奥さまはモンスターバスター 時々 異世界召喚勇者

はなぶさ 源ちゃん

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さらに奥さまはモンバス姉さん編

83 草野球大作戦 その3

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(Sideブラックシャーク)

 「樺山さん、あの女はヤバイです…。」
 千早が抜けると同時にブラックシャークに助っ人に来たうちの一人の長身の細マッチョの鮫島がマリーザを見るなり、小声で囁く。

 「ヤバイというのはどういう意味だ?」
 裏社会の一員で『傭兵の経験』もある、鮫島が言うことなので、暴力団の若頭でもある樺山も鮫島につられてマリーザを見る。

 「今、軽くストレッチをしてますが、身にまとっている雰囲気が他のメンバーと全然違います。それで言うなら、助っ人の女性陣二人も只者ではないですが、あの女は『プロの臭い』がします。」
 「おい…。プロ…て?」
 「軍人ではないでしょうか?あるいはそれに類する厳しい訓練をしていると思います。
 そうでなければ、あんな風な『野生の虎でも逃げ出しそうな空気』は纏わないでしょう。」
 「おい…それじゃあ…。」
 「間違っても『変な工作』は仕掛けない方がいいですね。まず見破られてこちらが窮地に陥ります。この試合みたいな『唯の賭け試合』でそんなことをするのはリスクがでかすぎます。
 こっちが負けたら『一部の優良顧客から大きな苦情』は出るでしょうが、我慢するしかないでしょうね。」
 
 そんな風に二人がこっそり囁きあっているとき、マリーザがピッチング練習を始めた。

 「おい…。あれ、何キロ出てるんだ…。」
 「……。」
 椛山も鮫島もあんな速い球は生まれてから見たことがなかった。

 「…時速二〇〇キロです…。」
 もう一人の巨漢がスピードガンを取り落しそうになりながら告げる。


 (Side瀬利亜)

 「マリーザ、すごいわ!!ストレートがすごく速いわね!」
 「一応これで五分くらいの力で投げているんだ。最終回まで投げることを考えれば、七分から八分くらいの力でなげられるよ。
 全力だと時速0.2マイルくらい出せるけど、そこまでやると九回まで保たないと思うし。」
 マリーザが右手を軽く振りながら私に答える。

 「マリーザさん。待ってください。ストレートは最初くらいのペースで投げてください。
 それから、時速0.2マイル…てキロに直すと三〇〇キロ超えてるじゃないですか…。
 そんな速度をこの辺で出しちゃダメです。あまりにも目立ちすぎです。
 せめて『変化球』で勝負するくらいにしてください。」
 望海がやれやれ…といった感じでマリーザに伝える。

 「そうだったんだ…。スーパーヒーローが集まってベースボールの試合をする時は時速0.15マイルを投げる投手も何人かいたからね。草野球だとさすがにまずいのだね。」
 「…話は変わるけど、その試合見て見たいわね。」
 「大歓迎さ♪というか、ぜひ参加してもらいたいくらいだ!!」
 ううむ、今度石川邸で『アメリカスーパーヒーロー協会ベースボール見学(参加)ツアー』とか企画してもいいかもしれません。
 アメリカではモンスターバスター協会以上にスーパーヒーロー協会のメンバーが多いので、野球をするのでも『スゴイメンツ』が揃うのだね。
 後で確認したら、モンスターバスター一二星並の実力者『アメリカスーパーヒーロー三銃士』はマリーザを含む三人とも野球の試合に定期的に参加しているらしい。


 「…の、望海ちゃん…。」
 「佐藤さん、なんでしょうか?」
 「ストレートも人間業じゃないと思ったけど、今投げた球、明らかに浮き上がってきたよね?!」
 「…そうですね。ほら!今のスライダー、瀬利亜さんが投げたものよりさらに鋭く曲がってますよ!!」
 「ねえ?!どうやったらあんな球を投げられるようになるの?!!!」
 「確か、マリーザさんは禅とか、ヨガもすごく本格的にされてましたから…。
 ほら、ヨガって極めると『空中浮遊』できるようになったり、『壁抜け』もできる人も出てくるそうですから、きっとそんな感じなんじゃないでしょうか♪」
 「ヨガって、そんなものだったの?!それ、漫画の話じゃなかったの?!!
 それから、えらくマリーザさんの事情に詳しいというか、もしかしてスゴク仲良し?!!」
「まあ、マリーザさんともかなり仲良しですが、千早さんや瀬利亜さんとはほとんど姉妹同然と言っていいくらいでしょうか?」
 「…そのこと自体もすごいんだけど、気のせいじゃなくて、望海ちゃんの運動能力もものすごくレベルアップしているよね?!」
 「いえいえ、何をおっしゃいますやら♪
 それは身内びいきというやつですよ♪」
 「いや、俺たちとサバゲーをしている時は『女子中学生にしては運動神経がいい』くらいだったよね?!今日の試合の打席を見ていたら、『大リーガー並み』に頑張っているよね?!少なくとも明らかに俺たちよりずっとすごくなってるよね?!」
 「いえいえ、それは『美少女補正』というやつですよ♪
 あ、もちろん、『仲がいい女の子』は美少女側に補正が入ると思ってますが♪」
 「ねえ、望海ちゃん!会話技能も大きく進化というか、『煙に巻く技能』が大きくアップしていない?!ラノベのように『突然異世界に召喚』されたり、『魔法少女にスカウト』されたとか言う話じゃないよね?!」
 「いやですねえ♪そんなこと小説じゃあるまいし♪
 ほら、負けられない試合で気分がハイになっていると、『吊り橋効果』で思っているより事態が大げさに見えたりするものなのです♪」
 「……。」

 …ええと、望海ちゃんと佐藤さんはものすごく仲良しなのですね。
 確か『気さくでお人よしの佐藤さんにはものすごくお世話になった』とか望海ちゃんが言っていたように、本当に正直なお人よしのようです。
 …ところで、望海ちゃんて最初は『魔法少女にスカウト』されて、次に私が『スーパーヒロインとモンスターバスター』にスカウトして、最後に『異世界召喚』までされているんだよね。
 本当に芸達者だよね…。というか、私もちーちゃんもほぼ同じ経験をしているような気がするのだが…。


 さて、そんな感じで次の回はあっという間に三者三振で終わりました。
 マリーザはさすがに経験者だけあって、凄まじいストレートや変化球をびしばしストライクゾーンに入れてきたのだ。
 どのバッターもほとんど魂の抜けたような顔をして、打席に立ったままで終わってしまった。
 これが、バッターがスーパーヒーローの場合はどんな試合になるのだろうか…。
 なんだかそれを想像するとわくわくしてきます。


 そして、私たちの四回裏の攻撃もあっという間に終了です。
 交代したピッチャーがさらにとんでもないのです。
 マリーザには及びませんが、時速一六〇キロくらい平気で出してきているのです。
 おまけに変化球もものすごく鋭く変化します。
 四番打者から六番打者まで三者三振で終わってしまいました。

 「瀬利亜!あのピッチャーとキャッチャーはプロだ!気を付けた方がいい!」
 バッテリーを見ながらマリーザが顔をしかめます。
 「雰囲気がおかしいと思ったけど、やっぱり『そっち系』なのね。」
 私もため息をつきます。
 「とはいえ、我々をどうこうするつもりまではないらしい。もっともそんなことをしようとしたらこのメンツなら瞬殺できそうだけど。
 ともあれ、あの二人は『軍隊か傭兵』の経験があるんじゃないかという感じだ。
 他のメンバーよりは警戒すべきだね。」
 話の内容が内容だけに二人だけでこっそり話します。

 「あのう、お二人とも…。」
 望海ちゃんがタブレットを片手に私たちの方に顔を出す。
 「相手がプロであれば、遠慮なく叩きのめしてはいかがでしょうか?
 マリーザさんならこの辺りのスゴイ『魔球』も問題なく投げられそうな気がしますし♪」
 望海ちゃんが提示する画面には『往年の野球漫画』で主人公が様々な魔球を投げるシーンがあった。
 「こ、これが『野球』か!?ベースボールとは違ったスゴサがあるということがわかった!全力でチャレンジするよ!!」
 うん、なんかマリーザに変なスイッチが入ったようです。


 敵味方を問わず、グランド内の選手は私たち三人を除いて完全に固まってしまっているようです。
 マリーザの投げる球がさらにスピードアップしたり、二段階、三段階に曲がったり、『消えたり』いろいろな考えられない変化をしたのです。

 ギャラリーはどんどん増えていっています。ネットの拡散力はスゴイですね!
 なんかスピードガンを持った人たちまで現れて、数字を見て青くなっておられるようです。

 三者三球三振で、あっという間に五回裏の私たちの攻撃です。


 私が今度はレフト側にホームランを打った後、マリーザが打席に立ちます。
 どんなバッティングを見せてくれるのでしょうか?

 おおっ?!マリーザは左打席に入ります。うわさに聞く右投げ左打ちというやつです♪

 第一球をレフトに強烈なライナー!!というか、ほとんどまっすぐ猛スピードで飛んで、早すぎてレフト近くに球が転がってきてます。
 打球が速すぎて、普通の走者なら一塁の途中くらいに…いつの間にか二塁ベースを回りかけてます。
 ううむ、さすがは『ライトニングレディ』ですね。普通に走って、アレですか…。

 「瀬利亜さん、マリーザさん、特殊能力は使われなかったのですね。」
 「仕方ないわよ。『空間を滑って移動する能力』を使われたら、止められる人いないからね。
 私やちーちゃんでもすり抜けられちゃうし…」

 「望海ちゃん!!なに、あの移動速度!!◎サイン・ボルトがどうこういうレベルじゃないよね?!!」
 「佐藤さん、今さらですよ♪あれだけの『魔球を投げられる』のですから、移動速度がちょっと馬並みだからといって、騒ぐほどのことじゃないのでは。」
 「いやいや、騒ぐでしょ?!!というか、速度が馬並みとかわかっていたの?!!
 それから、もう開き直って『魔球』て言っちゃってるよね?!!
 さらに言えば、あんなスピードが出せるなら、『消える魔球』投げなくても絶対に打てないよね?!」
 「ええ、スポーツ特待生ですから♪」
 「ねえ、なんでそんなにドヤ顔なの?!!!…それから、どうして俺以外みんな納得したような表情しているの?!!」

 いやあ、佐藤さんと望海ちゃん、本当に仲がいいですね♪
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