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第一章:元聖女と渡鴉旅団
その日の終わり
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シャルロットが気付いた時には、シドが必死にシャルロットに声をかけていた時だった。
「シャル!おいシャル!大丈夫か?!」
「あ……はい……」
シャルロットが返事をした事に安堵したのか、シドはその場で大きく息を吐いて椅子へと座る。
「あの……私……いったい……」
「シャル……貴方、途中で気を失っていたのよ?」
自分の身に何が起きていたのか分からず困惑していると、エルナが心配そうな顔でそう教えてくれた。
「気を……失っていたのですか?」
「そうよ。でも、無理は無いわね……精霊達からあんな事聞かされちゃったら……」
そう言われシャルロットはハッとして周囲を見渡す。
するとそこには先程までいた大量の精霊達がその姿を消しており、数体の精霊達だけが落ち込んだ様子でシャルロットのことを見ていた。
その姿にシャルロットが首を傾げていると、エルナがクスリと笑ってその理由を話す。
「シャルが気を失ったあと、シドが精霊達をお説教したのよ」
「えぇ!精霊さん達をお説教ですか?!」
エルナの報告にシャルロットは驚きを隠せなかった。
「シドとロンに精霊達が話していた事を教えたのよ。そしたらシド、怒っちゃって……〝いきなりそんな話をシャルに聞かせるな!〟って」
「追放された事で受けた心の傷が治りきっていない時にそんな話を聞かされたらこうなるって誰だってそう思うだろう。だからエルナに通訳して貰って、ちゃんと考えて発言しろと言ったんだ」
「シャルに見せたかったわ~。その時の精霊達の姿♪︎彼ら、揃ってシドに土下座してたのよ?」
「えぇ?!」
その時の光景はどうしても思い浮かばず、シャルロットはただただ驚くばかりであった。
するとそんなシャルロットに残った精霊達が近寄り、口々に彼女に謝罪の言葉を述べ始める。
『シャル、ごめん~』
『僕達、嬉しくてつい~』
『シャル、倒れるなんて思わなかった~』
『ごめんなさい~』
『嫌いにならないで~』
「いいんですよ。私の事を想って下さってたんですよね?確かに驚きましたが……嫌いになんてなりませんよ♪︎」
シャルロットがそう言って精霊達に笑顔を向けると、精霊達はパァっと表情を明るくさせてシャルロットに抱きついた。
『シャル好き~!』
『大好き~!』
『ずっと一緒~!』
『ずっとそばにいる~!』
『僕達シャル守る~!』
「ふふっ……ありがとうございます─────って……〝シャル〟?」
いつの間にか精霊達が自身のことを〝シャル〟という愛称で呼んでいることに気付いたシャルロットが首を傾げていると、シドがそれについて説明をする。
「あぁ、どうせなら〝シャル〟って呼んでやってくれって言ったんだ。その方が呼びやすいし、何より精霊達と仲良くなれそうだろ?」
そう言って最後に〝嫌だったか?〟とシドが問うと、精霊達もまた目をウルウルとさせながらシャルロットを見上げた。
シャルロットは笑みを浮かべてそれを否定すると、見上げてくる精霊達に向けてこう言った。
「いいえ、そう呼んで頂けると嬉しいです♪︎」
『やったー!』
嬉しさを全身で表すようにその場で小躍りを始める精霊達。
その姿を見て微笑ましそうにシャルロットが笑みを浮かべていると、不意にエルナが口を開いた。
「そういえば話が途中になってたわね。それで何だっけ?確かシャルが冒険者になりたいって話だったわよね?」
「あぁ、そういや元はそういう話だったな」
シドとエルナがそんな会話をし始めたことでシャルロットもその事を思い出し、ロンとエルナの二人に改めてその旨を伝える。
「私は皆さんのチームに入りたいんです」
「私としては心から大歓迎よ。ロンは?」
「俺も賛成だな」
二人の言葉に喜ぶシャルロット。
「そうなると色々と手続きが必要になってくるんだが……それはまた明日かな?」
そう言って窓の外を見るシド。
シャルロットもそれに続いて窓の方へと視線を向けてみると、いつの間にか外は真っ暗になっていた。
いったいどれだけ気を失っていたのだろうか、とシャルロットは少し三人に申し訳なく思った。
「それじゃあ明日は俺からガントさんにシャルの事を話してみるよ。あとはアイツにも手伝って貰わにゃならんしな」
「あぁ、彼の事ね」
シドが示す人物について、どうやらエルナは知っているらしい。
見ればロンも納得したような表情をしており、ただ一人シャルロットだけ知らないその人物の事を、彼女はとても気になった。
「お知り合いの方ですか?」
「あぁ、このギルド内で唯一仲の良い奴がいるんだ」
「その人も冒険者なんだけれど……ちょ~っと特別な立場に立つ人なのよね」
「どういった方なのですか?」
シャルロットがそう尋ねるなり三人は顔を見合せて何やらコソコソと相談を始める。
そしてシドがシャルロットへと顔を向けると、たった一言だけこう言った。
「会えば分かる」
「……?」
シャルロットはその答えに戸惑ってしまったが、それでもシドはそれ以上何も言わず、ロンとエルナと共に〝また明日〟とだけ言って去っていった。
残されたシャルロットはシドが話す人物の事をあれこれ考えてしまいなかなか寝つけられずにいたが、その内疲れが溜まっていたらしくウトウトし始め、ゆっくりと夢の中へと入っていった。
そして翌朝────目を覚ましたシャルロットはその視線の先にこちらを見ながら笑みを浮かべている、見たこともないほどの美しい女性がいる事に気が付き、思わずまだ夢の中かと思い再び目を閉じようか悩むのであった。
「シャル!おいシャル!大丈夫か?!」
「あ……はい……」
シャルロットが返事をした事に安堵したのか、シドはその場で大きく息を吐いて椅子へと座る。
「あの……私……いったい……」
「シャル……貴方、途中で気を失っていたのよ?」
自分の身に何が起きていたのか分からず困惑していると、エルナが心配そうな顔でそう教えてくれた。
「気を……失っていたのですか?」
「そうよ。でも、無理は無いわね……精霊達からあんな事聞かされちゃったら……」
そう言われシャルロットはハッとして周囲を見渡す。
するとそこには先程までいた大量の精霊達がその姿を消しており、数体の精霊達だけが落ち込んだ様子でシャルロットのことを見ていた。
その姿にシャルロットが首を傾げていると、エルナがクスリと笑ってその理由を話す。
「シャルが気を失ったあと、シドが精霊達をお説教したのよ」
「えぇ!精霊さん達をお説教ですか?!」
エルナの報告にシャルロットは驚きを隠せなかった。
「シドとロンに精霊達が話していた事を教えたのよ。そしたらシド、怒っちゃって……〝いきなりそんな話をシャルに聞かせるな!〟って」
「追放された事で受けた心の傷が治りきっていない時にそんな話を聞かされたらこうなるって誰だってそう思うだろう。だからエルナに通訳して貰って、ちゃんと考えて発言しろと言ったんだ」
「シャルに見せたかったわ~。その時の精霊達の姿♪︎彼ら、揃ってシドに土下座してたのよ?」
「えぇ?!」
その時の光景はどうしても思い浮かばず、シャルロットはただただ驚くばかりであった。
するとそんなシャルロットに残った精霊達が近寄り、口々に彼女に謝罪の言葉を述べ始める。
『シャル、ごめん~』
『僕達、嬉しくてつい~』
『シャル、倒れるなんて思わなかった~』
『ごめんなさい~』
『嫌いにならないで~』
「いいんですよ。私の事を想って下さってたんですよね?確かに驚きましたが……嫌いになんてなりませんよ♪︎」
シャルロットがそう言って精霊達に笑顔を向けると、精霊達はパァっと表情を明るくさせてシャルロットに抱きついた。
『シャル好き~!』
『大好き~!』
『ずっと一緒~!』
『ずっとそばにいる~!』
『僕達シャル守る~!』
「ふふっ……ありがとうございます─────って……〝シャル〟?」
いつの間にか精霊達が自身のことを〝シャル〟という愛称で呼んでいることに気付いたシャルロットが首を傾げていると、シドがそれについて説明をする。
「あぁ、どうせなら〝シャル〟って呼んでやってくれって言ったんだ。その方が呼びやすいし、何より精霊達と仲良くなれそうだろ?」
そう言って最後に〝嫌だったか?〟とシドが問うと、精霊達もまた目をウルウルとさせながらシャルロットを見上げた。
シャルロットは笑みを浮かべてそれを否定すると、見上げてくる精霊達に向けてこう言った。
「いいえ、そう呼んで頂けると嬉しいです♪︎」
『やったー!』
嬉しさを全身で表すようにその場で小躍りを始める精霊達。
その姿を見て微笑ましそうにシャルロットが笑みを浮かべていると、不意にエルナが口を開いた。
「そういえば話が途中になってたわね。それで何だっけ?確かシャルが冒険者になりたいって話だったわよね?」
「あぁ、そういや元はそういう話だったな」
シドとエルナがそんな会話をし始めたことでシャルロットもその事を思い出し、ロンとエルナの二人に改めてその旨を伝える。
「私は皆さんのチームに入りたいんです」
「私としては心から大歓迎よ。ロンは?」
「俺も賛成だな」
二人の言葉に喜ぶシャルロット。
「そうなると色々と手続きが必要になってくるんだが……それはまた明日かな?」
そう言って窓の外を見るシド。
シャルロットもそれに続いて窓の方へと視線を向けてみると、いつの間にか外は真っ暗になっていた。
いったいどれだけ気を失っていたのだろうか、とシャルロットは少し三人に申し訳なく思った。
「それじゃあ明日は俺からガントさんにシャルの事を話してみるよ。あとはアイツにも手伝って貰わにゃならんしな」
「あぁ、彼の事ね」
シドが示す人物について、どうやらエルナは知っているらしい。
見ればロンも納得したような表情をしており、ただ一人シャルロットだけ知らないその人物の事を、彼女はとても気になった。
「お知り合いの方ですか?」
「あぁ、このギルド内で唯一仲の良い奴がいるんだ」
「その人も冒険者なんだけれど……ちょ~っと特別な立場に立つ人なのよね」
「どういった方なのですか?」
シャルロットがそう尋ねるなり三人は顔を見合せて何やらコソコソと相談を始める。
そしてシドがシャルロットへと顔を向けると、たった一言だけこう言った。
「会えば分かる」
「……?」
シャルロットはその答えに戸惑ってしまったが、それでもシドはそれ以上何も言わず、ロンとエルナと共に〝また明日〟とだけ言って去っていった。
残されたシャルロットはシドが話す人物の事をあれこれ考えてしまいなかなか寝つけられずにいたが、その内疲れが溜まっていたらしくウトウトし始め、ゆっくりと夢の中へと入っていった。
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