いつかの光、彼方の光

ゆきりんご

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11話:生きる目的

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 ルーカスはユリウスと過ごすことが増えた。一日三食の食堂、訓練、果ては大浴場にまでユリウスはルーカスについてきた。同期中のトップといることにルーカスは気後れしたが、どう見てもユリウスが後を追いかけまわしているために、恨まれることはなかった。
 そんな日々が続いていたある日。いつも通り、朝の食堂に向かおうとしたルーカスにヘンゼルも珍しく着いていくと言い出した。

「急にどうしたんですか」
「良いだろう、別に。他の班の奴と過ごすのも結構だが、同じ班の人間とも過ごした方がいいんじゃないか」
「まあ、いいですけど……」

 嫌だ、とは言い難かった。
 騎士団本部へと繋がる渡り廊下にユリウスは待っていた。

「なんでヘンゼルがいるの」
「悪いか」
「高慢な言い草は相変わらずだね。うーん、でもそうだな。ヘンゼルはルーカスみたいな素直な子、好きだもんね」
「勝手なこと言うな。そういった私的な感情を持ってついてきたわけではない」
「ふ~ん、そう」
「ユリウスこそ、最近はルーカスにべったりじゃないか」
「まあね」

 配膳を終え、席につく。ルーカスの右隣にはヘンゼルが、左隣にはユリウスが座った。

「アンテスにベーレンスか。ルーの人脈は末恐ろしいな」
「テオ!」

 ルーカス真向かいにはテオバルトがいた。

「え、ルーカスってアインツカイト様と知り合いなの!?」
「まあ」
「まあ、ってそりゃないだろ、ルー。同じ施設で育った仲だろ?」
「え、じゃあルーカスは厄災の生き残り?」
「ユリウス、そのくだりはもう終わった」
「ヘンゼルは知ってたんだ……」
「どうだ、ルー。訓練の調子は」
「頑張ってはいるけど……」

 十位以内なんて、夢のまた夢のように遠い目標だった。

「どうしてテオは、俺に騎士団は向いてないなんて思うの」
「どうしてって、そんなの決まってる。ルーには、喘息があるんだから。仇は俺が討つ。それでいいだろ?」

 ルーカスは両隣から視線を感じた。

「喘息って……」

 それがどちらの声だったかは分からなかった。

「……俺だって仇を討ちたい。討たせてよ」
「そう思うのは自由だ。でもな……俺はもう何も失いたくない。ルーには戦いとは関係のない場所で笑って過ごしていてほしいんだよ。そう思うのだって自由だろ」

 テオバルトの弱音とも取れる発言に、ルーカスは固まった。

「俺がアルバスフォーゲルを倒した暁には、騎士団を辞める。ルーも辞めさせる」
「勝手に俺の生き方を決めないでよ。俺はずっと……テオと一緒に戦うために生きてきたんだ」
「今すぐに他の生きる目的を作れ」
「テオは他に何があるんだよ」
「大切な人と笑って過ごしたい。それだけだ」

 テオバルトとは話しながらも早々に食べ終え、いなくなってしまった。テオバルトの言う「大切な人」が誰なのか。ルーカスは聞けなかった。
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