異世界でひっそりと暮らしたいのに次々と巻き込まれるのですが?

WING

文字の大きさ
50 / 65
第1章

第49話:莫大な金を得てしまった……

しおりを挟む
「さて、家と庭も綺麗になったし中に入るか」

 そう言って扉を開けて家の中に入る。

「うん。普通の家だな」

 日本式の家よりも西洋風の家と言った方がいいだろ。
 内装を見たアルハの表情が明るく輝いた。

「わー! 綺麗に直ってる! 新築みたいだよ!」

 まあ、喜んでくれたのなら良かった。
 ゼノアとフィアも笑顔だ。クレアに関しては敷地内全体の変わり様に驚いていた。

「あ、アキトさん! 凄いですよ! 本当に新築みたいになってなすよ!」
「そうだな」

 アルハのことはもう慣れたのかな?

「クレア、アルハは怖くないのか?」

 クレアはアルハを見て口を開いた。

「そうですね。もう慣れまし──って、怖くはないですから⁉︎ 勘違いしないで下さい!」

 このツンツンなクレアさんにはデレがないのだろうか?

「……そうか。アルハ、案内してもらっていいか?」
「もちろんよ!」
「本当に違いますから!」

 俺達はアルハの後に続いて行き、家の中を案内してもらう。
 クレア? そんなのスルーでいいだろ。怖いものは怖いんだ。

 それからアルハの案内で家の中を見終わった俺達。
 中を見て分かった事はと言うと、家具は買った方が良いと言う事だ。
 少し古臭いデザインだからだ。
 この件に関してはアルハも良いと言っていた。

「それじゃ俺達は一旦帰るが、アルハにはこれから家の警備を任せるよ」
「任せてちょうだい! 侵入者は私が殺してあげるんだから!」

 少女の口から出て出てきてhしくはない言葉が出たが、俺は「程々にな」と言って王城に戻るのだった。

 王城に戻った俺達だったが、フィリップさんの他にも全員が揃っていた。
 そこで、クレアが幽霊を見て怖がっていた事を話すと。

「ハッハッハ! クレアは変わらないな!」
「ちょっとお兄様⁉︎」

 アストさんの発言に、クレアは顔を赤くして声をあげた。

「小さい頃からそうだっただものね~」
「お姉様まで⁉︎」
「クレアの怖がりは治らないのかしら?」
「難しいな。いっそアキト殿と一緒に幽霊屋敷にでも住んでみたらどうだ?」
「お母様にお父様までも⁉︎」

 クレアは俺を見て「ち、違うんです! 別に怖くは──」と叫んでいた。
 クレアの怖がりは昔から変わらないようだ。

「そうだ。家を買ったのならその分はこちらが出そう」
「いや、いいよ」

 フィリップさんはそう言うがこちらが買いたくて買ったのだ。
 出して貰うのはいくら恩人だろうと申し訳ない。

「むう……」

 フィリップさんは唸る。

「アキト、そのくらいはさせて欲しい」
「アストまでそう言うのか……」
「そうですよ」
「父と娘を助けてくれたのですから」

 第一王女であるルナさんと王妃であるレイナさんにまで言われてしまった。
 俺はなら──と提案をする。

「俺が魔境で狩った魔物を王家の方で定期的に買い取ってはくれないか?」

 これならwin-winの関係だ。

「魔境の魔物か……因みにどれくらいあるのだ?」
「レベル100超えが数百体。千越えが五百体以上ある。とは言っても俺が使う分の素材や売れない奴もある」
「そ、そんなに……」

 フィリップさんだけではなく、他の面々も驚きで固まっている。
 レベル千なんてこの辺りに出ることなんてまず無い。レベル100でも滅多に現れない。

「売るならレベル100の方にはなるな。千になるとフェンリルとかになっちゃうしな」
「ふぇ、フェンリル……あの神狼と言われる……」
「せ、千越えの魔物が出たら国は……」
「滅亡、するわね……いや、それどころか周辺国家までもが……」

 アスト、ルナ、レイナさんは驚きのあまり固まってしまっていた。

「それでフィリップさん、買い取ってくれるか?」

 フィリップさんは気を取り戻し、口を開いた。

「勿論だとも! 是非売って欲しい!」
「分かった。査定額の十分の八をくれれば構わないよ。後は貧しい人達の為に使ってくれ」

 自分だけ良い生活は出来ないからな。
 ちょっとした支援だ。

「わかった。アキト殿がそれで良いと言うのならそうしよう」

 みんなも頷き納得してくれたようだ。

「魔物は騎士の訓練場でいいかな?」
「ああ。そこで構わない」

 そんなこんなでフィリップさんとアスト、クレアと共に騎士の訓練場に移動すると、グリファスや他の騎士達も集まってきた。

「陛下に殿下、クレア王女殿下まで、この様な所にどうなされました?」
「グリファス。アキト殿から魔境の魔物を買い取ることになった」
「なんと!」

 俺は買い取って貰うことの内容を説明すると、グリファスは喜んだ。
 いや、グリファスだけではなく、他の騎士達も同様に喜んだ。
 それから出した魔物の量と見ただけでもわかるほどの魔物強さに、一同は驚愕する。
 査定には数日の時間がかかるらしい。なのでそれまでの間、ゼノアとフィアと共に家の家具やら寝具やらの様々な買い出しに行くのだった。

 数日後。査定額の結果は黒金貨が数十枚という結果になった。日本円で数千百億という大金になった。
 どうやら、どれもが一級品の素材らしい。
 金は多過ぎるので、ギルドの口座に振り込んでもらった。

「どうやって使おうか……」

 俺はそんな莫大な金の使い道が浮かばないのだった。

 


しおりを挟む
感想 148

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

処理中です...