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しおりを挟む先程案内してくれたメイドを見つけたので部屋に連れてく。
怯えた様子は変わらず。
「貴方、名前はなんというのですか?」
「アンです...。あの、私何かやらかしてしまいましたか?」
ベットに座る私と膝を床につけるメイド。
私が虐めてるみたいだから、立つように促す。
「そういう訳ではなくて...。私、記憶喪失になってしまったんです。だから色々教えて貰いたくて」
「記憶、喪失」
「もう酷いことはしないと約束します」
「...はい」
俄かには信じがたいって顔だ。
「ちなみに今まで私はどんな事をしでかしてきたのですか?」
「...メイドを虐めていました。暴言とお茶をかけたりもあったと聞いています」
レイラ...結構やらかしてる。
「聞いている、ということは貴方は被害にあってなかったってこと?」
「主にお嬢様付きのメイドが被害に遭っていましたから。私は噂で聞く程度です」
「その私付きのメイドは?」
「辞めました」
...今夜にでも謝罪の手紙を送ろう。
他にも被害者がいそうだなと思いつつ、一番気になっていた存在について聞くことにした。
「...私には義弟がいたりしますか?」
「...はい。半年ほど前に公爵家の養子となった、エイル・ブライス様がいます」
エイル・ブライス。
『貴方に祝福を捧げる』の攻略対象だ。
元は親戚の子で優秀だからという理由で連れて来られたらしい。
レイラとは従弟姉だ。
エイルはレイラに対して強い憎しみを抱いていることがゲームでは描かれていた。
「私はエイルにも酷いことを...?」
「最初の日に暴言と平手打ちがあったと聞いています」
「あー...そうだったのですね。ありがとうございます、教えてくれて」
攻略対象に殺される日も遠くなさそうね。
悲観的になるのではなくて、そうならない為の対策を考えないと。
...今から誠心誠意謝って許してもらうしかない。
「アン。私、エイルに謝りたいのだけれど、場所を教えてくれますか?」
「...すみません。分かりません」
「わかりました。自分で探してみることにします。色々教えてくれてありがとうございます。仕事に戻って下さい」
アンには感謝だ。
仕事があるだろうし、後は自分でなんとかしよう。
「エイルが行きそうな場所」
うーんと頭を捻る。
ゲームの中では王立図書館にいる率が高かった。
多分、本が好きなのだろう。
書斎や図書室みたいな場所を探しながら散策する。
ここは...。
きっと屋根裏部屋だよね。
埃っぽいし、こんな所に誰もいる筈もないか。
でも、私屋根裏部屋って好きなのよね。
ちょっとだけ入ってみよう。
整えられたベットに簡素な机と椅子があった。
あー落ち着く。
公爵家ってとても広いから、狭いところが逆に落ち着くな。
前世の家を思い出して、しみじみとする。
「レイラ様...?」
目を丸くした攻略対象であり、レイラの義弟であるエイルが立っていた。
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