妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。

桗梛葉 (たなは)

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第22 会話の意味が分かりません 1

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連れてこられたテラスには、リオネル様と同じ年齢ぐらいの男性がいた。
背格好や顔もどことなく似ているようだった。

「従兄弟のクラウス=シュトリーゲルだ。シュトリーゲル伯爵の次男で側近として付いてもらっている。最近まで私の所用で遠出をしてもらっていたため、レナが会うのは初めてだな」

「そうそう。そんな遠方から帰ってきたばかりだっていうのに、またこいつに遠方へ飛ばされる予定になっているけどな」

「それは済まない。だが急ぎだと言ってるだろ」

「はいはい、ようやく手に入りそうで必死だもんな」

「うるさいぞ!!」

人使いが荒いと文句を言いながらも、2人のそんなやりとりは日頃の仲の良さが感じられるようだった。

「で、こちらが例の令嬢様かな?」

例のとは、あの事故の事をさしているのだろうか。値踏みをされるように上から下まで眺めてくる視線は正直心地良いものではなかった。

だけどリオネル様を大切だと思う人々からは、本当ならこういった視線の方が当たり前なはずなのだ。カナトス卿やマエリス様の対応が異例なぐらい優しすぎると分かっていた。

「この度は私のせいでリオネル様がおケガを負ってしまうこととなり、申し訳ございません」

だから私はクラウス様へも頭を下げた。
だけど、その後に聞こえてきた言葉は私が想像もしていないものだった。

「あははは、このケガか。これはそもそもこいつの付きまといが悪いんだ。確かレナ様だったかな? 貴女が気にすることではない」

「クラウス!! いらんことばかり言うんじゃない! 少しは黙ってろ!」

心底おかしい、と言うようにケタケタと笑うクラウス様をにらみ付けるリオネル様の顔は紅くなって引き攣っていた。

『付きまとい』が何を差しているのかは私には分からなかった。でもリオネル様の表情から、他の人に聞かれたくないことだということは伝わってくる。
だからそこは気にしないことにした。ただ、ケガに関しては気にしないで良いと言われても、エレンを庇って負ったケガである以上は、私が気にしないでいることはやっぱり無理だった。

それにしてもクラウス様が言っている『例の』が事故をさしていないなら、いったい何をさしているのだろう。

「あの…」

でもそんな私の質問を挟む間もなく、お二人の言葉がポンポンと飛び交っていく。

「お前にさんざん協力してやってんだ、お前で遊ぶぐらいは良いだろう」

「良いわけないだろう。人を疑って、空想家呼ばわりしていただろう。それに貴様の協力はあの時の賭けの正当な報酬だ」

「いやいや空想家呼ばわりしていた時だって、ずっとお前の行動には付き合ってやってただろう」

「あぁ、散々バカにしながらな」

「そりゃあ、お前には少しでも周りに目を向けてもらいたかったんだって。俺はお前の言ってたその令嬢の資質ってやつも見たことがなかったんだ。ちなみに今でも疑ってはいる。それでもお前がどうしてもっていうから協力してんだ」

「貴様はいまだにそんなことを言うのか!」

「当たり前だ!俺だってお前とは兄弟のように育ってきてるんだ!少しでも良い相手をと思うのは当たり前だろ!」

少しずつ言い争いがヒートアップしているような気がしてくる。そんなお二人のそばで私はハラハラしているしかない状況だった。だからお二人のやりとりがどうにか治まる頃には、何かやろうとしていたことが何だったのか、すっかり思い出せなくなっていた。
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