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一年生の冬休み
同級生
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先輩の馬車が見えなくなる迄見送った後、心配だなあと思いながらアーロンが男爵家の寮へ戻ろうと踵を返すと、
「おっ!」
「やっぱり僕達が合ってたよ」
「僕達って言うか、アレックスね!」
「まあそうとも言う」
と嬉しそうな声がした。跳ねる様に駆け寄って来たのは、同じ男爵家のジョンとセドリックだった。イアン達が実家に帰っている間、一緒に昼食へ行こうと誘ってくれた二人だ。
「あれ? 二人とも昼食の帰り?」
それにしては遠回りだ真っ直ぐ帰った方が寮に近いのに、と思いながらもアーロンは尋ねる。
「ええー」
「何言ってるんですかー、アーロン様」
「そうそうそう」
「幾ら冬休みで三馬鹿が居ないとしても一人歩きは危ないんですよ」
「ちょ」
ジョンは手でセドリックの口を慌てて塞ぐと、辺りを見回した。そして三人の他に誰も居ない事を確認してから、「ふう」と息を吐き、かいてもいない額の汗を袖で拭う素振りをして見せた。そして
「君こそ危ないんだよ、セドリック。幾ら冬休みでも三」
とジョンが言った途端、今度はセドリックがジョンの口を塞ぐ。しかしその手は鼻も同時に押さえていて、息が出来なくなったジョンが暴れて振り解いた。
「もう! 僕を殺す気かい?」
「ええ? だって君が三」
とセドリックが言い返そうとすると、ジョンが掌を彼の顔の前に掲げて見せたので、セドリックは慌てて自分で自分の口を塞いだ。男爵家の一年生の中でもとびきりお調子者の二人の会話はまるで出し物でも見ている様で楽しい。ただその分、本題に辿り着く迄待たされるのが難点だ。
アーロンは気にならないので笑いながら見ているが、せっかちなタイスケだったらとっくに口を挟んで二人のやりとりを終わらせていただろう。
「そもそも、僕は三子爵って言おうとしただけだから、君みたいに馬……ううん。もごもごなんて言おうとしてないもんね」
(否、子爵って言っちゃった方が問題じゃないのかな)
とアーロンは心の中で突っ込んだが、二人の賑やかしにぷっと吹き出してしまった。何か少し、重苦しかった心の中が晴れていく。
「ああ~、アーロン様に笑われたー」
「否否、違うよ、セドリック。僕らにとってアーロン様に笑って頂けるのはご褒美だよ」
「ご褒美! 確かに!」
「アーロン様、寮迄ご一緒させて下さい!」
「ご褒美だからー」
「えええ?」
笑いながら三人団子になって歩き出す。
「でも本当に、休みの間も一人歩きは駄目ですよー」
「うんうん。火の国の二人も心配してました」
「そうそう。午前中は彼等が見に行ってくれたんですけど、居なかったそうなんで、お昼は僕等が来ましたー」
「うん。火の国の寮からだと逆方向だからね!」
と道々二人が友人たちが気に掛けていてくれた事を教えてくれる。
「そうだったんだ。先輩朝食後に出発の予定だったんだけど、遅らせたんだよ。イチロウ様達迎えに来てくれてたのかあ。悪い事しちゃったな」
「うん、でも、僕等で大正解!」
「初心なイチロウ様に今のアーロン様は目の毒です!」
「眩しい!」
「目が目がー」
と言いながら二人が自分達の目を庇う仕草をする。アーロンは首を傾げた。
「ああー。お分かりでない」
「一度鏡を見せた方が」
「否、見せても自分じゃ気が付かないやつう」
「そうだね。うんうん」
「どういう事?」
アーロンが尋ねると二人は頬を染めながら答えてくれた。
「その、色気が」
「だだ漏れです」
「色気……」
「ええ、大人の階段を登られた影響が」
「うん。子供にはほんと目の毒」
二人の言っている意味がやっと分かってアーロンはぽっと頬を染めた。
「おっ!」
「やっぱり僕達が合ってたよ」
「僕達って言うか、アレックスね!」
「まあそうとも言う」
と嬉しそうな声がした。跳ねる様に駆け寄って来たのは、同じ男爵家のジョンとセドリックだった。イアン達が実家に帰っている間、一緒に昼食へ行こうと誘ってくれた二人だ。
「あれ? 二人とも昼食の帰り?」
それにしては遠回りだ真っ直ぐ帰った方が寮に近いのに、と思いながらもアーロンは尋ねる。
「ええー」
「何言ってるんですかー、アーロン様」
「そうそうそう」
「幾ら冬休みで三馬鹿が居ないとしても一人歩きは危ないんですよ」
「ちょ」
ジョンは手でセドリックの口を慌てて塞ぐと、辺りを見回した。そして三人の他に誰も居ない事を確認してから、「ふう」と息を吐き、かいてもいない額の汗を袖で拭う素振りをして見せた。そして
「君こそ危ないんだよ、セドリック。幾ら冬休みでも三」
とジョンが言った途端、今度はセドリックがジョンの口を塞ぐ。しかしその手は鼻も同時に押さえていて、息が出来なくなったジョンが暴れて振り解いた。
「もう! 僕を殺す気かい?」
「ええ? だって君が三」
とセドリックが言い返そうとすると、ジョンが掌を彼の顔の前に掲げて見せたので、セドリックは慌てて自分で自分の口を塞いだ。男爵家の一年生の中でもとびきりお調子者の二人の会話はまるで出し物でも見ている様で楽しい。ただその分、本題に辿り着く迄待たされるのが難点だ。
アーロンは気にならないので笑いながら見ているが、せっかちなタイスケだったらとっくに口を挟んで二人のやりとりを終わらせていただろう。
「そもそも、僕は三子爵って言おうとしただけだから、君みたいに馬……ううん。もごもごなんて言おうとしてないもんね」
(否、子爵って言っちゃった方が問題じゃないのかな)
とアーロンは心の中で突っ込んだが、二人の賑やかしにぷっと吹き出してしまった。何か少し、重苦しかった心の中が晴れていく。
「ああ~、アーロン様に笑われたー」
「否否、違うよ、セドリック。僕らにとってアーロン様に笑って頂けるのはご褒美だよ」
「ご褒美! 確かに!」
「アーロン様、寮迄ご一緒させて下さい!」
「ご褒美だからー」
「えええ?」
笑いながら三人団子になって歩き出す。
「でも本当に、休みの間も一人歩きは駄目ですよー」
「うんうん。火の国の二人も心配してました」
「そうそう。午前中は彼等が見に行ってくれたんですけど、居なかったそうなんで、お昼は僕等が来ましたー」
「うん。火の国の寮からだと逆方向だからね!」
と道々二人が友人たちが気に掛けていてくれた事を教えてくれる。
「そうだったんだ。先輩朝食後に出発の予定だったんだけど、遅らせたんだよ。イチロウ様達迎えに来てくれてたのかあ。悪い事しちゃったな」
「うん、でも、僕等で大正解!」
「初心なイチロウ様に今のアーロン様は目の毒です!」
「眩しい!」
「目が目がー」
と言いながら二人が自分達の目を庇う仕草をする。アーロンは首を傾げた。
「ああー。お分かりでない」
「一度鏡を見せた方が」
「否、見せても自分じゃ気が付かないやつう」
「そうだね。うんうん」
「どういう事?」
アーロンが尋ねると二人は頬を染めながら答えてくれた。
「その、色気が」
「だだ漏れです」
「色気……」
「ええ、大人の階段を登られた影響が」
「うん。子供にはほんと目の毒」
二人の言っている意味がやっと分かってアーロンはぽっと頬を染めた。
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