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第2章 過去のふたり
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ベンジャミンの到着から間もなく、授賞式が始まると、後は事前に聞いていたとおりにすべてがつつがなく進み、あっけないほどあっという間に式は終わっていった。
(あっけない、なんて言うと、王様からお言葉を頂戴したのに不敬よね。)
ルフェルニアはそう思うものの、王様が言った「ここに敬意を表する」などというお堅い言葉よりも、ユリウスやユリウスの両親、昨日聞いたリヒター、ロビンソンからの言葉の方がよっぽど暖かみがあって価値のあるものに感じたのだ。
控室に戻ると、間もなくしてユリウスが迎えに来た。
「ルフェ、お疲れ様。無事終わってよかったね。後ろで見ていた僕も、とっても誇らしい気持ちになったよ。」
「ありがとう、ユリウス。特に何も話す必要もなかったから、ボロが出なくてよかったわ。」
授賞式の前に、今のユリウスと昔のユリウスが一瞬重なって見えたことが要因か、ルフェルニアはユリウスとあまり緊張せずに話すことができていた。
「言っただろう?授賞式はあくまで体裁をなせば良いって。この後の懇親会では受賞者もスピーチしなくちゃいけないからね。」
この後は受賞者と参列者を交えて懇談会という名の昼食会が行われる予定だが、サイラスやオットマーの配慮でルフェルニアは不参加となっているのだ。
一方で、今回の研究の一番の出資者として、サイラスはオットマーを連れて参加する予定になっている。
ルフェルニアは後から聞いた話だが、認可前の薬を使用していたことについては、ミネルウァ公爵家の力で丸め込んだらしい。恐らくサイラスらは懇談会ではその辺りを追及されることも懸念してルフェルニアを不参加にしたのだろう。
「スピーチなんて、できる気がしないから、サイラス様とお父様の配慮に感謝ね。でも、緊張でお腹はすいたから、早く帰って何か食べたいわ。」
ルフェルニアが軽くお腹をさすると、ユリウスは声を出して笑った。
「ルフェはそうでなくっちゃ。今日のお昼は王都で有名なレストランを予約してあるんだ。早速行こうか?」
ユリウスはルフェルニアを流れるように馬車へとエスコートする。
どうやら帰りはミネルウァ公爵家の馬車のようだ。
「あれ?アルウィンとお母様は?」
てっきり馬車の中に先に乗っていると思っていたルフェルニアは馬車の外をきょろきょろと見まわす。
「ランチは僕とルフェの2人だよ。」
ユリウスはそう言うと、馬車に乗り込んで扉を閉めてしまう。
「えっ?どうして…?」
「だって、約束しただろう。僕に王都を案内してあげるって。大丈夫、アルウィンとシラー夫人は母上に連れられて別で楽しんでいるよ。」
昨日と今朝と同様に隣に座ってきたユリウスに、今度はちゃんと直接抗議を入れる。
「…ちょっと、向かいの席も空いているわ。」
「ルフェは嫌だ?」
(この聞き方はずるい…!何だか可愛いし…!)
小首を傾げて言うユリウスに、ルフェルニアは思わず言葉を詰まらせる。
きっとこれもユリウスの思惑通りなのだろう。
「ねぇ、嫌だ?」
なおも聞いてくるユリウスに、ルフェルニアがとても小さな声で「嫌じゃない。」というとユリウスは嬉しそうに笑う。
「ユリウスが笑うことが多くなって良かった。貴方、昨日からずぅっと笑っているもの。」
ルフェルニアはユリウスの闘病中の感情が希薄な表情を思い出して言葉をこぼす。
「そうかな?周りの人には表情で感情がわかりづらいと言われるけれど…きっと久しぶりにルフェに会えたのが嬉しくて、つい笑っちゃうんだろうね。」
(美しいと可愛いの暴力!!こんな調子でランチを一緒にして、私、生きて帰れるかな…。)
(あっけない、なんて言うと、王様からお言葉を頂戴したのに不敬よね。)
ルフェルニアはそう思うものの、王様が言った「ここに敬意を表する」などというお堅い言葉よりも、ユリウスやユリウスの両親、昨日聞いたリヒター、ロビンソンからの言葉の方がよっぽど暖かみがあって価値のあるものに感じたのだ。
控室に戻ると、間もなくしてユリウスが迎えに来た。
「ルフェ、お疲れ様。無事終わってよかったね。後ろで見ていた僕も、とっても誇らしい気持ちになったよ。」
「ありがとう、ユリウス。特に何も話す必要もなかったから、ボロが出なくてよかったわ。」
授賞式の前に、今のユリウスと昔のユリウスが一瞬重なって見えたことが要因か、ルフェルニアはユリウスとあまり緊張せずに話すことができていた。
「言っただろう?授賞式はあくまで体裁をなせば良いって。この後の懇親会では受賞者もスピーチしなくちゃいけないからね。」
この後は受賞者と参列者を交えて懇談会という名の昼食会が行われる予定だが、サイラスやオットマーの配慮でルフェルニアは不参加となっているのだ。
一方で、今回の研究の一番の出資者として、サイラスはオットマーを連れて参加する予定になっている。
ルフェルニアは後から聞いた話だが、認可前の薬を使用していたことについては、ミネルウァ公爵家の力で丸め込んだらしい。恐らくサイラスらは懇談会ではその辺りを追及されることも懸念してルフェルニアを不参加にしたのだろう。
「スピーチなんて、できる気がしないから、サイラス様とお父様の配慮に感謝ね。でも、緊張でお腹はすいたから、早く帰って何か食べたいわ。」
ルフェルニアが軽くお腹をさすると、ユリウスは声を出して笑った。
「ルフェはそうでなくっちゃ。今日のお昼は王都で有名なレストランを予約してあるんだ。早速行こうか?」
ユリウスはルフェルニアを流れるように馬車へとエスコートする。
どうやら帰りはミネルウァ公爵家の馬車のようだ。
「あれ?アルウィンとお母様は?」
てっきり馬車の中に先に乗っていると思っていたルフェルニアは馬車の外をきょろきょろと見まわす。
「ランチは僕とルフェの2人だよ。」
ユリウスはそう言うと、馬車に乗り込んで扉を閉めてしまう。
「えっ?どうして…?」
「だって、約束しただろう。僕に王都を案内してあげるって。大丈夫、アルウィンとシラー夫人は母上に連れられて別で楽しんでいるよ。」
昨日と今朝と同様に隣に座ってきたユリウスに、今度はちゃんと直接抗議を入れる。
「…ちょっと、向かいの席も空いているわ。」
「ルフェは嫌だ?」
(この聞き方はずるい…!何だか可愛いし…!)
小首を傾げて言うユリウスに、ルフェルニアは思わず言葉を詰まらせる。
きっとこれもユリウスの思惑通りなのだろう。
「ねぇ、嫌だ?」
なおも聞いてくるユリウスに、ルフェルニアがとても小さな声で「嫌じゃない。」というとユリウスは嬉しそうに笑う。
「ユリウスが笑うことが多くなって良かった。貴方、昨日からずぅっと笑っているもの。」
ルフェルニアはユリウスの闘病中の感情が希薄な表情を思い出して言葉をこぼす。
「そうかな?周りの人には表情で感情がわかりづらいと言われるけれど…きっと久しぶりにルフェに会えたのが嬉しくて、つい笑っちゃうんだろうね。」
(美しいと可愛いの暴力!!こんな調子でランチを一緒にして、私、生きて帰れるかな…。)
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