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22 2回目のデート 前編

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泣いているアリンを抱きしめているとそのうちしゃくりあげる声になり段々と静かになった。そのうち、スー…スー…と寝息が聞こえ始め、フェアンにもたれた体が重みを増した。

「眠ってしまったか……ゆっくりお休み。」

アリンの体をベッドに横たわらせ、布団をかける。

今まで辛かったんだろうなと思うと胸が苦しくなるが、これからは俺が幸せにしたいと心から思う。

「とりあえず、起きてきたら昼飯かな?その後は…」

アリンには言ってないがとある場所に行こうと思う。



ーーー

ドタドタドタッ

廊下を走る音が聞こえる。

「フェアン!ご、ごめんぼく寝ちゃってて!」

「アリン、大丈夫だよ。よく眠れたかい?」

「うん!……て、え、これなに?」

「何って、ちょっと早めの昼ご飯、ブランチかな?そろそろお腹空く頃だろ思って作ったんだ。」

「えー!これ全部フェアンが作ったの?!」

「もちろん!…っていっても大したものじゃないよ?」

テーブルには卵とトマトが挟んであるサンドイッチ、冷めても大丈夫なようにじゃがいもの冷製スープ、たくさんの種類のフルーツ盛りが並べられている。

「フェアン!」

「ん?なんだい?」

「嬉しい。本当ありがとう」

ニコッと笑った顔がたまらなく可愛い。

ーーああ、この笑顔を見れるならなんだって出来るよ。

恋人同士になって、はじめての朝。2人の間には甘い雰囲気が漂っていた。


ーーー

ブランチ食べている途中、フェアンが切り出した。

「アリン、今日これを食べたら出かけたいところがあるんだがいいかな?」

「うん、いいよ!どこに行くの?」

「それは秘密。」

「えっ?どうして?」

「いいから。アリンとの2回目のデート、俺に任せてくれないか?」

「あっ!デ、デートッ!そっか、うん!わ、わかったよ…」

顔が赤くなり照れるアリン。だんだん声が小さくなるのも可愛いくて、俺たち恋人同士になったんだよ?とダメ押しすると湯気が出るんじゃないか?ていうくらい真っ赤っかになった。
 
ーー…これ以上は、俺がもたないな。

可愛いアリンに我慢できなくなる前に、頭をポンポンと撫でて片付けておくから準備しておいで?というとアリンはコクコクと頷き慌てて部屋から出て行った。


ーーー


2人が出掛けた先はノスティアの中で有名なチューリップ畑だった。

「わぁ!ここって!」

「そう。アリン行きたがってただろ?」

このチューリップ畑は特に若者の間で人気で、その理由の一つに
このチューリップ畑に恋人同士で行くと永遠に結ばれるという迷信があるからだ。
アリンは、恋人とか関係なく普通に行ってみたいけどカップルばかりで行きづらいとボソッと言っていたのをフェアンは覚えていたのだ。

「もう、恋人同士なんだし行きづらいとかないだろ?」

「う、うん!たしかに…」

恥ずかしがるアリンにお手をどうぞ?と手を差し伸べると、細い白い手がキュッと俺の手を握った。

ーー君のやりたかったこと、行きたかった所、全部俺と一緒に叶えよう


そう願いながらチューリップ畑へ一歩踏み出した。

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