓶の蓋ってどんな感じだろう?)
うろうろと歩き回った挙句、結局アーロンは寝台の上にお盆をのせた。取り敢えず瓶の蓋を確認しようと手に取るとアーロンが落ち着いたと見たライム先輩が聞いて来た。
「頭は何方を向けば良いのかい?」
「枕向きでお願いします。足は寝る時に足を向ける方で」
「分かった」
アーロンがお盆置き場に迷っている内に先輩はガウンを脱いでいたらしい。惜しげも無く、その白い肌を晒している。アーロンはごくりと唾を飲み込んだ。
先輩は寝台に上がると躊躇いも無く四つん這いになった。
どうやらライム先輩は着痩せする人らしい。上背があって手足が長いのは分かっていたが、お尻は思ったより大きくむっちりとして肉付が良かった。そのお尻に誘われる様に、続いて寝台に上がろうとしたアーロンは、あ、と思い出して止めた。
(僕もガウン脱がなきゃ。先輩は脱いだのを何処に?)
同じ所に置いた方が良いだろうと、きょろきょろと見回すが何処にも見当たらない。もしやと思って、ぐるりと大きな寝台を回って反対側へ行くと脱ぎ捨てたままの状態で絨毯の上に落ちていた。
(うん、分かって来た)
アーロンは拾い上げて軽く叩くと、簡単に畳んで、勉強机の上に置いた。自分のは脱いで、適当に襟元を揃えてから、椅子の背に掛ける。それからゆっくりと寝台に上がった。アーロンの体重で寝台が少し沈んだのに、驚いた様に先輩の白いお尻がびくっと震える。
「今のは、アーロン君が寝台にのったのかな?」
「そうです」
「悪いが、何かやる前に口に出して貰えないだろうか、後ろが見えないので不安なのだ」
「あ、そうですよね。分かりました」
ふうと、気持ちを切り替えるように息を吐くとまたお尻がびくっと震えた。
「今のは」
「あ、ごめんなさい。ただ息を吐いただけです」
「そうか。なら良いが。すると君は、私の足元の方に居るという事で良いね」
「はい」
「始める時は言ってくれ」
「はい」
そうだよね、見えないもの、不安だよねと思いながらアーロンは瓶を手に取った。
「えっと、まず潤滑油を塗りますね」
瓶の蓋は螺子状になっていて、ちゃんと閉めれば転がっても溢れたりはしない造りだった。ならお盆はこのままで良いなと、アーロンは潤滑油を手に出す。
「塗るとは? 何処に?」
「先輩のお尻に」
言いながら、アーロンは瓶を股の間に挟んで油が付いていない方の手で蓋を閉める。瓶をお盆に戻してから、油を両手に馴染ませて手を伸ばす。
「いきます」
「うっ」
先輩のお尻が跳ねた。
☆
黙ってしまったアーロンにライム先輩は不思議そうに小首を傾げた。
「始めないのかい?」
「えっと」
(いや、始めないのかい?って言われましても)
アーロンの頭の中を物凄い勢いで考えが駆け巡る。
(もしかして失言しちゃった? 準備するのが好きな人が居るとか、相手が自分でやるのを見るのが好きな人が居るとか言っちゃったから、先輩に変な知恵を付けちゃったとか……三の兄上め!)
三番目の兄ケビンに対する怒りがめらめらと燃え上がる。
「何が問題なのかい? もし分からない事があるのなら、言ってくれないと抱く方の知識を教えられないのだが」
「えっとですね」
「うん?」
そう言うライム先輩の顔付きはいやらしい事を期待しているのではなく、ただ単に何故始めないのか疑問に思っている様に見えた。アーロンの脳裏に、不意に先程の光景が浮かび上がる。
(は! そうだ、先輩のお風呂にマーリーさんついて行ってた!)
うっかり忘れていたが、アーロンの家と違ってちゃんとした貴族の家なら、使用人に服の脱ぎ着から、入浴のお手伝い等何から何までやって貰うのだ。ましてや伯爵家嫡男のライム先輩だ。これはもう当然の様にマーリーにお世話して貰っている筈。
それを思い出して、アーロンにはライム先輩の頭の中が理解出来た。
ライム先輩の頭の中では、もし自分が抱かれる側ならば当然の様に下準備はマーリーにやって貰う。しかしライム先輩は抱かれる側である事をマーリーには知られたくない。かと言って自分でやるなんて考えは露程も浮かばない。すると代わりに誰がやるのか?
勿論それはアーロンである。アーロンがやりたそうに見えたとか、先輩がやってる所を見せるのが好きとかでは全く無く、やって貰うのは当然の事である。何故ならそれがいつもの事だから。
そしてアーロンもそう考えている事にライム先輩は全く疑いを持っておらず、当然だと考えている……。
(うわ、これ、もしかして先輩がまぐろ? ええええ? 三の兄上、僕はどうしたら良いのー??? 抱く方の知識もちゃんと教えてくれてなきゃだよ。ああ、でも兄上も抱かれる方だから兄上もどうしたら良いのか知ってる訳無いもんね……)
アーロンは頭を抱えたくなった。しかしこうなれば、やら無いという選択肢は無い。もしもアーロンがこれ以上逡巡して見せるとライム先輩はまたおかしな言動に戻ってしまうだろう。それは危険だ。
(よし)
アーロンは覚悟を決めた。
「先輩、ガウンを脱いで寝台の上で四つん這いになって下さい」
アーロンはぴょいと寝台から飛び降りるとお盆を手に持ち何処に置こうかと辺りを見回した。
寝台横の小机に置くのが一番安定すると思うのだが、先輩ならともかくアーロンの手の長さでは届きにくい気がする。その度に四つん這いになっている先輩の横を膝立ちで歩いて小机迄行く事になる。それは抱く方として何だか格好が付かない。
次に近いのは勉強机だ。勉強机は足元の方にあるから取りに行く時に先輩の横を通る必要な無いが、今度は一回一回寝台から降りなくてはならない。
(うーん、でも使うのは紙縒と潤滑油だけだよね。この瓶の蓋ってどんな感じだろう?)
うろうろと歩き回った挙句、結局アーロンは寝台の上にお盆をのせた。取り敢えず瓶の蓋を確認しようと手に取るとアーロンが落ち着いたと見たライム先輩が聞いて来た。
「頭は何方を向けば良いのかい?」
「枕向きでお願いします。足は寝る時に足を向ける方で」
「分かった」
アーロンがお盆置き場に迷っている内に先輩はガウンを脱いでいたらしい。惜しげも無く、その白い肌を晒している。アーロンはごくりと唾を飲み込んだ。
先輩は寝台に上がると躊躇いも無く四つん這いになった。
どうやらライム先輩は着痩せする人らしい。上背があって手足が長いのは分かっていたが、お尻は思ったより大きくむっちりとして肉付が良かった。そのお尻に誘われる様に、続いて寝台に上がろうとしたアーロンは、あ、と思い出して止めた。
(僕もガウン脱がなきゃ。先輩は脱いだのを何処に?)
同じ所に置いた方が良いだろうと、きょろきょろと見回すが何処にも見当たらない。もしやと思って、ぐるりと大きな寝台を回って反対側へ行くと脱ぎ捨てたままの状態で絨毯の上に落ちていた。
(うん、分かって来た)
アーロンは拾い上げて軽く叩くと、簡単に畳んで、勉強机の上に置いた。自分のは脱いで、適当に襟元を揃えてから、椅子の背に掛ける。それからゆっくりと寝台に上がった。アーロンの体重で寝台が少し沈んだのに、驚いた様に先輩の白いお尻がびくっと震える。
「今のは、アーロン君が寝台にのったのかな?」
「そうです」
「悪いが、何かやる前に口に出して貰えないだろうか、後ろが見えないので不安なのだ」
「あ、そうですよね。分かりました」
ふうと、気持ちを切り替えるように息を吐くとまたお尻がびくっと震えた。
「今のは」
「あ、ごめんなさい。ただ息を吐いただけです」
「そうか。なら良いが。すると君は、私の足元の方に居るという事で良いね」
「はい」
「始める時は言ってくれ」
「はい」
そうだよね、見えないもの、不安だよねと思いながらアーロンは瓶を手に取った。
「えっと、まず潤滑油を塗りますね」
瓶の蓋は螺子状になっていて、ちゃんと閉めれば転がっても溢れたりはしない造りだった。ならお盆はこのままで良いなと、アーロンは潤滑油を手に出す。
「塗るとは? 何処に?」
「先輩のお尻に」
言いながら、アーロンは瓶を股の間に挟んで油が付いていない方の手で蓋を閉める。瓶をお盆に戻してから、油を両手に馴染ませて手を伸ばす。
「いきます」
「うっ」
先輩のお尻が跳ねた。
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