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奥さまはモンバス姉さん編
67 暗黒魔王と至高の勇者 その3
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「続きまして、第3競技は『走れゴーレム!』です。
会場に揃えてある素材を上手に活用して、制限時間内にどれだけすごいゴーレムを作り上げられるかという競技です。
競技は全部で五競技ありますが、現時点で烈火の勇者チームが他の2チームを大きく引き離していますね。
二チームの巻き返しも期待したいところです!」
暗黒魔王チームはゴーレム作りは暗黒魔王がメインになっているようです。
最初に様々な部品に魔王が一定の魔力を付与しているようです。
そして、技術者らしい男性がその部品を基にメインの型を作り上げて、それに他の三人が仕上げを入れていっています。
最後に暗黒魔王がそれに強力な魔力を付与していっているみたいです。
制限時間の一時間半で高さ三メートルを超える漆黒の鎧をまとった騎士型のゴーレムが完成しました。
元魔王の娘でゴーレムマスターでもあるミーシャさんの作るゴーレムにも匹敵しかねない完成度の高さのようです。
至高の勇者チームもゴーレム作りを至高の勇者が中心になっていました。
こちらは至高の勇者がテキパキと指示を出して、それに沿って魔術師たちが部品を組み立てていきます。
要所要所で至高の勇者が魔術を付与し、ゴーレムがだんだんと形になっていきます。
制限時間の少し前に高さ二メートルくらいの戦乙女風の白銀のゴーレムが完成です。
強度は暗黒魔王チームの漆黒の騎士よりは劣りそうですが、機動性の高さでそれを補っているようです。
こちらも総合的な完成度は暗黒魔王チームのものと大差なさそうです。
烈火の勇者チームはアルさんがメインで、巧さん、光ちゃん、ミーシャさんがサポートに入っています。細かい部分を望海ちゃんが調整しているようです。
本来はアルさん一人でもできそうな感じですが、他の四人がうまくサポートに入っているようで、作業がすごくはかどったと後でアルさんが言っていました。
制限時間の少し前に現代のロボットヒーローもののように見える六体のゴーレムが完成しました。 アイデア提供は光ちゃんと望海ちゃんで、それを他の三人が上手に形にしてくれたようです。
「さて、各チームのゴーレムが出そろいました。いよいよ各チームの実演が開始されます。
主催側が用意する『幻獣』を相手にどういう戦いをしてくれるかで判定します。
純粋な強さもですが、どういう機能をどんなふうに活用しているかも重要な判定ポイントになります。」
ラシャール王の実況を受けて、それぞれのチームの実演が始まります。
暗黒魔王チームの漆黒の騎士ゴーレムは獅子の肉体にドラゴンの頭と翼、山羊の翼を持った怪物キメラと対峙します。大きさは通常のライオンの二倍以上の大きさがあり、高さが三メートルくらいの漆黒の騎士と同じくらいの高さです。
キメラはオーラから察するにアルさんが魔法で作りだした『幻影』のようですが、特定空間内(闘技場内)だけでは実体と同じように振る舞うようです。
下手すると魔王にも匹敵しかねない強敵のようですが、漆黒の騎士は何度か切り結ぶたびに的確にキメラにダメージを与えていき、数分後に無傷で倒してしまいます。
キメラは崩れ落ちるとその姿を消して、『幻影』だったことがあらためてはっきりします。
「まずは暗黒魔王チームの採点です。危なげない強さでしたが、採点はどうでしょう?
審査員の点数は9点、9点、10点、8点、9点!合計で45点!
かなりの高得点です。ミラクルファイターさん、いかがでしょうか?」
「動きといい、強さといい素晴らしい出来ですね!この短時間でこれだけのものを仕上げられる技術力は大したものです!」
評価がかなり高かったので、暗黒魔王チームはほっとした雰囲気です。
そろそろ負けられないという気分が強かったのですね。
至高の勇者チームの戦乙女ゴーレムは真紅のドラゴンと対峙します。
全長一五メートルくらいの凶暴そうなドラゴンはドラゴンロードに近いくらいの実力がありそうです。
この戦いはドラゴンが先に仕掛けますが、戦乙女は爪や牙の攻撃や口から吐かれる炎をひらひら舞うように躱していき、持っていた槍や魔法による攻撃で的確にダメージを与えてきます。
こちらも漆黒の騎士よりも若干時間はかかりましたが、危なげなくドラゴンをほとんど無傷で倒してしまいます。
「続いて至高の勇者チームの採点です。危なげない強さでしたが、採点はどうでしょう?
審査員の点数は10、9点、8点、8点、9点!合計で44点!
こちらもかなりの高得点です。ミラクルファイターさん、いかがでしょうか?」
「洗練された動きと強さのバランスがいいですね。こちらも非常にいい作品に仕上がっていると思います。」
暗黒魔王チームより少し評価が低かったのに少々不満そうです。うん、確かに技術だけで言えば至高の勇者チームの方が高そうですが、小さい分パワー不足になった感じがします。
そして、我らが烈火の勇者チームは……キメラやドラゴンやヘルハウンドなど一〇体以上の幻獣と対峙しています。
ゴーレムの数が多いとはいえ、この数は不公平ではないかという感じで場内がざわついています。
「行くんや!六神合体や!!」
光ちゃんが叫ぶと、六体のゴーレムは中に浮かんで変形を始めた。
その上、なぜか背景に謎の光が現れ、効果音まで演奏が始まっている。
四体のゴーレムがそれぞれ手足になり、一体の大きめのゴーレムの手足を補強するように合体していく。
そしてやや小柄なゴーレムが頭部の形を作り、そのまま合体する。
『六神合体!ゴッドゴーレム!!』
合体変形したゴーレムは叫ぶと、地上に降り立った。
観客たちは目の前の事態に着いていけず半ば呆然としている。
『ゴーレム剣!電子銀河斬り!!』
身長五メートルを超すゴッドゴーレムは光り輝く剣を振るうと、幻獣たちは全て爆発四散した。
しばし、唖然としていた観客たちはその後どっと沸いた。
「烈火の勇者チームの採点です。合体機能がすごかったうえに、ものすごく強かったでですが、果たして採点はどうでしょう?
審査員の点数は12点、12点、、12点、12点、、12点、なんと合計60点!
すごい高得点です!確かに信じがたいものを見せてもらいましたからね!ミラクルファイターさん、いかがでしょうか?」
「超越した技術ですね。変形合体は男のロマンですよね!!見た目、強さ、さらに演出も踏まえて、もう完璧です!!」
斎藤警部が完全に興奮してしまっています。
スーパーヒーローなんぞをやる人間はみんなこういう面がありますよね…。
「待て!!おかしい!!同じ素材を使ってここまで差が出るわけがない!!どんなインチキを使っているんだ??!!」
勝てない焦りにとうとう暗黒魔王がイチャモンを付け始めました。
もちろん、インチキは一切やっていないのですが、疑ってわからなくなっているのか、それともイチャモンでも付けないとこのまま押し切られてしまうと思っているのか、暗黒魔王が会場の中央にどす黒いオーラを纏って、出てきました。
「暗黒魔王さん、そんなことを言われても困ります。あなたたちが『十分な実力がない』からこの結果になっているのですよ。
そんなにおっしゃるのでしたら、あなたの実力を見せていただけますか?」
私が呆れたような表情で暗黒魔王に歩み寄る。
「ほお、どう実力を見せたらいいのかね?」
「私、『格闘勇者』を軽く捻るくらいの実力を見せてくれないと話にもなりませんね。」
私がやれやれという感じで伝えると、暗黒魔王の闘気が高まった。
「言ったな!では我の実力を……。」
「シードラゴン昇竜波!!!」
私の闘気を纏ったアッパーの一閃で暗黒魔王はきりもみ上に十数メートル舞い上がった後、回りながら地面に叩きつけられた。
ぴくぴく動いているので、ちゃんと生きていますね♪
魔法の実力はかなりのもののようですが、戦闘経験の少なさと戦闘勘がダメなようです。
ちらと暗黒魔王チームを見やると完全に固まってしまっています。
暗黒魔王のワンマンチームだったのでしょう。リーダーがいなくなった途端に全員呆然自失の状態になっています。もうチームとして機能していませんね。
「で、至高の勇者チームは競技を続けるということでよろしいでしょうか?
もちろん、暗黒魔王チームも競技を続けたければ続けてもいいですよ?」
私の言葉に暗黒魔王チームは全員その場にへたり込み、至高の勇者チームは…。
おおっ?!至高の勇者が一人で私の方に歩いてきます。
「これ以上競技を続けても君たちの仕込を我々が見抜けない以上は勝ち目はないだろう。」
いえいえ、全然インチキはやっていませんから。単に競技者の技能がものすごく高いだけです。
「そこで、私の実力を見せることにする!君の『チート能力』は確かにすごいようだが、そこの魔王風情と一緒にしないほうがいいぞ!」
言いながら至高の勇者はさらに呪文を唱え始める。
「『異世界チート無効空間!』そして、『至高の防御障壁!!』
はっはっは、よかったら攻撃してみてはいかがかね?」
呪文を唱え終えた、至高の勇者がにやりと笑って私を挑発する。
「そうですか。では、遠慮なく。シードラゴンブーメランフック!!」
私の左アッパーは至高の勇者を何なく吹き飛ばし、勇者は一〇メートル先の地面に吹っ飛んで転がっていく。
ウーーん……左手に妙な違和感を覚えますね…。確かに『防御障壁』ぽいものを張ったのは間違いないようです。
おおっ!!ふらふらして、口から血を流しながらもなんとか至高の勇者が立ち上がってきます。
「待て!どうして、俺の『『異世界チート無効空間』が効果がないんだ!人間が異世界チート能力がなくて、魔王を拳で倒せるはずがない!!」
「何を変なことを言っているのかしら?そんなわけのわからない空間なんか、熱く燃え盛る正義の心がある限り、突破できないはずがないのよ!!」
「言ってる意味がわかんねーよ!!」
「はーい、わかりにくいようなので、会場の皆さんも含めて解説します。」
いつの間にか解説席にアルさんがニコニコしながら座っています。
「分析したところ、至高の勇者は『異世界で目覚めたチート能力を解除する特殊空間』を展開することができるようです。
自分の努力の力で身に付けたものではない『借り物の力』を本人の潜在意識に働きかけることで発揮できなくなるようにするというもののようです。」
「では、最強勇者さんがチート能力を発揮されたのはもしかして…?」
「ええ。最強勇者がチートに強いのは『異世界に来る前からものすごく強かっただけ』で能力に目覚めたからでは全然ないからです。
当然、借り物ではなく、『実力がすごいだけ』ですので、特殊空間に入っても全然関係ないのです。」
アルさんの解説に至高の勇者の顔色が真っ青になる。
「じゃあ、今度はチート能力全開で行きますね♪
シードラゴンソニックウェイブパンチ!!!」
至高の勇者さんは会場の外まで吹っ飛んで行って…『峰打ち』にしていたからちゃんと生きてはいてくれたようです。よかったよかった。
リーダーが行動不能になった暗黒魔王チームは至高の勇者チームはそれぞれリーダーを抱えてすごすごと帰っていった。
彼らの私を見る目が完全に恐怖におののいていたので、再侵攻はしてこないでしょう。
こうして事件は解決し、私たちはガルーダ王国ギルドに凱旋したのです。
なお、オータム国と西大陸では『勇者ぬいぐるみ』がこの事件以降劇的に売り上げが上がり続けたということです。
会場に揃えてある素材を上手に活用して、制限時間内にどれだけすごいゴーレムを作り上げられるかという競技です。
競技は全部で五競技ありますが、現時点で烈火の勇者チームが他の2チームを大きく引き離していますね。
二チームの巻き返しも期待したいところです!」
暗黒魔王チームはゴーレム作りは暗黒魔王がメインになっているようです。
最初に様々な部品に魔王が一定の魔力を付与しているようです。
そして、技術者らしい男性がその部品を基にメインの型を作り上げて、それに他の三人が仕上げを入れていっています。
最後に暗黒魔王がそれに強力な魔力を付与していっているみたいです。
制限時間の一時間半で高さ三メートルを超える漆黒の鎧をまとった騎士型のゴーレムが完成しました。
元魔王の娘でゴーレムマスターでもあるミーシャさんの作るゴーレムにも匹敵しかねない完成度の高さのようです。
至高の勇者チームもゴーレム作りを至高の勇者が中心になっていました。
こちらは至高の勇者がテキパキと指示を出して、それに沿って魔術師たちが部品を組み立てていきます。
要所要所で至高の勇者が魔術を付与し、ゴーレムがだんだんと形になっていきます。
制限時間の少し前に高さ二メートルくらいの戦乙女風の白銀のゴーレムが完成です。
強度は暗黒魔王チームの漆黒の騎士よりは劣りそうですが、機動性の高さでそれを補っているようです。
こちらも総合的な完成度は暗黒魔王チームのものと大差なさそうです。
烈火の勇者チームはアルさんがメインで、巧さん、光ちゃん、ミーシャさんがサポートに入っています。細かい部分を望海ちゃんが調整しているようです。
本来はアルさん一人でもできそうな感じですが、他の四人がうまくサポートに入っているようで、作業がすごくはかどったと後でアルさんが言っていました。
制限時間の少し前に現代のロボットヒーローもののように見える六体のゴーレムが完成しました。 アイデア提供は光ちゃんと望海ちゃんで、それを他の三人が上手に形にしてくれたようです。
「さて、各チームのゴーレムが出そろいました。いよいよ各チームの実演が開始されます。
主催側が用意する『幻獣』を相手にどういう戦いをしてくれるかで判定します。
純粋な強さもですが、どういう機能をどんなふうに活用しているかも重要な判定ポイントになります。」
ラシャール王の実況を受けて、それぞれのチームの実演が始まります。
暗黒魔王チームの漆黒の騎士ゴーレムは獅子の肉体にドラゴンの頭と翼、山羊の翼を持った怪物キメラと対峙します。大きさは通常のライオンの二倍以上の大きさがあり、高さが三メートルくらいの漆黒の騎士と同じくらいの高さです。
キメラはオーラから察するにアルさんが魔法で作りだした『幻影』のようですが、特定空間内(闘技場内)だけでは実体と同じように振る舞うようです。
下手すると魔王にも匹敵しかねない強敵のようですが、漆黒の騎士は何度か切り結ぶたびに的確にキメラにダメージを与えていき、数分後に無傷で倒してしまいます。
キメラは崩れ落ちるとその姿を消して、『幻影』だったことがあらためてはっきりします。
「まずは暗黒魔王チームの採点です。危なげない強さでしたが、採点はどうでしょう?
審査員の点数は9点、9点、10点、8点、9点!合計で45点!
かなりの高得点です。ミラクルファイターさん、いかがでしょうか?」
「動きといい、強さといい素晴らしい出来ですね!この短時間でこれだけのものを仕上げられる技術力は大したものです!」
評価がかなり高かったので、暗黒魔王チームはほっとした雰囲気です。
そろそろ負けられないという気分が強かったのですね。
至高の勇者チームの戦乙女ゴーレムは真紅のドラゴンと対峙します。
全長一五メートルくらいの凶暴そうなドラゴンはドラゴンロードに近いくらいの実力がありそうです。
この戦いはドラゴンが先に仕掛けますが、戦乙女は爪や牙の攻撃や口から吐かれる炎をひらひら舞うように躱していき、持っていた槍や魔法による攻撃で的確にダメージを与えてきます。
こちらも漆黒の騎士よりも若干時間はかかりましたが、危なげなくドラゴンをほとんど無傷で倒してしまいます。
「続いて至高の勇者チームの採点です。危なげない強さでしたが、採点はどうでしょう?
審査員の点数は10、9点、8点、8点、9点!合計で44点!
こちらもかなりの高得点です。ミラクルファイターさん、いかがでしょうか?」
「洗練された動きと強さのバランスがいいですね。こちらも非常にいい作品に仕上がっていると思います。」
暗黒魔王チームより少し評価が低かったのに少々不満そうです。うん、確かに技術だけで言えば至高の勇者チームの方が高そうですが、小さい分パワー不足になった感じがします。
そして、我らが烈火の勇者チームは……キメラやドラゴンやヘルハウンドなど一〇体以上の幻獣と対峙しています。
ゴーレムの数が多いとはいえ、この数は不公平ではないかという感じで場内がざわついています。
「行くんや!六神合体や!!」
光ちゃんが叫ぶと、六体のゴーレムは中に浮かんで変形を始めた。
その上、なぜか背景に謎の光が現れ、効果音まで演奏が始まっている。
四体のゴーレムがそれぞれ手足になり、一体の大きめのゴーレムの手足を補強するように合体していく。
そしてやや小柄なゴーレムが頭部の形を作り、そのまま合体する。
『六神合体!ゴッドゴーレム!!』
合体変形したゴーレムは叫ぶと、地上に降り立った。
観客たちは目の前の事態に着いていけず半ば呆然としている。
『ゴーレム剣!電子銀河斬り!!』
身長五メートルを超すゴッドゴーレムは光り輝く剣を振るうと、幻獣たちは全て爆発四散した。
しばし、唖然としていた観客たちはその後どっと沸いた。
「烈火の勇者チームの採点です。合体機能がすごかったうえに、ものすごく強かったでですが、果たして採点はどうでしょう?
審査員の点数は12点、12点、、12点、12点、、12点、なんと合計60点!
すごい高得点です!確かに信じがたいものを見せてもらいましたからね!ミラクルファイターさん、いかがでしょうか?」
「超越した技術ですね。変形合体は男のロマンですよね!!見た目、強さ、さらに演出も踏まえて、もう完璧です!!」
斎藤警部が完全に興奮してしまっています。
スーパーヒーローなんぞをやる人間はみんなこういう面がありますよね…。
「待て!!おかしい!!同じ素材を使ってここまで差が出るわけがない!!どんなインチキを使っているんだ??!!」
勝てない焦りにとうとう暗黒魔王がイチャモンを付け始めました。
もちろん、インチキは一切やっていないのですが、疑ってわからなくなっているのか、それともイチャモンでも付けないとこのまま押し切られてしまうと思っているのか、暗黒魔王が会場の中央にどす黒いオーラを纏って、出てきました。
「暗黒魔王さん、そんなことを言われても困ります。あなたたちが『十分な実力がない』からこの結果になっているのですよ。
そんなにおっしゃるのでしたら、あなたの実力を見せていただけますか?」
私が呆れたような表情で暗黒魔王に歩み寄る。
「ほお、どう実力を見せたらいいのかね?」
「私、『格闘勇者』を軽く捻るくらいの実力を見せてくれないと話にもなりませんね。」
私がやれやれという感じで伝えると、暗黒魔王の闘気が高まった。
「言ったな!では我の実力を……。」
「シードラゴン昇竜波!!!」
私の闘気を纏ったアッパーの一閃で暗黒魔王はきりもみ上に十数メートル舞い上がった後、回りながら地面に叩きつけられた。
ぴくぴく動いているので、ちゃんと生きていますね♪
魔法の実力はかなりのもののようですが、戦闘経験の少なさと戦闘勘がダメなようです。
ちらと暗黒魔王チームを見やると完全に固まってしまっています。
暗黒魔王のワンマンチームだったのでしょう。リーダーがいなくなった途端に全員呆然自失の状態になっています。もうチームとして機能していませんね。
「で、至高の勇者チームは競技を続けるということでよろしいでしょうか?
もちろん、暗黒魔王チームも競技を続けたければ続けてもいいですよ?」
私の言葉に暗黒魔王チームは全員その場にへたり込み、至高の勇者チームは…。
おおっ?!至高の勇者が一人で私の方に歩いてきます。
「これ以上競技を続けても君たちの仕込を我々が見抜けない以上は勝ち目はないだろう。」
いえいえ、全然インチキはやっていませんから。単に競技者の技能がものすごく高いだけです。
「そこで、私の実力を見せることにする!君の『チート能力』は確かにすごいようだが、そこの魔王風情と一緒にしないほうがいいぞ!」
言いながら至高の勇者はさらに呪文を唱え始める。
「『異世界チート無効空間!』そして、『至高の防御障壁!!』
はっはっは、よかったら攻撃してみてはいかがかね?」
呪文を唱え終えた、至高の勇者がにやりと笑って私を挑発する。
「そうですか。では、遠慮なく。シードラゴンブーメランフック!!」
私の左アッパーは至高の勇者を何なく吹き飛ばし、勇者は一〇メートル先の地面に吹っ飛んで転がっていく。
ウーーん……左手に妙な違和感を覚えますね…。確かに『防御障壁』ぽいものを張ったのは間違いないようです。
おおっ!!ふらふらして、口から血を流しながらもなんとか至高の勇者が立ち上がってきます。
「待て!どうして、俺の『『異世界チート無効空間』が効果がないんだ!人間が異世界チート能力がなくて、魔王を拳で倒せるはずがない!!」
「何を変なことを言っているのかしら?そんなわけのわからない空間なんか、熱く燃え盛る正義の心がある限り、突破できないはずがないのよ!!」
「言ってる意味がわかんねーよ!!」
「はーい、わかりにくいようなので、会場の皆さんも含めて解説します。」
いつの間にか解説席にアルさんがニコニコしながら座っています。
「分析したところ、至高の勇者は『異世界で目覚めたチート能力を解除する特殊空間』を展開することができるようです。
自分の努力の力で身に付けたものではない『借り物の力』を本人の潜在意識に働きかけることで発揮できなくなるようにするというもののようです。」
「では、最強勇者さんがチート能力を発揮されたのはもしかして…?」
「ええ。最強勇者がチートに強いのは『異世界に来る前からものすごく強かっただけ』で能力に目覚めたからでは全然ないからです。
当然、借り物ではなく、『実力がすごいだけ』ですので、特殊空間に入っても全然関係ないのです。」
アルさんの解説に至高の勇者の顔色が真っ青になる。
「じゃあ、今度はチート能力全開で行きますね♪
シードラゴンソニックウェイブパンチ!!!」
至高の勇者さんは会場の外まで吹っ飛んで行って…『峰打ち』にしていたからちゃんと生きてはいてくれたようです。よかったよかった。
リーダーが行動不能になった暗黒魔王チームは至高の勇者チームはそれぞれリーダーを抱えてすごすごと帰っていった。
彼らの私を見る目が完全に恐怖におののいていたので、再侵攻はしてこないでしょう。
こうして事件は解決し、私たちはガルーダ王国ギルドに凱旋したのです。
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その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
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勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
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そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
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僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
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