奥さまはモンスターバスター 時々 異世界召喚勇者

はなぶさ 源ちゃん

文字の大きさ
29 / 155

29 小さな恋の物語 その5 (出会いからゴールインまで)

しおりを挟む
『神話クラスの敵・レジウス』との戦いで心身喪失に陥ってしまった私は、南の島にある別荘(沖縄県にある離島)で光ちゃんとちーちゃんに看護を受けながら静養していた。
 完全に記憶が飛んでしまっていたが、二人の手厚い看護によって、私の記憶も断片的に戻っていった。

 一〇歳の時にとある事件で両親が行方不明になってしまった私は天涯孤独の身になってしまったこと。
 その直後、両親の要請を受けていた巧さんが執事として親代わりに面倒を見てくれるようになった。
 また、ほぼ同時に両親の親友だったアルさんがちょくちょく家に遊びにきてくれるようになり、年の離れたお姉さんのように面倒をみてくれたこと。
 斎藤警部の道場に入門し、光ちゃんの妹弟子になり、光ちゃんにも妹のようにかわいがってもらうようになったこと。
 最近ちーちゃんが家に下宿してくれるようになり、姉妹のように仲良くさせてもらっていたこと。

 確かに私は家族を失ってしまったものの、代わりに新しい家族が私を孤独にしないように誠実に大切に扱ってくれたこと。
 全員『そのままの私』を大切にし、私の意志をずっと最大限尊重し続けてくれていたことに気が付いたのだ。

 モンスターバスターになって、トラブル解決に奔走するうちに人間やそれ以外の存在を問わず、思っているよりずっと多くの親子や夫婦などの家族関係、友人関係がうまくいっていないことを思い知らされた。
 そんなトラブルを解決するのは『本人たちが自分たちの関係のいびつさ』を自覚する以外はないのだ。
 夫婦が『単なる同居人』になって、お互いに本音で話すことなどあり得ない…本音で話せる夫婦の方が少数派だと気づいた時はものすごくショックだった。
 だから、光ちゃんとの間のようになんでも本音で話せるような相手を旦那さんにできればいいな…とずっと思っていた。

 今までは止まらずにずっと走り続けていたけれど、記憶を一旦リセットしてゆっくり振り返ることで自分にとって何が大切か、どうしたいのかが見えてきたのだ。
 強敵に負けたことは非常に痛手だったものの、私自身を振り返る絶好の機会を同時に与えてもらえたのだった。

 『記憶喪失事件』がなかったら、光ちゃんはまた新しい彼女を作っていただろうし、私も『ダンディー系のおじさん』にアタックして玉砕していたに違いありません。
 いやあ、たまには記憶喪失になるのもいいかもしんない♪

 なんてことを思っているうちに、ビーチバレーの準備が整ったようです。
 では、レッツプレイ!!



 望海ちゃんすご過ぎです!!運動神経はちーちゃんに一歩譲りますが、相手の心理を読み取ったフェイントや私との連携は神業のレベルです。

 ちーちゃんとの時ほど圧倒的ではないですが、麗華ちゃん&偽ゴールドチームに圧勝です!!
 麗華ちゃんは呆れたような表情をし、偽ゴールドとドクターは…呆然と立ちすくんでいます。
 望海ちゃんは『褒めて♪』とおねだりの表情をしているので、喜んで褒め倒します。
 私の貧困なボキャブラリーでせいいっぱい褒めると、自分的にはすごく恥ずかしいのですが、望海ちゃんにとってはあまり気にならないようで、すごくうれしそうです。ちーちゃんがちょっとうらやましそうな顔をしています。
 後でちーちゃんのフォローが必要かもしれません。

 「ちょっと思ったんやけど…瀬利亜はんとちーちゃん、あるいは望海はんがチームを組むんやのうて、ちーちゃんと望海ちゃんのチームを作った方が強いんちゃうん?」
 「光ちゃん、鋭い!さすがダーリン!!」
 …えーと、ドクターと偽ゴールドの表情が愕然となりました。

 「「待ってください!!」」
 ちーちゃんと望海ちゃんが同時に声を上げる。
 そして、ちーちゃんが望海ちゃんに目配せをして、望海ちゃんが続きを話し始める。

 「確かに、純粋に戦力だけを考えたら、私と千早さんが組んだ方が強いビーチバレーのチームができるかもしれません。
 しかし、スポーツで大切なことは楽しむことです。勝利のみを追求するのはプロの仕事です。我々アマチュアは楽しむことの方が大切です。
 したがって、『瀬利亜さんと一緒にプレイする』ことが非常に重要な意味を持つわけです。
 あ、もちろん、千早さんと一緒にプレイするのは全然嫌ではないですし、とても楽しいと思います。しかし、『瀬利亜さんと一緒にプレイする』ことは私たちにとってまさに『至福の時間』と呼ばせていただいていいでしょう!!」
 望海ちゃん、なにを懸命に力説されているのでしょうか??!!
 いやいや、ちーちゃんも光ちゃんもうんうんうなずいているのですが?!!

 「…そうか、私にはオリジナルのような人望が全くないわけか…。」
 いえいえ、なんで話がそっちの方向に行ってしまうわけ?!!


 「あらあ、だって、ゴールドちゃん、まだ生まれたばかりだもん。麗華ちゃんにとっては好き嫌い以前の話だと思うよ。それに麗華ちゃんは『ツンデレ』だから、付き合っていくうちに可愛くデレてくるから、それが楽しみになってくると思うな♪」
 アルさんも、変な方向に煽らないで下さい!!

 「ちょっと、アルテアさん!!人を勝手にツンデレ扱いしないでちょうだい!!」
 いえいえ、麗華ちゃん、あなたは究極に近いくらいのツンデレです…。

 「そうか、私も頑張って女子力を磨けば、ビーチバレーマスターに!!!」
 偽ヒロインが女子力を磨こうとする話は聞いたことないですから!!!
 それと、女子力とビーチバレーは一ミリたりとも関係しないからね?!!!

 「よし、次のシリーズを作る際は『女子力アップ』が大きな課題だ!!
 わっはっはっは!!見ているがいい、シードラゴンマスクよ!!
 今度は女子力を達人クラスに磨いた究極の偽シードラゴンマスクを完成されてくれるわ!
 楽しみに待っているがいい!!」
 「だ・か・ら・!女子力とビーチバレーは無関係だからね??!!
 そもそもどうして私の偽物を作り続けるわけ?!!
 高性能のアンドロイドを作りたいなら『オリジナル』にしなさい!!」

 …私のツッコミを受けて、ドクターが愕然とした表情に変わる。
 麗華ちゃんもミーナちゃんもジト目でドクターを見ている。

 やれやれ、これで偽シリーズとの対戦も終わったようです…。
 …と思ったら後日談になりますが、『完全オリジナルシリーズ』作成後も相変わらず、うちに連れてくるようになりました…。
 ええ、『偽シリーズとビーチバレー』は『季節行事』になりましたよ!!

 その後、浜辺でなぜかバーバキューになり、キャンプファイアーまでやることになりました。
 バーベキューには無農薬の野菜、和牛肉、黒豚肉などのほか、なぜか、熊肉やティラノサウルスの肉まで焼くことになりました。
 ……モンバス御用達の魔法のアイテムボックス内部は時間が経たないので、時々『謎素材』が残っていたりするのです。

 さらに周りに人の住んでいない無人島であるのをいいことに、アルさんが用意された魔法の花火を打ち放題です。
 どこぞの花火大会よりも豪華でしたが、何発か成層圏を突破したようなのです。間違って、事故ったりしてないですよね?


 夜遅くなり、麗華ちゃんやドクターは家に戻り、みんなもそれぞれの家や部屋に戻るなか、私と光ちゃんは久々に別荘にお泊りです。
 私と光ちゃんの関係を劇的に変えたこの場所で『初コミュニケーション(物理)』としゃれ込もうかと思いましたが……よく考えたら二度目でした。(苦笑)

 よし、今度は山の中に温泉付きの別荘を!!……普通に温泉旅館に泊まればいいか♪

 そんなこんなで、待望の結婚式まであと二日…いえ、日付が変わってあと一日です。
 お・や・す・み・ダーリン♪
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~

仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。  そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。   しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。   ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。   武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」  登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。   これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...