アレの眠る孤塔

不来方しい

文字の大きさ
22 / 38
第三章 親子

022 幻覚

しおりを挟む
 夢を見ていた。ほんの小さな、ささいな夢。
 武道の稽古をしていて、組み手の最中、俺は軽い怪我を負った。大したことはなくても、師に医務室へ行けと言われ、俺は渋々向かうしかなかった。
『失礼します』
 反吐が出るほど薬の臭いが嫌いだった。医薬品は人生の先を延ばすもので、正反対に寿命を根こそぎ奪い取るもの。俺は、この世界が異常なものだと気づいていた、多分。俺も家族も友人も他人も、幸せでありたい、他の国よりは幸福だと言い聞かせ、果報者のふりをしていた。
『……どうした』
『あの……いや、大したことじゃないんだけど』
『……………………』
 碧い瞳がやけにやさしくて、この人はこんな人だっけ、と疑問が生じる。冷酷な目で窓から眺めていると、話していた友人の勘違いだったのかもしれない。
『ちょっと捻っただけです。行ってこいって、うるさくて』
 大丈夫ですと帰ろうとして、痛めた腕の逆を掴まれた。
 そこで、俺は目が覚めた。しっかり寝たはずなのに、なんだかすっきりしない目覚めだ。
「おはよう、アルネス」
「おはよう」
 今日の朝食はアルネス担当だ。キャベツと豆のスープと、柑橘系のジャム。何の柑橘なのかは分からない。いろいろ混ぜて作ってみた。
「目覚めはどうだ?」
「なんか、夢を見ていた気がする」
「悪夢か?」
「悪夢……って感じじゃないけど、すっきりしない。なんだったかなあ」
「夢見が悪くても仕方がない。まずは食事にしよう」
 今日は外に出る日だ。それも昨日の女性の部屋にお邪魔をさせて頂くことになっている。父親なんだからお腹の子に会いにきてよと押し切られてしまい、なぜかアルネスは明日行くと返事をしてしまった。きっと何か考えがあるのだろうと思う。
 食事の後は着替えて必要なものを身につけた。重みのある物体Gも腰につけて、いよいよ外に通じる扉を開ける。
 子がいるのならば当時の状況を知りたいと、アルネスは言葉巧みに彼女の家に行くことをこぎ着けた。ぜひパパも一緒にと言われてしまい、思わず「はい」と返事をしてしまったら、嬉しそうな顔の女性と、食卓にシュガービーツを出さなかったときのようなアルネスの顔が対照的だった。
「なあ、アルネス」
「なんだ。結婚は許さんぞ」
「聞いたことある台詞だなあ。俺さ、まったくもって身に覚えはないんだけど、不安しかなくて」
「……今朝から静かだった理由はそれか」
「うん、まあ。っていうか朝は俺いつも静かだろ? 眠いし」
 なぜか俺はアルネスに腰を抱かれていて、頭を撫でられている。恥ずかしかったけど、人目がないのが有り難かったけど、めちゃくちゃ気持ちがいい。不安の取り除き方は子供に対するそれだったけれど、してもらえた俺は満足だ。
「……何をしているんですの」
 見知らぬ男性と、乱れた上着のまま外に出てきたのは、例の女性だ。男性は「アビ、今日も素敵だったよ」と言い、なぜかアルネスを睨んで帰ってしまった。女性はアビと言うらしい。
「どうぞ、お入り下さいな」
 先にアルネスが入り、続けて俺もお邪魔させて頂く。ひと部屋が大きい作りで、キッチン、リビング、そして使った形跡のあるベッドがあり、毛布が床に半分落ち掛かっている。直してやりたいが、今この場で不用意に触れるのは危険な気がする。何をしても疑われる。
──飲むな。
 座る直前、アルネスの唇が耳に触れた。こそばゆくて聞き取りづらかったが、キッチンで飲み物の準備をしている彼女を見て、気を引き締めた。
「野菜の根から作ったお茶です。どうぞ」
「お、お気遣いなく」
 アルネスは一瞥しただけで、カップを持とうともしない。
「この人、私に下さいません?」
「断る」
 この人を指す俺は、口を挟める雰囲気ではない。しばらく黙っていよう。
「まずは検査結果を言おう。あなたの腹に、子は宿していない」
「そんなはずは、」
「私は医者だ。結果を伝え、回りくどい言い方も嘘も言わない」
「なら、このお腹の痛みは何なのです?」
「あなたは凪が父親だと言った。そして、子供ができた日、凪は私の家にいた証拠がないとも言った。逆に質問するが、凪が私の家から出た証拠はあるのか?」
「それは……確かに彼の子です」
「話にならん」
 堂々巡りの中、俺はアルネスの頬を叩いた。平手打ちというより、平手のまま直でまっすぐ飛んでいった叩き方である。
「わ、ごめん。びっくりした」
「……驚いたのはこちらだ」
「変な虫飛んでたからさ、アルネスに噛みつくと思って」
 手のひらには、虫の残骸も残っていない。逃げたようだ。
 アルネスは顎に手を指をかけ、固まっている。アビは俺を見て、猫が無理やりお風呂に入れられたときのような顔をしていた。
「……理解した。診察室に来てもらおう」
「え、俺も?」
「お前も私の患者だ。有無は言わせん」
 椅子が鳴ると、テーブルにあるカップの水面が揺れた。少しも量が減っていない。結局、俺もアルネスもカップに口すらつけなかった。
 アルネスは試験管にアビの家の回りの土を採取し、説明もないまま行こうと促す。
「その格好で寒くないんですか?」
 一応、聞いてみた。白いワンピースが普段着のようで、胸元を大きく開けて、どこを見たらいいのか困る。目を見ればいいのだが、何を考えているのか分からない気だるい目は、あまり見たいものではなかった。美しさにはいろんなスタイルや感じ方があるけれど、俺はアルネスの持つ美しさが圧倒的に好みだった。彼女は、生気や金銭、その他諸々を根こそぎ奪っていくような美しさを放っている。
「ええ……あなたが暖めてくれたからちっとも寒くないわ」
「俺はあなたに指一本触れた記憶はないんですけどね」
「またそのようなことを仰って。あんなに激しかったのに」
 パパ、そんな目で見るな。今のアルネスの気持ちを通訳するのなら、「なぜ息子の閨事を聞かされなければならないんだ」という苛立ちのこもった目だった。俺だって聞かせたくない。というか、俺じゃない。
 目線だらけの攻防戦を繰り返しながら、俺たちの住む家に帰ってきた。そのまま行き着く先は、診察室だ。
「二人の血を採取する」
 ロボットのように感情の乗らない声で言い放つと、まずはアビから採血を始めた。
「先生、今宵はいかがですか?」
「採血終了。帰っていい」
「んもう。つれないのね」
 アルネスの興味の矛先は、アビより血だ。どす黒いのはお馴染みの色であっても、アルネスにとっては魅力的に見えるのかもしれない。
「あの、良ければ送って行こうか?」
「凪」
「大丈夫だって。すぐそこだし。女性一人で危ないし」
「まあ、嬉しいですわ。ぜひ」
「俺の血は帰ってからでいい?」
 頭を抱えつつも、アルネスは立ち上がり先に歩いて外に出てしまった。
「付き合いが長いんですか?」
「アーサー先生と? そうねえ……」
 長い髪の毛をくるくると巻いては放し、そのたびに甘い香りが広がる。彼女はずっと弄っている。癖なのかもしれない。
「昔、好きだったのよ。今はあなた一筋よ?」
「モテるなあ……やっぱり」
 後半は聞かなかったことにして、俺はハクの顔が頭に浮かんだ。
「こんな仕事をしている私に、身体を大切にしろですって。おかしくて笑ってしまいましたわ。流れの速いどぶ川に両足を浸けているような状態ですのに」
「仕事に誇りを持っていないんですか?」
「あら、なぜ?」
「どぶ川とか言うから」
 女性は考えあぐねている。
「医者の仕事と私のような仕事をする人、あなたならどちらを選ぶ? 平等なんて有りはしないわ」
「それは比べ方がおかしいですよ。そのふたつだと顔が浮かぶのはアルネスなんだから。俺はアルネスがどんな仕事をしていても、絶対に側にいようって思います」
「医者は何かを生み出せても、私は何も生み出せないんですの。心も身体も空っぽで、仕事をこなすたびに満たしてくれるのは、濁った泥水だけ」
「今の仕事をして、あなたが幸せであるかなんて分からないですよ。けど、少なくともあなたといて幸せをもらった人たちを否定しないで下さい。とても失礼に当たります」
 少しだけ、怒ったような口調になってしまった。彼女の言う通り、平等なんて言葉は夢物語で、そんな言葉を口にしてのほほんとしている間に撃たれるだろう。そんな殺伐とした世界だ。けれど、残虐な枠組みの中でも、俺は所々にふよふよ浮いたシャボン玉のような優しさがあることも知っている。
 いつもはもう少し速いのに、先を歩くアルネスは普段よりも歩くスピードを落としている。女性の歩幅に合わせているためか、なんだか足が先を行きたく悶えているように見えた。
「ここで平気ですわ」
 遠くに家が見えたところで、アビは足を止めた。家まで送ると言いかけ、口を閉じた。家の前に、一人の男性が立っている。多分、彼女のお客さんなのだろう。ならば大の大人ふたりがついていくべきではない。
「愉快でないものが剥がれ落ちた気分です」
「剥がれて結構だが、頭はどうだ?」
「頭……? そうですわね……すうっとしております」
「そうか」
 何の会話か話に入らない方がいいのだろうと、口を挟まないでおいた。意味のある会話だろうし、必要ならば俺にも話してくれる。
「……ありがとうございます」
 こちらが何か言う前に、彼女はさっさと歩き出してしまった。アルネスも真逆に進む。俺は、アルネスについていった。俺のスピードに合わせてか、帰りは速い。
「あ、待って」
 平手のままアルネスの頬に触れようとし、すんでのところで止めた。矢先に、アルネスは俺の手を掴んだ。二度も同じ手を食らわないらしい。
「どうした?」
「叩きそうになった。あのさ、また変な虫がいたから」
 掴まれた手がジンジンする。優しさの貴公子みたいな男でも、手を掴む力は今は強かった。
「凪、虫などいない」
「え? いるだろ?」
「……家に帰り、お前も検査だ」
 わけが分からずとりあえずついていくと、「お茶は飲んでいないな?」と確認され、頷いた。
「彼女は聡明で頭の回転も早く、幾度となく死線を乗り越えてきた」
「うんうん」
「お前の子を宿したなどと、阿呆なことを言うはずがない」
「そうなんだ。俺からしたら、彼女との初対面がそれだったから、かなりびっくりしたけど」
「一つの仮説が頭にある」
 血を抜かれるのも慣れたもので、アルネスが採血しやすいように拳を作る。血管が浮き出たら針が通り、力を抜く。
「今は落ち着いているが、漁業禁止令が出たとき、政府の人間が慌ただしく動き回っていた。もしかしたら、政府も知らぬ何かがあるのではないかと」
「仮説の内容って?」
「数十年前にも流行っていた薬の存在だ。気分が向上したり、幻惑が見えたりする。医師としては、ふざけるなと言いたいところだがな」
 仕事が格段に増えるのだろう、お気の毒に。
「薬物かあ……」
「薬物など今さらで、ありふれたものだ。戦争に駆り出す人間たちに飲ませ、負の感情を消し去り戦場に立たせたりもした」
「でも、そんな危険なものなら禁止してるんじゃないのか?」
「ああ。そしてお前にも幻覚症状が起こった」
「…………もしかしなくとも、虫の件?」
「ああ」
「外にあるものは持って帰ってないし、その辺の紫色っぽい実とか食べたりしてないぞ」
「知っている。ちなみにその実を食べると幻覚どころか死に至る」
 心底、安堵した。別に食べるつもりもなかったが、無知はこの世界では死に直結する。
「政府が海に猛毒でも流したのだと思っていた。タイラーに調べてもらったが、深夜に湖の付近で政府と三区のアンドロイドたちが頻繁に会っていたそうだ」
「アルネス大先生の勘としては、そこで薬の取引が行われて、湖の中に薬が流れ込んだ……みたいな感じ?」
「両方考えられる。政府の奴らが薬を作り、海になだれたケースとお前の考えの両方だ」
「どっちもありそうだよな」
「……食べるものが、どんどん失われていく」
「そうだなあ……でも俺、アルネスを見てると元気が出るよ。お腹いっぱいになる」
「見ているだけでは、腹は膨れん」
 机に二度、三度足をぶつけ、さらに追加で臑をぶつけている。大丈夫かと聞くと、問題ないとアルネスらしい強気な答えが返ってくる。俺はそんな自信に満ちたアルネスパパが大好きだ。
「どんな経路でアビが薬を体内に入れたか分からんが、二、三日後には薬も抜けているはずだ」
 俺とアビの採血結果が出て、紙を渡された。何を書いているかさっぱり分からないが、彼の顔を見る限り、勘は当たったのだろう。やはり、自信に満ちた彼の顔も好きだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

処理中です...