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第22話 こんな事になるなんて

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 いつもの林の入口へ向かう小道から、少しだけ右に外れた小道の脇には、ワイズベリーの低木が茂っていた。近付くと風に乗って甘酸っぱい匂いが漂ってくる。

「どう? 集まったかしら?」

 摘まみ食いにも精を出していたのか。せっせと集めている2人の口は、手と同じようにもぐもぐと世話しなく動いていた。

 これでは集めるより、食べるのに忙しかったのではないか。
 リュシェラはやっぱり、と内心で苦笑しながら、目線を合わせるように、2人の側で腰を屈めた。

「いっぱい集めたよ! ほら!」

 アラルトがすごい? と広げて見せてきたナプキンには、艶々とした大粒の実が乗っている。

「お前だけが集めたんじゃないだろ」

 その横で、また面白くなさそうな顔をしたティガァが、ナプキンから赤い実を1つ摘まんだ。

「美味しいから、リュシェラ様も食べて」

 ホラッと口元に差し出された赤い実に、リュシェラは目を瞬いた。

 ムッとしたような顔に、ぶっきらぼうに差し出す手。磨かれた石の表面のようなゴーレムの肌は、血色で変わることもない。一見すると、不機嫌そうにも取れる姿だった。
 だけど、何度も「んっ、んっ!」と催促するように差し出す様子から、照れているのが伝わってくる。

─── 人間のような肌なら、今頃真っ赤な顔なんでしょうね。

 フフッと笑ったリュシェラは、素直に口を開いて見せた。

 手に持ったティガァのベリーが口の中に入ろうとした時。ナプキンを両手に持ったままのアラルトが、ティガァの身体に体当たりをした。突然の攻撃と勢いによろめいたティガァが、キッとアラルトを睨み付けた。

「なんだよ!!」

「リュシェラ様にベタベタするな! お前なんてオマケだったくせに!」

 オマケと言われた言葉にカッとなったのか、今度はティガァがアラルトに掴みかかる。

「弱っちいお前に、オマケ扱いされたくねぇよ!」

 そのままの勢いで押し倒したアラルトに、乗り上げながらティガァがグイグイ服を締め上げていた。ただでさえ、見た目以上の重量を持つゴーレムだ。上に乗られているだけでも、苦しい上に、ウィザードのアラルトでは力も適わないのだろう。
その手を引き離そうと暴れるも、ティガァの腕を振り払える様子がない。

「ちょっと! 2人とも止めなさい!!」

 大きな声で止めようとするが、興奮した2人は、リュシェラの声が、聞こえていないようだった。そんな2人を引き離そうと、リュシェラがティガァの後ろに慌てて立った時。

「弱くない! お前が勝てるのは力だけだろ!ケンカは俺の方が強いからな!」

 叫んだアラルトが渾身の力で蹴ったのか、ティガァの身体が後ろへ飛ばされる。子供とは言え、ゴーレムの身体なのだ。支えようにも、人間のリュシェラでは、あまりに非力でダメだった。

「きゃあぁ!」

 ティガァの身体に巻き込まれて、リュシェラの上体が茂みの方へ押しやられる。

 バキバキーー!!

 枝が折れる音がして、二人はハッと我に返った。でもその時には、既に遅く。唖然とした2人の目の前で、痛みに顔を顰めたリュシェラが、茂みの上に倒れ込んでいた。


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更新がゆっくりですみません💦
今回は今日、火曜、木曜に続けて更新します🙇‍♀️💦

その後の回から、ようやくイヴァシグスが再登場の予定なので、間をあまり空けないように頑張ります😭
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