妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。

桗梛葉 (たなは)

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第13 奉公人ですよね…? 1

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どうしてこうなっているのだろう。
ここに来てから何度目か分からない溜息を、私はこっそりと吐き出した。

「レナ、こちらの果物も食べて」

こうやってマエリス様に旬の果物を差し出されるのも、ここに来て2ヶ月経ったいまと成ってはすっかり慣れた状況だった。

だけど私は本当は奉公のために来たはずなのだ。こんな風にカナトス家の食卓に一緒に並んで朝食をゆっくりと食べていて良いような立場じゃない。

もちろんそんな事はできないと初めの朝に断ってはいる。リオネル様とマエリス様のお二人へ使用人の方と一緒にして欲しいとしっかりお願いしたはずだった。

だけどその直後にカナトス卿から直接招かれるような形で食卓へ誘われてしまえば、もうそれ以上はお断りなんてしようもなかった。

それから数ヶ月に渡ってこの状況は続いている。
こんなはずではなかったのに、と私はもう1度こっそりと溜息を吐き出した。

「あら、レナ。何だかお疲れかしら?」

「どうした? 体調が悪いのか?」

だけどその姿をマエリス様に気付かれてしまう。
慌てたように近寄ってくるリオネル様が私の手をギュッと握りしめた。

「何回言えば分かるのかしら!女性に簡単に触るものではない、と最近のあなたへ私は何度も何度も言ってるはずですよ!」

すかさず飛んでくるマエリス様の扇をサッと受け止めて見せる姿は、防塞都市の次期領主として日頃兵士の方と訓練をしているだけはあると感心してしまう。

「しかし母上、万が一にでもレナに何かあれば!」

他家より預かっている私を病気にしてはいけないと思って、きっと本気でリオネル様は仰っているのだろう。

だけどあの父や母が私が病で倒れようと気にするとは思えなかった。下手をすれば死んだとしても、いざという時の代替品がなくなった、という程度にしか惜しんでくれない気がしてくる。

とうの昔に家族からの愛情は諦めていたけど、こうやってフッと思い出すように再認識をしてしまえばやっぱり少し悲しかった。

まぁ実際は、実家にいた頃よりもずいぶん睡眠も栄養も頂けている。

日中のリオネル様の手伝いさえも、私が任されているのは書類の整理と必要な文献をまとめること。そして最終的な数字のチェックをしているだけなのだ。

朝から晩まで働きづめだった日々を乗り越えてきた私がこんな状況の中で体調など崩しようもなかった。

だからこそ逆に心配になってしまうことがあった。
それはこの1年さんざん甘やかされてしまった身体であの過酷な状況を堪えることができるのか、ということだった。

私が本来生きていかなければいけないのは、あちら側の世界なのだ。
人はやすきに流れる生き物だから、あまり甘やかされてしまうと困るのだ。

こちらの使用人の方と同じか、下手をしたらそれ以上の働きをしていなければ、戻った時に辛くなるのは私自身だった。

何と言えばちゃんと仕事を与えてもらえるだろう。

そんな風に考え込んでしまっていたから、私はあの後に続いていたリオネル様とマエリス様のお話をちゃんと聞いていなかった。
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