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第一章:元聖女と渡鴉旅団
精霊
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シドのチームに入りたいという願い出を受け入れられたシャルロットは表情を明るくさせる。
するとそのタイミングで別室にいたロンとエルナが戻ってきた。
「取り乱しちゃってごめんなさいね……って、どうかしたの?」
泣き腫らした目を擦りながらエルナはロンと共に部屋へと入るなり中の様子に思わず訝しげな表情となる。
シドはそんな二人に対し嬉しそうな声でこう告げた。
「喜べ二人共!なんと、うちのチームにシャルが入ってくれる事になったぞ!」
「「どういう事?!」」
自分達が席を外している間にいったいどうしてそんな話になったのかと、ロンとエルナは揃って驚愕する。
「ちょちょ、ちょっと待って?!え?なに?どういう事?」
「そうだぜシド!ちゃんと順を追って話してくれねぇと……俺らどんな反応して良いのか分からねぇって!」
「あぁ、すまんすまん。実はだな─────っと、その前に……シャル、二人にもあの話聞かせてくれるか?」
「はい、もちろん良いですよ。私も、お二人にも聞いて欲しいと思ってましたから」
「「……?」」
シャルロットとシドの会話に互いに顔を見合せ首を傾げるロンとエルナ。
シャルロットはそんな二人の様子にクスリと笑みを零しつつ、シドにも話した自身のこれまでの事について話し始めるのであった。
◇
それから数分後─────シャルロットの話に静かに耳を傾けていたロンとエルナは、口々に自身の感想を述べた。
「はぁ~……なるほどなぁ。何やらワケありだとは思ってたけど、まさかそんな理由があったなんてな?」
「そうね……でも、私としてはシャルが聖女だった事になんか納得したかも?」
「「どういう事だ?」」
何やら納得したような口振りのエルナに、シドとロンは声を揃えて尋ねる。
するとエルナは〝そう言えば〟と言うような表情をしながら、その言葉の意味について話し始める。
「そういやシドとロンは人族だから見ることが出来なかったわね?シャル、私は上位エルフだって話したわよね?」
「そういえば……そうですね」
「いい?エルフ族は精霊と共に暮らす種族なの。エルフ族だけでなくドワーフ族なんかもそうね。だからエルフ族は常に精霊の姿を見ることが出来るのよ」
「つまり何か?シャルはその精霊と関係があ──「うっさいロン!ちょっと黙ってて!」──酷くね?!」
何やら言いかけているロンの言葉を制して、エルナは更に話を続けた。
「あの日……森の中で倒れていたシャルを見つけた時、シドとロンはどんな風に見えてた?」
「あん?そりゃあ……エルナが今言った通りだが?」
「普通はそう見えるわよね?でも、その時の私は精霊達が集まってるように見えてたのよ」
エルナの言葉にシドは眉間に皺を寄せた。
「よく見たらシャルだったからシドが彼女を助けようとしたって直ぐに分かったけれど、ともかくあれだけの数の精霊達がまるでシャルを守るようにして集まっていたことを、私はずっと不思議に思ってたのよ」
「つまり……そういうことがあったから、私が聖女だったという事に納得なさっていたのですね?」
「そういうことよ」
「なるほど……ちなみにその精霊ってのは今もシャルのそばにいるのか?」
シドにそう尋ねられたエルナは直ぐに答えず、何故か周囲を見渡してからこう答えた。
その表情はどこか引き攣ったようなものだったが……。
「いるわ……それもとんでもない数がね。それこそ、この部屋いっぱいにいるわよ」
「おいおいマジか……」
エルナの返答にシドは表情を引き攣らせ、ロンとシャルロットはそれを確かめるように先程のエルナ同様周囲を見渡し始める。
「精霊は通常、誰かに……それこそ人族に寄り付いたりしないわ。けれどこれだけの数の精霊達の全てがシャルに付いてきたのなら、それはもうシャルが聖女だからとしか説明のしようがないのよ」
「私には見えませんが……もしそうなら、精霊さん達とお話がしてみたいです」
「話したいなら話してみれば良いじゃない」
「え?」
「え?」
何の気もなしに話してみれば良いと言ったエルナであったが、シャルロットが意外そうな表情をしているのでつられてエルナも同じような表情をしてしまう。
「え?話せるでしょう?」
「あの……私はもう聖女の力は無いので……」
「いやいや。聖女の力なんて関係ないわよ。だって貴方、こんなにも精霊達に好かれてるのよ?」
そう言ったところでエルナは何かに気付いた様子になり、シャルロットにこんな事を言い始める。
「シャル、一旦目を閉じてみて?」
「え?あ、はい……」
言われた通り目を閉じるシャルロット。
そしてエルナは次にこんな指示をシャルロットへと出す。
「そのまま精霊達の気配……って言っても難しく思っちゃうわね?え~と、イメージしてみて?自分の周りに精霊達がいる光景をね」
「はい……」
シャルロットはイメージした。
可愛らしい羽の生えた小さな小さな姿の精霊の姿を……。
思い描いたその姿は彼女が幼い頃に大聖堂の図書館で読んだ伝承が綴られた本に描かれた挿絵の中の精霊の姿。
「イメージ出来たのなら目を開けてみて?」
エルナに促されるままにそっと目を開いたシャルロット─────
そして彼女はそこに映る光景に思わず声を上げそうになった。
「─────っ!!」
「おい、どうしたシャル?!」
「あ、もしかして見ることが出来たかしら♪︎」
愉快そうに話すエルナの前で、シャルロットは自身の視界いっぱいに映る沢山の小さな存在に圧倒されていた。
その小さな存在はシャルロットが今しがた思い描いていた姿そのもので、その存在達のその全てがシャルロットを見てニコニコと笑みを浮かべている。
『あっ!やっとこっち見たー!』
『やったー♪︎シャルロット、僕達のこと見てくれたー!』
『エルナに感謝ー!』
『エルナ良い人~!』
『シドはもっと良い人~♪︎』
『ロンはお人好し~♪︎』
ロンに対してだけは何か少し違うように思えたが、それでも今のシャルロットはそんな事を気にしていられる状況では無い。
「こ、声が……」
『シャルロット、僕達の声も聞こえてるー!』
『これでお話出来るー!』
『シャルロット、もっともっとお話したい~♪︎』
その声は耳に入ってくるというよりも頭の中に響くような声であった。
しかし不思議と嫌な気はせず、まるで鈴の音のように綺麗で聴き心地の良い声であった。
「その様子だと声も聞こえてるみたいね?初めてでそこまでならかなりのものよ?」
エルナはそう言うとシャルロットの隣に座り、宙に漂う精霊達を見ながら彼女にこう述べた。
「精霊達はずっと貴方の事を見守っててくれてたのよ。だから偶然あの森の中にいた私達をシャルの所へ
導いてくれたんだと思う」
そう言ってシャルロットに顔を向けるエルナ。
シャルロットはその話を聞いて、自然と精霊達に向けてその言葉を口にしていた。
「私を見守ってくださり、ありがとうございます」
『どういたしまして~』
『シャルロットのためなら僕達何でもする~』
『ずっとシャルロット守る~』
精霊達の言葉に無意識のうちに笑を零していたシャルロット─────
それを見ていたシド、ロン、そしてエルナの三人は互いに顔を見合せ笑みを浮かべるのであった。
しかしシャルロットが何やら背後に気配を感じてそちらへ顔を向けた時、彼女は思わずギョッとしてしまった。
そこには窓の外からこちらを見つめる無数の精霊達の姿があったからである。
それを見てエルナも続いて窓の方へと顔を向けては、シャルロットと同じように目を大きく見開いていた。
「……?外に何かいるのか?」
窓を見て固まっているシャルロットとエルナに、不思議に思ったシドが窓枠に近寄り外を眺めるが、そこには澄み渡る青空と、その下で道を行き交う人々の姿しか見受けられない。
まぁ、シドは精霊を見ることが出来ないのでシャルロットとエルナの見ている景色が分からないわけではあるが……。
「何も無いじゃねぇか」
シャルロットとエルナは見た─────そう話すシドに一斉に注目している精霊達の姿を……。
可愛らしい精霊ではあるが、この数で一斉にシドを注目する姿はある種の恐怖を抱かせる光景であった。
そんな事など知る由もないシドが首を傾げていると、ようやく我に返ったエルナが叫ぶような声を上げる。
「なんなのこの数?!こんな数の精霊達……私でも見たことないんだけど?!」
「は?そんなにいるのか?」
「〝そんなに〟ってレベルじゃないわよ!はっきり言ってこの数は異常よ!」
エルナはそう話し、隣ではシャルロットがそれに同意するように何度も頷いていた。
するとそんなシャルロットに先程の精霊達が話しかける。
『僕達、皆に教えたの~』
「お、教えたって……何を……?」
精霊に話しかけられようやく我に返ったシャルロットが恐る恐るそう尋ねると、精霊達は揃って笑顔を浮かべながらこう言った。
『僕達教えた~』
『シャルロット、僕達が見えるようになった~』
『シャルロット、僕達と話せるようになった~』
『それ、皆に教えた~』
『そしたら皆来たの~』
『皆一緒~♪︎シャルロットと一緒~♪︎ずっと一緒~♪︎』
シャルロットは何だか目眩がするような気がした。
精霊達の声は当然ハイエルフであるエルナにも聞こえており、彼女は焦った様子で精霊達に詳しい話を聞く。
「み、皆って……もしかして帝国中の精霊達がここに集まってるの?!」
『帝国もだけど~』
「帝国……〝も〟……?」
『王国の子達も来た~』
「はぁぁぁぁぁ?!」
今度こそエルナはその場に響き渡るほどの声で叫んだ。
「ちょちょちょ───ちょっと待ちなさいよ?!王国の精霊達も来たって……もしかして今、王国には精霊がいないってこと?!」
『うん~』
エルナの質問を肯定するような精霊の返事にシャルロットの顔から血の気が引く。
そんな彼女を他所に精霊達は口々に話し始めた。
『王国の人達、シャルロットいじめた~』
『シャルロットの妹、シャルロットから力奪った~』
『居場所も奪った~』
『王国の人きら~い』
『僕もきら~い』
『僕も~』
『でもシャルロット好き~』
『シドも好き~』
『エルナも~』
『ロンも~』
『王国、精霊いなくなった~』
『神様もいなくなった~』
『皆シャルロット追ってきた~』
『王国、見放された~』
唖然とするシャルロットとエルナの前でそう話す精霊達。
そして彼らは最後に声を揃えてこう言ったのだった。
『王国崩壊待った無し~♪︎』
楽しそうに……そしてその時を待ち遠しそうにそう話す精霊達に、シャルロットは青ざめた表情を浮かべながら、目の前が真っ暗になっていくような感覚に襲われるのだった。
するとそのタイミングで別室にいたロンとエルナが戻ってきた。
「取り乱しちゃってごめんなさいね……って、どうかしたの?」
泣き腫らした目を擦りながらエルナはロンと共に部屋へと入るなり中の様子に思わず訝しげな表情となる。
シドはそんな二人に対し嬉しそうな声でこう告げた。
「喜べ二人共!なんと、うちのチームにシャルが入ってくれる事になったぞ!」
「「どういう事?!」」
自分達が席を外している間にいったいどうしてそんな話になったのかと、ロンとエルナは揃って驚愕する。
「ちょちょ、ちょっと待って?!え?なに?どういう事?」
「そうだぜシド!ちゃんと順を追って話してくれねぇと……俺らどんな反応して良いのか分からねぇって!」
「あぁ、すまんすまん。実はだな─────っと、その前に……シャル、二人にもあの話聞かせてくれるか?」
「はい、もちろん良いですよ。私も、お二人にも聞いて欲しいと思ってましたから」
「「……?」」
シャルロットとシドの会話に互いに顔を見合せ首を傾げるロンとエルナ。
シャルロットはそんな二人の様子にクスリと笑みを零しつつ、シドにも話した自身のこれまでの事について話し始めるのであった。
◇
それから数分後─────シャルロットの話に静かに耳を傾けていたロンとエルナは、口々に自身の感想を述べた。
「はぁ~……なるほどなぁ。何やらワケありだとは思ってたけど、まさかそんな理由があったなんてな?」
「そうね……でも、私としてはシャルが聖女だった事になんか納得したかも?」
「「どういう事だ?」」
何やら納得したような口振りのエルナに、シドとロンは声を揃えて尋ねる。
するとエルナは〝そう言えば〟と言うような表情をしながら、その言葉の意味について話し始める。
「そういやシドとロンは人族だから見ることが出来なかったわね?シャル、私は上位エルフだって話したわよね?」
「そういえば……そうですね」
「いい?エルフ族は精霊と共に暮らす種族なの。エルフ族だけでなくドワーフ族なんかもそうね。だからエルフ族は常に精霊の姿を見ることが出来るのよ」
「つまり何か?シャルはその精霊と関係があ──「うっさいロン!ちょっと黙ってて!」──酷くね?!」
何やら言いかけているロンの言葉を制して、エルナは更に話を続けた。
「あの日……森の中で倒れていたシャルを見つけた時、シドとロンはどんな風に見えてた?」
「あん?そりゃあ……エルナが今言った通りだが?」
「普通はそう見えるわよね?でも、その時の私は精霊達が集まってるように見えてたのよ」
エルナの言葉にシドは眉間に皺を寄せた。
「よく見たらシャルだったからシドが彼女を助けようとしたって直ぐに分かったけれど、ともかくあれだけの数の精霊達がまるでシャルを守るようにして集まっていたことを、私はずっと不思議に思ってたのよ」
「つまり……そういうことがあったから、私が聖女だったという事に納得なさっていたのですね?」
「そういうことよ」
「なるほど……ちなみにその精霊ってのは今もシャルのそばにいるのか?」
シドにそう尋ねられたエルナは直ぐに答えず、何故か周囲を見渡してからこう答えた。
その表情はどこか引き攣ったようなものだったが……。
「いるわ……それもとんでもない数がね。それこそ、この部屋いっぱいにいるわよ」
「おいおいマジか……」
エルナの返答にシドは表情を引き攣らせ、ロンとシャルロットはそれを確かめるように先程のエルナ同様周囲を見渡し始める。
「精霊は通常、誰かに……それこそ人族に寄り付いたりしないわ。けれどこれだけの数の精霊達の全てがシャルに付いてきたのなら、それはもうシャルが聖女だからとしか説明のしようがないのよ」
「私には見えませんが……もしそうなら、精霊さん達とお話がしてみたいです」
「話したいなら話してみれば良いじゃない」
「え?」
「え?」
何の気もなしに話してみれば良いと言ったエルナであったが、シャルロットが意外そうな表情をしているのでつられてエルナも同じような表情をしてしまう。
「え?話せるでしょう?」
「あの……私はもう聖女の力は無いので……」
「いやいや。聖女の力なんて関係ないわよ。だって貴方、こんなにも精霊達に好かれてるのよ?」
そう言ったところでエルナは何かに気付いた様子になり、シャルロットにこんな事を言い始める。
「シャル、一旦目を閉じてみて?」
「え?あ、はい……」
言われた通り目を閉じるシャルロット。
そしてエルナは次にこんな指示をシャルロットへと出す。
「そのまま精霊達の気配……って言っても難しく思っちゃうわね?え~と、イメージしてみて?自分の周りに精霊達がいる光景をね」
「はい……」
シャルロットはイメージした。
可愛らしい羽の生えた小さな小さな姿の精霊の姿を……。
思い描いたその姿は彼女が幼い頃に大聖堂の図書館で読んだ伝承が綴られた本に描かれた挿絵の中の精霊の姿。
「イメージ出来たのなら目を開けてみて?」
エルナに促されるままにそっと目を開いたシャルロット─────
そして彼女はそこに映る光景に思わず声を上げそうになった。
「─────っ!!」
「おい、どうしたシャル?!」
「あ、もしかして見ることが出来たかしら♪︎」
愉快そうに話すエルナの前で、シャルロットは自身の視界いっぱいに映る沢山の小さな存在に圧倒されていた。
その小さな存在はシャルロットが今しがた思い描いていた姿そのもので、その存在達のその全てがシャルロットを見てニコニコと笑みを浮かべている。
『あっ!やっとこっち見たー!』
『やったー♪︎シャルロット、僕達のこと見てくれたー!』
『エルナに感謝ー!』
『エルナ良い人~!』
『シドはもっと良い人~♪︎』
『ロンはお人好し~♪︎』
ロンに対してだけは何か少し違うように思えたが、それでも今のシャルロットはそんな事を気にしていられる状況では無い。
「こ、声が……」
『シャルロット、僕達の声も聞こえてるー!』
『これでお話出来るー!』
『シャルロット、もっともっとお話したい~♪︎』
その声は耳に入ってくるというよりも頭の中に響くような声であった。
しかし不思議と嫌な気はせず、まるで鈴の音のように綺麗で聴き心地の良い声であった。
「その様子だと声も聞こえてるみたいね?初めてでそこまでならかなりのものよ?」
エルナはそう言うとシャルロットの隣に座り、宙に漂う精霊達を見ながら彼女にこう述べた。
「精霊達はずっと貴方の事を見守っててくれてたのよ。だから偶然あの森の中にいた私達をシャルの所へ
導いてくれたんだと思う」
そう言ってシャルロットに顔を向けるエルナ。
シャルロットはその話を聞いて、自然と精霊達に向けてその言葉を口にしていた。
「私を見守ってくださり、ありがとうございます」
『どういたしまして~』
『シャルロットのためなら僕達何でもする~』
『ずっとシャルロット守る~』
精霊達の言葉に無意識のうちに笑を零していたシャルロット─────
それを見ていたシド、ロン、そしてエルナの三人は互いに顔を見合せ笑みを浮かべるのであった。
しかしシャルロットが何やら背後に気配を感じてそちらへ顔を向けた時、彼女は思わずギョッとしてしまった。
そこには窓の外からこちらを見つめる無数の精霊達の姿があったからである。
それを見てエルナも続いて窓の方へと顔を向けては、シャルロットと同じように目を大きく見開いていた。
「……?外に何かいるのか?」
窓を見て固まっているシャルロットとエルナに、不思議に思ったシドが窓枠に近寄り外を眺めるが、そこには澄み渡る青空と、その下で道を行き交う人々の姿しか見受けられない。
まぁ、シドは精霊を見ることが出来ないのでシャルロットとエルナの見ている景色が分からないわけではあるが……。
「何も無いじゃねぇか」
シャルロットとエルナは見た─────そう話すシドに一斉に注目している精霊達の姿を……。
可愛らしい精霊ではあるが、この数で一斉にシドを注目する姿はある種の恐怖を抱かせる光景であった。
そんな事など知る由もないシドが首を傾げていると、ようやく我に返ったエルナが叫ぶような声を上げる。
「なんなのこの数?!こんな数の精霊達……私でも見たことないんだけど?!」
「は?そんなにいるのか?」
「〝そんなに〟ってレベルじゃないわよ!はっきり言ってこの数は異常よ!」
エルナはそう話し、隣ではシャルロットがそれに同意するように何度も頷いていた。
するとそんなシャルロットに先程の精霊達が話しかける。
『僕達、皆に教えたの~』
「お、教えたって……何を……?」
精霊に話しかけられようやく我に返ったシャルロットが恐る恐るそう尋ねると、精霊達は揃って笑顔を浮かべながらこう言った。
『僕達教えた~』
『シャルロット、僕達が見えるようになった~』
『シャルロット、僕達と話せるようになった~』
『それ、皆に教えた~』
『そしたら皆来たの~』
『皆一緒~♪︎シャルロットと一緒~♪︎ずっと一緒~♪︎』
シャルロットは何だか目眩がするような気がした。
精霊達の声は当然ハイエルフであるエルナにも聞こえており、彼女は焦った様子で精霊達に詳しい話を聞く。
「み、皆って……もしかして帝国中の精霊達がここに集まってるの?!」
『帝国もだけど~』
「帝国……〝も〟……?」
『王国の子達も来た~』
「はぁぁぁぁぁ?!」
今度こそエルナはその場に響き渡るほどの声で叫んだ。
「ちょちょちょ───ちょっと待ちなさいよ?!王国の精霊達も来たって……もしかして今、王国には精霊がいないってこと?!」
『うん~』
エルナの質問を肯定するような精霊の返事にシャルロットの顔から血の気が引く。
そんな彼女を他所に精霊達は口々に話し始めた。
『王国の人達、シャルロットいじめた~』
『シャルロットの妹、シャルロットから力奪った~』
『居場所も奪った~』
『王国の人きら~い』
『僕もきら~い』
『僕も~』
『でもシャルロット好き~』
『シドも好き~』
『エルナも~』
『ロンも~』
『王国、精霊いなくなった~』
『神様もいなくなった~』
『皆シャルロット追ってきた~』
『王国、見放された~』
唖然とするシャルロットとエルナの前でそう話す精霊達。
そして彼らは最後に声を揃えてこう言ったのだった。
『王国崩壊待った無し~♪︎』
楽しそうに……そしてその時を待ち遠しそうにそう話す精霊達に、シャルロットは青ざめた表情を浮かべながら、目の前が真っ暗になっていくような感覚に襲われるのだった。
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