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第11 せっかくなので活用します
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上質なお肉だったのだろう。かぶり付いたサンドイッチからは、肉の旨味が溢れ出してくる。その味を堪能しつつ、途中で保冷庫で見つけたミルクを注いで、グラス2杯分を飲み干した。その後、果実を1つ丸かじりすれば、空腹を訴え続けていたリュシェラの胃は、すっかり満足出来ていた。
「さて、動き出しますか」
朝食に使った食器やお鍋を手早く洗って、リュシェラは周りを見渡した。
できれば、ここで天寿を全うしたい。
「まぁ1週間……いや、もしかしたら1ヶ月ぐらいかな?」
さすがに見殺しにするとはしても、遺体の片付けぐらいは必要なのだ。だから、それぐらい経てば、きっと誰かがここを覗きにくる。そう思うのだが、あまりに予想外な事をする人達なだけに、保証はできないなと思っていた。その上、その時に食料が貰える可能性だって、ほとんど無いと思うのだ。
(だからこそ、今のうちにちゃんと対策をしないとね)
今ある食料だって、その内尽きると分かっているのだから。むざむざ餓死なんかはしたくない。
「取りあえず、何か栽培しなくちゃダメよね」
そう言えば、とさっき見つけた、芋が入っている木箱を漁る。思った通り、箱の底には種芋になりそうな、小さな芋がいくつもあった。
「芋さえあれば、お腹は一応膨れるものね」
幸いここには整備された花壇がある。室内庭園だって、大きな温室として野菜を栽培するには適している。
(もしかしたら、ハーブやエディブルフラワーだってあるかしら。後で確認しに行かなきゃ)
取りあえず今日はこの芋と、花壇に植えられた花の種類を確認して、残す物と抜いてしまう物を選り分けるのが良さそうだ。
ここまで綺麗に整備をした、庭師には申し訳ないけれど。
「素敵なお花たちだけど、食べられないんじゃ仕方ないもの」
花を愛でるだけで腹は、膨れないのだ。それに本来の使用目的からは外れているとはいっても、どちらも栽培。似たような物だ。おかげで一から畑を開墾する必要がない。そのありがたさを感謝しながら、育てた土を大いに活用させてもらう事にする。
「根菜類を外花壇に、葉野菜系を温室で育てたいけど、葉野菜の苗や種はどうにか手に入るかしら……」
できる事なら、リュシェラの死体を確認しに来た誰かに、種をお願いできれば良い。
「そう上手くはいかないかしら……?」
まさか死んでいると思っていた妃が、元気に動き回っている上に、苗や種を寄越せと言ってくるのだ。
(素直に応じてくれたら良いけど……)
リュシェラとしては、殺さないでいてくれただけで御の字なのだから。ちゃんとお世話をしてくれだとか。そんな風に彼等の手を煩わせる気は全くないのだ。
うーん、と悩んだ後に、まぁ考えても仕方が無いと、いったん考える事を放棄する。
時間は有限で、日が暮れてしまう前に、少しでも進められる事は進めておいた方が良い。ムダに悩んでいるよりは、少しでも身体を動かそうと、リュシェラは厨房を後にした。
「それにしても動きにくい……」
スカートの裾を摘まんでみる。これから畑仕事だというのに、レースやら刺繍、ビジューをあしらったドレスは、ムダに重い。それに、動きを妨げる揺れる裾も、ハッキリ言ってずっと邪魔だと思っていた。
「取りあえず、何か着る物を探してきましょう……」
誰も居なくて静まり返った屋敷の中。沢山ある扉を1つずつ開けていけば、きっとどこかに楽な服の1着や2着はあるだろう。そんな思いで漁り続ければ、使用人用らしい部屋から、作業服を発見する。
男性用の服なのか。ウエストも足の長さも合わなくて、かなりダボダボな服だった。それでもいま着ているドレスに比べれば、だいぶマシであることは間違いない。
その場でドレスを脱ぎ捨てて、見つけた作業服へと着替えていく。大きめなウエストはベルトで締め上げて、裾も袖も何度も折り上げれば、ダボダボしながらも、ドレスなんかよりはずいぶん動きやすくなっていた。
「さて、動き出しますか」
朝食に使った食器やお鍋を手早く洗って、リュシェラは周りを見渡した。
できれば、ここで天寿を全うしたい。
「まぁ1週間……いや、もしかしたら1ヶ月ぐらいかな?」
さすがに見殺しにするとはしても、遺体の片付けぐらいは必要なのだ。だから、それぐらい経てば、きっと誰かがここを覗きにくる。そう思うのだが、あまりに予想外な事をする人達なだけに、保証はできないなと思っていた。その上、その時に食料が貰える可能性だって、ほとんど無いと思うのだ。
(だからこそ、今のうちにちゃんと対策をしないとね)
今ある食料だって、その内尽きると分かっているのだから。むざむざ餓死なんかはしたくない。
「取りあえず、何か栽培しなくちゃダメよね」
そう言えば、とさっき見つけた、芋が入っている木箱を漁る。思った通り、箱の底には種芋になりそうな、小さな芋がいくつもあった。
「芋さえあれば、お腹は一応膨れるものね」
幸いここには整備された花壇がある。室内庭園だって、大きな温室として野菜を栽培するには適している。
(もしかしたら、ハーブやエディブルフラワーだってあるかしら。後で確認しに行かなきゃ)
取りあえず今日はこの芋と、花壇に植えられた花の種類を確認して、残す物と抜いてしまう物を選り分けるのが良さそうだ。
ここまで綺麗に整備をした、庭師には申し訳ないけれど。
「素敵なお花たちだけど、食べられないんじゃ仕方ないもの」
花を愛でるだけで腹は、膨れないのだ。それに本来の使用目的からは外れているとはいっても、どちらも栽培。似たような物だ。おかげで一から畑を開墾する必要がない。そのありがたさを感謝しながら、育てた土を大いに活用させてもらう事にする。
「根菜類を外花壇に、葉野菜系を温室で育てたいけど、葉野菜の苗や種はどうにか手に入るかしら……」
できる事なら、リュシェラの死体を確認しに来た誰かに、種をお願いできれば良い。
「そう上手くはいかないかしら……?」
まさか死んでいると思っていた妃が、元気に動き回っている上に、苗や種を寄越せと言ってくるのだ。
(素直に応じてくれたら良いけど……)
リュシェラとしては、殺さないでいてくれただけで御の字なのだから。ちゃんとお世話をしてくれだとか。そんな風に彼等の手を煩わせる気は全くないのだ。
うーん、と悩んだ後に、まぁ考えても仕方が無いと、いったん考える事を放棄する。
時間は有限で、日が暮れてしまう前に、少しでも進められる事は進めておいた方が良い。ムダに悩んでいるよりは、少しでも身体を動かそうと、リュシェラは厨房を後にした。
「それにしても動きにくい……」
スカートの裾を摘まんでみる。これから畑仕事だというのに、レースやら刺繍、ビジューをあしらったドレスは、ムダに重い。それに、動きを妨げる揺れる裾も、ハッキリ言ってずっと邪魔だと思っていた。
「取りあえず、何か着る物を探してきましょう……」
誰も居なくて静まり返った屋敷の中。沢山ある扉を1つずつ開けていけば、きっとどこかに楽な服の1着や2着はあるだろう。そんな思いで漁り続ければ、使用人用らしい部屋から、作業服を発見する。
男性用の服なのか。ウエストも足の長さも合わなくて、かなりダボダボな服だった。それでもいま着ているドレスに比べれば、だいぶマシであることは間違いない。
その場でドレスを脱ぎ捨てて、見つけた作業服へと着替えていく。大きめなウエストはベルトで締め上げて、裾も袖も何度も折り上げれば、ダボダボしながらも、ドレスなんかよりはずいぶん動きやすくなっていた。
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