妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。

桗梛葉 (たなは)

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第7 全ての始まり 6

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「リオネル様、ここは?」

「うん?レナの部屋だが、こういった落ち着いた色調よりはもう少し華やかな方が良かったかな?」

いや、色調とかそういうことではないのだ。むしろ落ち着いた色調はすごく好みに合っている。ただどこをどう見ても使用人部屋としてはあり得ない豪華な作りなその部屋を、当然のように受け入れることができないだけだった。

「リオネル様…私はこの1年間お仕えするために参りましたので、このような立派なゲストルームをあてがって頂くわけにはいきません。使用人の方と同じお部屋をお願い致します……」

「いや、お世話をお願いしたが、使用人として呼び立てた訳ではない。それに男爵令嬢であるレナを屋根裏や、別棟にある使用人棟で過ごさせるわけにはいかない」

「屋根裏にも使用人部屋があるのですか?」

「あぁ、一応は。ただ雇い主として快適な環境の提供に努めてはいるが、やはりここと比べると空調なども劣ってしまう場所だからな」

「大丈夫ですよ」

慣れていますから。

またそんなことを言いかけて、私は慌てて言葉を止めた。そんな私の不自然な間にさすがに今度は気が付いてしまったのかもしれない。
リオネル様が少し引きつったような、おかしな表情を浮かべていた。

さっきまでとはまた違うドキドキに掌がジンワリと汗ばんでくる。

「……あのクズが……」

ボソッとそんな言葉が聞こえたような気がして、私は思わず「えっ?」と聞き返した。

「うん?どうかしたか?」

だけど返ってきたのは、とても爽やかな笑顔と優しそうな声だった。
やっぱり聞き間違いだったのかもしれない。
だってその笑顔や声にあまりに似つかわしくない言葉だったし、なによりもリオネル様がいまそんな発言をするには唐突過ぎる。

きっと何かと勘違いをしてしまったのだろう。私は何でもないと首を振って見せた。

「そうか。じゃあまた後から声をかけるから、とりあえず今はしっかりと休んでいるといい」

ニコッと笑ったリオネル様がさっと去ってしまい、置いていかれるように私は部屋をあてがわれてしまっていた。そうなれば私にはもうこの部屋に入るしかない。

「失礼します……」

誰に告げてる訳でもないけど。ただ部屋に相応しくない私が黙ってズカズカと入り込んでしまうのは気が引けたのだ。

周りを見回してみれば、色彩だけじゃなくてすべてが落ち着いた一級品の物達だった。豪華絢爛ではないけど、1つ1つが丁寧に造り込まれた調度品は、私の好みにはぴったりだ。

「でも、エレンの好みとは違っているかな……」

エレンは私とは違って色彩も鮮やかな物が好きなのだ。調度品だって分かりやすい豪華さを好んでいる。

さっきはちゃんとエレンに成りきって返事をするべきだったのかもしれない。とっさにエレナとして返事をしてしまったことに私は「難しいな……」と呟きながらちょっと反省をした。
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