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第一章:元聖女と渡鴉旅団
聖女の力について/その頃、王国では・その1
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シャルロットに提示した〝ギルドで働く〟という案に対して考えて欲しいと、そう告げてエルナとロンの許へと向かおうと席を立つシド。
しかし直後のシャルロットの〝どうしたら冒険者になれるのか?〟という問いに、その動きはまるで時間が停止したかのように固まってしまう。
「……なんて?」
そんなはずは無いと理解しつつも、シドは聞き間違いを起こしたという可能性を含めて、シャルロットに聞き直した。
するとシャルロットは今度こそ大きな声で、はっきりと同じ質問をシドに投げかけた。
「はい!冒険者になるにはどうすれば良いのでしょうか?私、冒険者をしてみたいのです!」
「……」
聞き間違いなどでは無かったことを痛感したシドは自身とシャルロットの額にそれぞれ手を当て、数秒間その姿勢をとった後に笑顔でシャルロットにこう告げた。
「うん、まだ熱があるようだ。シャル、まだ熱に浮かされているお前に話すことじゃなかったらしい……だからこの話はまた、体調が良くなってからだな」
「ね、熱に浮かされてなどおりません!私は真剣に尋ねているのです!」
「真剣なのか~……」
シドは心底何とも言えない表情をした。
確かに新たな冒険者がギルドに来てくれるのは喜ばしい……諸手を上げて歓迎される事である。
しかしそれは、あくまでも冒険者として─────せめてスライムを倒せる程度の力を持った者達に対してである。
聖痕と聖女の力を失った今のシャルロットに冒険者が務まるとは到底思えない。
冒険者とは、時には一攫千金も夢では無い職業ではあるが、それと同時に常に死と隣り合わせの生活を余儀なくされる立場である。
いつの時代の冒険者も、真っ先に命を失うのは力無い者達からであった。
「そうは言うけどなシャル……お前、聖女の力を失ってる今、戦えるのか?」
真剣な面持ちで、そして真っ直ぐとシャルロットの目を見据えるシド。
シャルロットはその圧に気圧されそうになったが、それでも恐れをグッと飲み込み、自身も同様にシドの目を真っ直ぐ見据えながら大きく頷いた。
「か、勘違いなさっている方が殆どですが……別に聖女の力を失ったからと言って何も出来ないという訳ではありません」
「……?」
「聖女教育には一般的な魔法や治癒魔法、支援魔法なども教わります。これらは聖女のみが持つとされる〝神聖力〟……または〝神力〟とも呼ばれますが、それが切れる─────つまり〝魔力切れ〟に似た状態となった場合に自分の身を守れるようにと、聖女教育では必須科目だったんです」
つまりその力を使い果たしてしまった際でも直ぐに対応出来るようにある程度の魔法は教わっているのだと話すシャルロット。
シドはその話に静かに耳を傾け、時々彼女に質問を投げた。
「なるほど……つまり聖女ではなくなったからといって、別に戦えない訳では無いってことか」
「はい。それに聖魔法、または神聖魔法とも呼ばれますが……それも使う事は出来ます」
「聖女の力ってのはその神聖魔法の事じゃねぇのか?」
「いえ……聖女の力と神聖魔法は別物ですよ?教会関係者─────修道士や司祭様、そして教会に属している聖騎士様達も神聖魔法を使えますから。そもそも〝聖女の力〟というものにもちゃんと名称はあるんですよ?」
「そうなのか?」
「はい。え~と、先ずは神聖魔法は適性のある者にしか使えない、というのはご存知ですか?」
「まぁ……知ってる」
「その神聖魔法は適性のある者ならば誰でも使う事が出来ます。ですがその方達でも使えないのが聖女の力です。聖女の力とは呼ばれておりますが、本来の名称は〝神域魔法〟または〝聖天魔法〟、もしくは〝聖浄魔法〟や〝浄化魔法〟と呼ばれているものです」
「つまりそう呼ばれている魔法を使えるからこその〝聖女の力〟ということか」
「はい。この魔法は魔力ではなく先程も話していた神聖力が必要となりますので、唯一その力を持つ聖女のみしか使えない魔法なのです」
「その……神聖力だったか?それを持ってるかどうかってのは自分では分からんのか?」
「……と、申しますと?」
「いや……聖痕だとか、そう認められるとか無しに、自分で持ってるかどうか分からねぇのかなって?」
「あ~……最初は分かりませんね。ですが聖女教育を受けてゆくにつれて、そういった力を自覚するようにはなります」
シャルロット曰く、聖女の力……つまり神聖力は魔力とは別物であり、それ故にそれを自身で感じられるようになると、自分の体内に二つの力がバランス良く渦巻いている感覚が感じられるという。
「しかし今はぽっかりと……自分の中の何かが抜け落ちたかのような、そんな感覚があります」
「ここまでの話からその抜け落ちた何かというのが、シャルが持っていた神聖力なんだろうな」
「そうかもしれませんね。ですが、神聖魔法はまだ使えそうですから、なくなってしまったものは仕方ないとして考えておこうかと思います。失ったものを嘆いているよりも、割り切って前を向いて生きていた方が楽しめそうですから」
そう言って笑みを浮かべるシャルロットだが、シドはその笑みに僅かながらの陰りがあるのを見逃さなかった。
しかしそれをあえて口に出すことでは無いと判断し、話題を冒険者の事に変えた。
「しかし冒険者か~……冒険者ねぇ~……」
「あの……やっぱり何か問題だったでしょうか?」
悩むシドにシャルロットは不安そうな表情を浮かべる。
しかしシドはキョトンとした表情でそれを否定した。
「いや、別に何もねぇよ?ただちょっと意外だったってだけだ」
「そんなにも意外だったでしょうか?」
「まぁ、まさかシャルの口から〝冒険者になりたい〟って言葉が出てくるとは思わんかったからよ。ガントさんもそれは考えてなかっただろうぜ?」
「そうなると認められないのでしょうか?」
「そんな事は無いんじゃね?まぁ、それなりの手続きが必要にはなってくるが……最近、ガントさんの口癖が〝人手不足だ〟だったしな。シャルが冒険者になりてぇってんなら、それこそ驚きこそすれ断ることはねぇだろうさ」
「そういう事でしたら、ちょっと安心ですね♪︎」
「ちなみに入って直ぐに依頼を受けられる訳では無いからな?」
「そうなのですか?」
シドの言葉にシャルロットは疑問符を浮かべる。
シドはそんなシャルロットに対し、〝ちょうど良いか〟と言って、彼女に冒険者について説明を始めるのであった。
◇
シャルロットが追放されてから一週間程経ったアトランシア王国─────
その王都の城の最上階にある部屋の一つ、〝聖女の間〟では連日、アトランシアの新たな聖女となったリリアーナの許に貴族達が訪れていた。
「聖女様、こちら我が国にて発掘された希少な宝石に御座います」
「こちらは最高級の絹糸で織られた絹布に御座います」
「なんの!こちらはかの名工によって作られた伝説の杖に御座いますぞ!」
どんどん贈られる国宝にも匹敵する数々の品にリリアーナは笑みが止まらなかった。
(ふふっ……誰も彼もがこの私に膝まづいているわ♪︎)
リリアーナはそんな下卑た事を思いながら、聖痕がある箇所をそっと撫でた。
リリアーナは幼い頃より常に一番であった。
誰よりも一番に注目を浴び、誰よりも一番に愛でられ、そして誰よりも一番に扱われる。
血を分けた実の姉であるシャルロットさえも自分を引き立たさせる道具に過ぎず、両親から蔑まれていたシャルロットを見ては歪んだ自尊心を更に強めていった。
しかしそんなリリアーナにとって予想外の出来事が起こる─────それは他でもなくシャルロットが聖女に目覚めた事であった。
自分よりも格下だと思っていた姉が聖女になる。
その事実は何よりもリリアーナの自尊心を傷付けた。
シャルロットが聖女に認定されてしまえば両親と周囲の注目は必ずシャルロットに向けられてしまうだろう……そうなれば今度は自分が惨めな思いをする事になる。
そう思ったリリアーナはその日から、どうすればシャルロットではなく自分が聖女になれるかについて考え始める。
不運にもシャルロットは直ぐに聖女教育の為に遠い神聖エルサレム皇国へと連れていかれてしまった為、手出しすることは出来なくなってしまったが、しかしシャルロットが去った翌日の両親の会話を聞いてリリアーナはまだチャンスが残されていると知る事になる。
「未だにあのシャルロットが聖女に選ばれるなど信じられんな」
「そうですね……選ばれるならばあんなシャルロットより、可愛いリリアの方でしょうに」
「しかしお陰で我が家も〝聖公爵〟という貴族になれたわけだが……」
「そうねぇ……これで可愛いリリアが聖女であったならば何も文句は無いのですけど……」
そんな両親の会話を聞いてリリアーナの中に邪悪な考えが浮かび上がる。
(やっぱり……お父さんもお母さんも、私が聖女になる事を望んでいるのよ!シャルロット……聖女に望まれてるのはあんたなんかじゃない!この私よ!)
しかしそう思ってもシャルロットに聖痕が現れた事は変えられない事実─────すると両親の口からこんな言葉が出てきた。
「リリアに聖痕が出ていれば……」
「あなた……どうにかしてリリアが聖女に選ばれないかしら?」
「どういう意味だ?」
「だって……あんなシャルロットが聖女と呼ばれるのは見ていて不快でしょう?どうにかしてリリアがそう呼ばれないかしら?」
「うぅむ……」
母親の話に唸る父親。
彼らがいる部屋と壁一枚隔てた先で聞き耳を立てていたリリアーナは歪んだ笑みを浮かべる。
(そうだわ!本当の聖女はシャルロットではなく私だったって事にすれば良いのよ!平民だった昔ならともかく、今は貴族なのよ!貴族の力があれば、あの姉から聖女の座を奪うことだって可能なはずだわ!)
リリアーナはそう考えると、ドアをそっと開けて中へと入る。
そして驚く両親の前で、リリアーナは姉を聖女の座から追い落とす話を両親に持ちかけたのであった。
それから月日は流れ、ありとあらゆる手段を用いて見つけた呪術師や、そしてシャルロットの専属メイドであったマリアを邪な手段で引き込んだ事でリリアーナの〝聖女の座簒奪計画〟を成功させた。
そのおまけとして第一王子の婚約者という立場も得ることが出来て、リリアーナはこれまで感じたことの無い優越感に浸っていた。
シャルロットも美しい容姿ではあったが、それに勝る可憐な容姿を持つリリアーナに周囲の者達は一瞬で心奪われてしまった。
〝なんとかリリアーナに気に入られなくては〟という思いが貴族達を惑わせ、貴族達はリリアーナに気に入られたいが為に良からぬ事にも手を染め始めていた。
リリアーナは姉から奪った力であたかも自分こそが聖女であるかのように振舞ってはいるが、その力はシャルロットと比べ非常に弱いものであった。
聖女に選ばれたからといって決して驕らず研鑽を積んでいたシャルロットと違い、リリアーナはその力に胡座をかいていたのである。
そもそもアトランシアにいた精霊達や、神々は両親やリリアーナからの誹りを受けてもなお腐らず、両親やリリアーナすら責めようとしないシャルロットのその清らかな心に感心し彼女に聖女の力を授けたに過ぎない。
だと言うのにその力を奪いふんぞり返るリリアーナと両親、そしてシャルロットを責め、追い出したガイウスや貴族、この国の国民達に怒り狂い、そして呆れ果ててこの地を去ってしまった。
当然、シャルロットがまだ聖女であった頃に国を丸ごと覆うように張った結界は今では完全に消滅してしまい、周囲にいた魔物達はこれ幸いと辺境の村を襲い始めた。
本来の聖女ではなく、精霊や神々からも見放されたリリアーナ……それ故に彼女の力は他の聖女達よりも遥かに弱く、また自ら研鑽すらしない事でその力が強まることはない。
だからこそ辺境の領主達から救援要請を求められたとしても、リリアーナは決してそれを受けようとはしなかった。
ただ王城で贅沢に生きたいが為に……。
そんな我儘放題好き勝手生きるリリアーナに対し、彼女を聖女だと宣言し婚約者に選んだガイウスは、父親である国王に呼び出され、その鋭い眼差しを向けられていた。
「ガイウス……今回呼んだ理由についてはもう把握しておるな?」
「な、なんの事でしょうか父上?」
「ふん……あくまでも白を切るつもりか?まぁ良い……今回呼んだのはあの聖女についてだ」
「り、リリアがどうかなさったのですか?」
ガイウスが恐る恐るそう尋ねた途端、国王の目が一気に吊り上がった。
「〝どうかなさった〟だと?何も無いからこそこうして呼び出したのではないか!」
「何も無ければ別に良いではありませんか?どうしてそう怒ってらっしゃるのですか?」
「みなまで言わんと分からんくらいに愚かになったか!何故、辺境の領主達から救援要請が来ているのにも関わらず、あの聖女は一向に出向こうとせんのだ!」
「父上!リリアはまだ聖女になったばかりです……教育も終えていない状態で出向いては、必ず命の危険に晒されて─────」
「この大馬鹿者が!聖女教育を担当した者から、一日たりとて教育に顔を出していないという報告が上がっている事を余が知らんとでも思っていたのか!」
「ヒッ─────!」
そう……リリアーナは聖女になった日から一度も聖女教育を受けていない。
それどころかその教育担当者から酷く扱われているという虚偽の報告をガイウスにしている始末なのである。
国王はその事実を全て把握しており、それでもガイウスに一任していた為に今の今まで口を出していなかった。
「知っておるか?救援要請を出していた辺境の領主が治めておる村の一つが壊滅したらしい……」
「そ、そんな……」
「領主は言っておったよ……〝何故、救援要請に応えてくれなかったのか〟とな。そもそも余は最初からあの娘が真の聖女であるとは思っておらんかったのだよ」
「なん、ですって?」
国王から告げられた一言にガイウスは自身の胸の中で炎が燃え始めるのを感じた。
しかし対する国王は氷の如く至って冷静に話を続けた。
「余は、まだ聖女であった頃のシャルロットをよく見ていた……彼女は忙しなく動いており、それこそいったいいつ休んでいるのかとさえ思ったほどだ」
「シャルロット……その名を出さないで貰えますか父上?」
二度と聞きたくない名前にガイウスは憤りを見せるが、国王はそれを聞き入れず更に話を続ける。
「彼女の師匠でもあるクリスティア教皇猊下の話では、シャルロットは次期〝大聖女〟に相応しい聖女だったそうだ。それに教皇猊下自身も次の教皇にはシャルロットを推薦したいとさえ言っておったのだよ」
「そんな……あの偽物が……?」
「黙れ!」
玉座の間に響き渡る国王の声─────
ビリビリと震える空気に、その場にいた大半の者達は今にも気を失いそうになっていた。
「確かにシャルロットは聖痕を失った……しかし貴様は何故、シャルロットが聖痕を失ったのか、その理由を探った事があったか?」
「し、調べずとも……それがシャルロットが偽の聖女である何よりの証拠でありましょう?!」
「まだ言うか!余が他国へ出向いている間に起こってしまった事ゆえ、余の管理不行き届きとして帰ってきた当初は問わぬかったが……それでも余はシャルロットが偽の聖女だとは思っておらん!当然、あのリリアーナという小娘が聖女であるともな!」
「しかしリリアーナにはちゃんと聖痕が─────」
「余がこの国に帰還し、その話を聞いてから直ぐに教皇猊下に尋ねてみた……〝聖痕を失うことなどあるのか?〟とな。すると教皇猊下はこう仰っておったよ。〝相当な悪事に手を染めぬ限り有り得ない〟とな」
「それについては……シャルロットが今までリリアーナを脅し、本来聖女になるはずだったリリアーナに成り代わって聖女となった─────その罪を精霊や神々が許さず彼女の偽りの聖痕を消したのでしょう!」
「ふむ……まぁある意味では道理が繋がっておらんとは言えぬな」
「そうでしょう?ですから─────」
「では何故、そのシャルロットが国を追われ、リリアーナが聖女になった途端にこの国から精霊達が消えたのだろうな?」
「はっ……えっ……?」
ここまでいかにシャルロットが非道な人物であったのか説明してきたガイウスであったが、国王のそんな質問に言葉を失ってしまった。
「精霊が……消えた……?」
その事実はガイウスにとって完全に寝耳に水で、その事に対しガイウスはただただこちらを睨む国王の目を見ているしか無かった。
しかし直後のシャルロットの〝どうしたら冒険者になれるのか?〟という問いに、その動きはまるで時間が停止したかのように固まってしまう。
「……なんて?」
そんなはずは無いと理解しつつも、シドは聞き間違いを起こしたという可能性を含めて、シャルロットに聞き直した。
するとシャルロットは今度こそ大きな声で、はっきりと同じ質問をシドに投げかけた。
「はい!冒険者になるにはどうすれば良いのでしょうか?私、冒険者をしてみたいのです!」
「……」
聞き間違いなどでは無かったことを痛感したシドは自身とシャルロットの額にそれぞれ手を当て、数秒間その姿勢をとった後に笑顔でシャルロットにこう告げた。
「うん、まだ熱があるようだ。シャル、まだ熱に浮かされているお前に話すことじゃなかったらしい……だからこの話はまた、体調が良くなってからだな」
「ね、熱に浮かされてなどおりません!私は真剣に尋ねているのです!」
「真剣なのか~……」
シドは心底何とも言えない表情をした。
確かに新たな冒険者がギルドに来てくれるのは喜ばしい……諸手を上げて歓迎される事である。
しかしそれは、あくまでも冒険者として─────せめてスライムを倒せる程度の力を持った者達に対してである。
聖痕と聖女の力を失った今のシャルロットに冒険者が務まるとは到底思えない。
冒険者とは、時には一攫千金も夢では無い職業ではあるが、それと同時に常に死と隣り合わせの生活を余儀なくされる立場である。
いつの時代の冒険者も、真っ先に命を失うのは力無い者達からであった。
「そうは言うけどなシャル……お前、聖女の力を失ってる今、戦えるのか?」
真剣な面持ちで、そして真っ直ぐとシャルロットの目を見据えるシド。
シャルロットはその圧に気圧されそうになったが、それでも恐れをグッと飲み込み、自身も同様にシドの目を真っ直ぐ見据えながら大きく頷いた。
「か、勘違いなさっている方が殆どですが……別に聖女の力を失ったからと言って何も出来ないという訳ではありません」
「……?」
「聖女教育には一般的な魔法や治癒魔法、支援魔法なども教わります。これらは聖女のみが持つとされる〝神聖力〟……または〝神力〟とも呼ばれますが、それが切れる─────つまり〝魔力切れ〟に似た状態となった場合に自分の身を守れるようにと、聖女教育では必須科目だったんです」
つまりその力を使い果たしてしまった際でも直ぐに対応出来るようにある程度の魔法は教わっているのだと話すシャルロット。
シドはその話に静かに耳を傾け、時々彼女に質問を投げた。
「なるほど……つまり聖女ではなくなったからといって、別に戦えない訳では無いってことか」
「はい。それに聖魔法、または神聖魔法とも呼ばれますが……それも使う事は出来ます」
「聖女の力ってのはその神聖魔法の事じゃねぇのか?」
「いえ……聖女の力と神聖魔法は別物ですよ?教会関係者─────修道士や司祭様、そして教会に属している聖騎士様達も神聖魔法を使えますから。そもそも〝聖女の力〟というものにもちゃんと名称はあるんですよ?」
「そうなのか?」
「はい。え~と、先ずは神聖魔法は適性のある者にしか使えない、というのはご存知ですか?」
「まぁ……知ってる」
「その神聖魔法は適性のある者ならば誰でも使う事が出来ます。ですがその方達でも使えないのが聖女の力です。聖女の力とは呼ばれておりますが、本来の名称は〝神域魔法〟または〝聖天魔法〟、もしくは〝聖浄魔法〟や〝浄化魔法〟と呼ばれているものです」
「つまりそう呼ばれている魔法を使えるからこその〝聖女の力〟ということか」
「はい。この魔法は魔力ではなく先程も話していた神聖力が必要となりますので、唯一その力を持つ聖女のみしか使えない魔法なのです」
「その……神聖力だったか?それを持ってるかどうかってのは自分では分からんのか?」
「……と、申しますと?」
「いや……聖痕だとか、そう認められるとか無しに、自分で持ってるかどうか分からねぇのかなって?」
「あ~……最初は分かりませんね。ですが聖女教育を受けてゆくにつれて、そういった力を自覚するようにはなります」
シャルロット曰く、聖女の力……つまり神聖力は魔力とは別物であり、それ故にそれを自身で感じられるようになると、自分の体内に二つの力がバランス良く渦巻いている感覚が感じられるという。
「しかし今はぽっかりと……自分の中の何かが抜け落ちたかのような、そんな感覚があります」
「ここまでの話からその抜け落ちた何かというのが、シャルが持っていた神聖力なんだろうな」
「そうかもしれませんね。ですが、神聖魔法はまだ使えそうですから、なくなってしまったものは仕方ないとして考えておこうかと思います。失ったものを嘆いているよりも、割り切って前を向いて生きていた方が楽しめそうですから」
そう言って笑みを浮かべるシャルロットだが、シドはその笑みに僅かながらの陰りがあるのを見逃さなかった。
しかしそれをあえて口に出すことでは無いと判断し、話題を冒険者の事に変えた。
「しかし冒険者か~……冒険者ねぇ~……」
「あの……やっぱり何か問題だったでしょうか?」
悩むシドにシャルロットは不安そうな表情を浮かべる。
しかしシドはキョトンとした表情でそれを否定した。
「いや、別に何もねぇよ?ただちょっと意外だったってだけだ」
「そんなにも意外だったでしょうか?」
「まぁ、まさかシャルの口から〝冒険者になりたい〟って言葉が出てくるとは思わんかったからよ。ガントさんもそれは考えてなかっただろうぜ?」
「そうなると認められないのでしょうか?」
「そんな事は無いんじゃね?まぁ、それなりの手続きが必要にはなってくるが……最近、ガントさんの口癖が〝人手不足だ〟だったしな。シャルが冒険者になりてぇってんなら、それこそ驚きこそすれ断ることはねぇだろうさ」
「そういう事でしたら、ちょっと安心ですね♪︎」
「ちなみに入って直ぐに依頼を受けられる訳では無いからな?」
「そうなのですか?」
シドの言葉にシャルロットは疑問符を浮かべる。
シドはそんなシャルロットに対し、〝ちょうど良いか〟と言って、彼女に冒険者について説明を始めるのであった。
◇
シャルロットが追放されてから一週間程経ったアトランシア王国─────
その王都の城の最上階にある部屋の一つ、〝聖女の間〟では連日、アトランシアの新たな聖女となったリリアーナの許に貴族達が訪れていた。
「聖女様、こちら我が国にて発掘された希少な宝石に御座います」
「こちらは最高級の絹糸で織られた絹布に御座います」
「なんの!こちらはかの名工によって作られた伝説の杖に御座いますぞ!」
どんどん贈られる国宝にも匹敵する数々の品にリリアーナは笑みが止まらなかった。
(ふふっ……誰も彼もがこの私に膝まづいているわ♪︎)
リリアーナはそんな下卑た事を思いながら、聖痕がある箇所をそっと撫でた。
リリアーナは幼い頃より常に一番であった。
誰よりも一番に注目を浴び、誰よりも一番に愛でられ、そして誰よりも一番に扱われる。
血を分けた実の姉であるシャルロットさえも自分を引き立たさせる道具に過ぎず、両親から蔑まれていたシャルロットを見ては歪んだ自尊心を更に強めていった。
しかしそんなリリアーナにとって予想外の出来事が起こる─────それは他でもなくシャルロットが聖女に目覚めた事であった。
自分よりも格下だと思っていた姉が聖女になる。
その事実は何よりもリリアーナの自尊心を傷付けた。
シャルロットが聖女に認定されてしまえば両親と周囲の注目は必ずシャルロットに向けられてしまうだろう……そうなれば今度は自分が惨めな思いをする事になる。
そう思ったリリアーナはその日から、どうすればシャルロットではなく自分が聖女になれるかについて考え始める。
不運にもシャルロットは直ぐに聖女教育の為に遠い神聖エルサレム皇国へと連れていかれてしまった為、手出しすることは出来なくなってしまったが、しかしシャルロットが去った翌日の両親の会話を聞いてリリアーナはまだチャンスが残されていると知る事になる。
「未だにあのシャルロットが聖女に選ばれるなど信じられんな」
「そうですね……選ばれるならばあんなシャルロットより、可愛いリリアの方でしょうに」
「しかしお陰で我が家も〝聖公爵〟という貴族になれたわけだが……」
「そうねぇ……これで可愛いリリアが聖女であったならば何も文句は無いのですけど……」
そんな両親の会話を聞いてリリアーナの中に邪悪な考えが浮かび上がる。
(やっぱり……お父さんもお母さんも、私が聖女になる事を望んでいるのよ!シャルロット……聖女に望まれてるのはあんたなんかじゃない!この私よ!)
しかしそう思ってもシャルロットに聖痕が現れた事は変えられない事実─────すると両親の口からこんな言葉が出てきた。
「リリアに聖痕が出ていれば……」
「あなた……どうにかしてリリアが聖女に選ばれないかしら?」
「どういう意味だ?」
「だって……あんなシャルロットが聖女と呼ばれるのは見ていて不快でしょう?どうにかしてリリアがそう呼ばれないかしら?」
「うぅむ……」
母親の話に唸る父親。
彼らがいる部屋と壁一枚隔てた先で聞き耳を立てていたリリアーナは歪んだ笑みを浮かべる。
(そうだわ!本当の聖女はシャルロットではなく私だったって事にすれば良いのよ!平民だった昔ならともかく、今は貴族なのよ!貴族の力があれば、あの姉から聖女の座を奪うことだって可能なはずだわ!)
リリアーナはそう考えると、ドアをそっと開けて中へと入る。
そして驚く両親の前で、リリアーナは姉を聖女の座から追い落とす話を両親に持ちかけたのであった。
それから月日は流れ、ありとあらゆる手段を用いて見つけた呪術師や、そしてシャルロットの専属メイドであったマリアを邪な手段で引き込んだ事でリリアーナの〝聖女の座簒奪計画〟を成功させた。
そのおまけとして第一王子の婚約者という立場も得ることが出来て、リリアーナはこれまで感じたことの無い優越感に浸っていた。
シャルロットも美しい容姿ではあったが、それに勝る可憐な容姿を持つリリアーナに周囲の者達は一瞬で心奪われてしまった。
〝なんとかリリアーナに気に入られなくては〟という思いが貴族達を惑わせ、貴族達はリリアーナに気に入られたいが為に良からぬ事にも手を染め始めていた。
リリアーナは姉から奪った力であたかも自分こそが聖女であるかのように振舞ってはいるが、その力はシャルロットと比べ非常に弱いものであった。
聖女に選ばれたからといって決して驕らず研鑽を積んでいたシャルロットと違い、リリアーナはその力に胡座をかいていたのである。
そもそもアトランシアにいた精霊達や、神々は両親やリリアーナからの誹りを受けてもなお腐らず、両親やリリアーナすら責めようとしないシャルロットのその清らかな心に感心し彼女に聖女の力を授けたに過ぎない。
だと言うのにその力を奪いふんぞり返るリリアーナと両親、そしてシャルロットを責め、追い出したガイウスや貴族、この国の国民達に怒り狂い、そして呆れ果ててこの地を去ってしまった。
当然、シャルロットがまだ聖女であった頃に国を丸ごと覆うように張った結界は今では完全に消滅してしまい、周囲にいた魔物達はこれ幸いと辺境の村を襲い始めた。
本来の聖女ではなく、精霊や神々からも見放されたリリアーナ……それ故に彼女の力は他の聖女達よりも遥かに弱く、また自ら研鑽すらしない事でその力が強まることはない。
だからこそ辺境の領主達から救援要請を求められたとしても、リリアーナは決してそれを受けようとはしなかった。
ただ王城で贅沢に生きたいが為に……。
そんな我儘放題好き勝手生きるリリアーナに対し、彼女を聖女だと宣言し婚約者に選んだガイウスは、父親である国王に呼び出され、その鋭い眼差しを向けられていた。
「ガイウス……今回呼んだ理由についてはもう把握しておるな?」
「な、なんの事でしょうか父上?」
「ふん……あくまでも白を切るつもりか?まぁ良い……今回呼んだのはあの聖女についてだ」
「り、リリアがどうかなさったのですか?」
ガイウスが恐る恐るそう尋ねた途端、国王の目が一気に吊り上がった。
「〝どうかなさった〟だと?何も無いからこそこうして呼び出したのではないか!」
「何も無ければ別に良いではありませんか?どうしてそう怒ってらっしゃるのですか?」
「みなまで言わんと分からんくらいに愚かになったか!何故、辺境の領主達から救援要請が来ているのにも関わらず、あの聖女は一向に出向こうとせんのだ!」
「父上!リリアはまだ聖女になったばかりです……教育も終えていない状態で出向いては、必ず命の危険に晒されて─────」
「この大馬鹿者が!聖女教育を担当した者から、一日たりとて教育に顔を出していないという報告が上がっている事を余が知らんとでも思っていたのか!」
「ヒッ─────!」
そう……リリアーナは聖女になった日から一度も聖女教育を受けていない。
それどころかその教育担当者から酷く扱われているという虚偽の報告をガイウスにしている始末なのである。
国王はその事実を全て把握しており、それでもガイウスに一任していた為に今の今まで口を出していなかった。
「知っておるか?救援要請を出していた辺境の領主が治めておる村の一つが壊滅したらしい……」
「そ、そんな……」
「領主は言っておったよ……〝何故、救援要請に応えてくれなかったのか〟とな。そもそも余は最初からあの娘が真の聖女であるとは思っておらんかったのだよ」
「なん、ですって?」
国王から告げられた一言にガイウスは自身の胸の中で炎が燃え始めるのを感じた。
しかし対する国王は氷の如く至って冷静に話を続けた。
「余は、まだ聖女であった頃のシャルロットをよく見ていた……彼女は忙しなく動いており、それこそいったいいつ休んでいるのかとさえ思ったほどだ」
「シャルロット……その名を出さないで貰えますか父上?」
二度と聞きたくない名前にガイウスは憤りを見せるが、国王はそれを聞き入れず更に話を続ける。
「彼女の師匠でもあるクリスティア教皇猊下の話では、シャルロットは次期〝大聖女〟に相応しい聖女だったそうだ。それに教皇猊下自身も次の教皇にはシャルロットを推薦したいとさえ言っておったのだよ」
「そんな……あの偽物が……?」
「黙れ!」
玉座の間に響き渡る国王の声─────
ビリビリと震える空気に、その場にいた大半の者達は今にも気を失いそうになっていた。
「確かにシャルロットは聖痕を失った……しかし貴様は何故、シャルロットが聖痕を失ったのか、その理由を探った事があったか?」
「し、調べずとも……それがシャルロットが偽の聖女である何よりの証拠でありましょう?!」
「まだ言うか!余が他国へ出向いている間に起こってしまった事ゆえ、余の管理不行き届きとして帰ってきた当初は問わぬかったが……それでも余はシャルロットが偽の聖女だとは思っておらん!当然、あのリリアーナという小娘が聖女であるともな!」
「しかしリリアーナにはちゃんと聖痕が─────」
「余がこの国に帰還し、その話を聞いてから直ぐに教皇猊下に尋ねてみた……〝聖痕を失うことなどあるのか?〟とな。すると教皇猊下はこう仰っておったよ。〝相当な悪事に手を染めぬ限り有り得ない〟とな」
「それについては……シャルロットが今までリリアーナを脅し、本来聖女になるはずだったリリアーナに成り代わって聖女となった─────その罪を精霊や神々が許さず彼女の偽りの聖痕を消したのでしょう!」
「ふむ……まぁある意味では道理が繋がっておらんとは言えぬな」
「そうでしょう?ですから─────」
「では何故、そのシャルロットが国を追われ、リリアーナが聖女になった途端にこの国から精霊達が消えたのだろうな?」
「はっ……えっ……?」
ここまでいかにシャルロットが非道な人物であったのか説明してきたガイウスであったが、国王のそんな質問に言葉を失ってしまった。
「精霊が……消えた……?」
その事実はガイウスにとって完全に寝耳に水で、その事に対しガイウスはただただこちらを睨む国王の目を見ているしか無かった。
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