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第23章 カタリナの王位継承編

2307.リンダからの報告

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 ショーバェから遠隔通話器テレ・ボイスで報告が入った。ついに、完成したらしい。私は、急いで、ショーバェの研究所に転移魔法で、移動した。

 「久しぶりです。ショーバェ、完成したって、本当か?」

 「はい、安定して、ESチェユラES細胞から精子を作ることが出来ました」

 「それなら、人間の場合でも、作ることが出来るのか?」

 「えっ、人間ですか? 技術的には、可能ですが、実験は、出来ませんよ」

 「何故かな?」

 「倫理上の問題です」

 「ところで、それは、受精卵を利用した方法かな?」

 「そうです。今は、受精卵を用いています。これから、卵子に通常の細胞の核を移植して、ESチェユラES細胞を安定的に作れるようにしていきます」

 「現在は、どの程度、進んでいるの?」

 「まだ、10%ぐらいですね。これを、50%以上に高めたいと思っています」

 「そうか、頑張ってくれ。それから、何か、必要な物はないか?」

 「できれば、助手を3人ぐらい雇いたいのですが、よろしいでしょうか」

 「いいよ。でも、当ては、あるのか?」

 「そうですね。出来れば、若い子がいいです。それなら、指導できますから。10才までで、お願いできませんか?」

 「わかった。探しておくよ。それ以外は、どうかな? 生活面では、不自由していないか? 例えば、食事や掃除などを誰かに頼むこともできるよ」

 「そうですね。実験室は、私達で、やります。寝室や台所などの日常使っている場所の掃除や食事の用意は、誰かに頼めると助かります」

 「わかった、手配しておくよ」

 私は、ショーバェと別れて、ミューの部屋に移動した。

 「ミュー、元気だった?」

 「何よ、その挨拶。私は、いつも、元気よ。それから、あっちの方も、順調よ」

 「そうか。そろそろかな?」

 私は、ベッドのミューの横に寝転がって、話をした。
 
 「そうね。どちらから、始める?」

 「第1皇子から、お願いするよ。その方が、後々、うまくいきそうだ」

 「わかったわ。直ぐに、動くわ」

 私は、ミューの頭を撫でて、今後の計画の打ち合わせを行っていった。そろそろ、私の名前も前に出さないといけないみたいだ。取り敢えず、カタリナのパトロンと言うことにしておくことにした。

 ミュートの打ち合わせを終えて、私は、リンダに思念伝達で、連絡を取った。

 「リンダ、相談したいことがあるので、これから、そちらに行くよ。いいかな?」

 「ええ、いいわよ」

 私は、転移魔法で、リンダの居る本部に移動した。

 「リンダ、久しぶり。元気にしてた?」

 「あら、いつもと感じが違うのね。今日は、どうしたの?」

 「実は、ショーバェからの頼みで、身の回りの世話をする人と助手を探しているんだ」

 「分かったわ。私に、任せてくれる。探すわよ」

 「助手は、3人で、10才位までが良いそうだ。できれば、優秀な者を探して欲しい」

 「大丈夫よ。ムーン、疑っているの?」

 「そんなことは、ないよ。リンダの事は、信用しているよ」

 「あれ、今日は、いつものムーンと違うのね。なんだか、昔を思い出すわ」

 「そうかな? いつもと同じだよ」

 リンダは、私の横に来て、急に抱きしめた。そして、匂いを嗅ぎ始めた。

 「リンダ、何してるの?」

 「やっぱりね。昔の匂いがしているよ。ミューと会っていたでしょ」
 
 「えっ、ミューって、誰?」

 「あら、ムーンは、テラの後継者でしょ。なら、ミューについても聞いているはずよ。知らないなんて、可笑しいわ。それに、私も、ミューの住んでいる所を知っているのよ。ムーン、忘れたの?」

 しまった。うっかりしていた。ショーバェの両親を説得して貰うのに、リンダに世話になったのだった。その時に、屋敷を知られていたのだった。

 「テラからは、ミューの事を聞いていないよ」

 「本当? まあ、いいわ。そういうことにしておくわね」

 リンダは、私に抱き付いたまま、一向に離れようとはしない。私も、黙って、されるがままにしておいた。

 「ムーン、ちょっと、じっとしていてね」

 「はい」

 リンダは、私を押し倒して、ベッドまで、運んだ。そして、やさしくキスをして来た。

 「リンダ、どうしたの?」

 「ムーン、変ね。いつから、リンダって、呼び捨てにしているの?」

 「そうだった? 前から、リンダって呼んでいたよ」
 
 「私をリンダって呼ぶのは、決まった人だけよ。家族扱いだからね」

 「そうだね。リンダは、僕にとって、家族と同じだよ」

 「分かったわ。家族と同じね」

 ついに、リンダと一線を越えてしまった。でも、リンダも、何か、気付いていたようだ。

 「ムーン、それとも、テラと呼んだ方がいい?」

 「僕は、ムーンだよ。テラでは、ないよ」

 「まあ、名前なんて、どうでもいいわよ。これで、私も、ムーンの家族ね。一緒に住む?」

 「それは、ちょっと、不味いよ」

 「どうして? 誰に遠慮する必要があるの?」

 「遠慮する必要はないけどね。僕が、少し、気不味いだけだよ」

 「誰の事を思い出しているの? ガーベラかな?」

 「どうして、ガーベラの名前が出てくるの?」

 「前の正妻だからよ。でも、テラjrは、レイカの子供だし、ムーンは、テラjrの何に当たるの?」

 「僕は、テラjrの後見人だよ。テラjrが大人になるまでお手伝いをするつもりだよ」

 「まあ、私は、何も困ることはないから、いいけどね。ムーンも、大変ね。色々と」

 私は、リンダには、正確な話をせずに、うやむやのまま、カタリナの住む城に転移魔法で、移動した。これからの事を、カタリナにも知って貰っておく必要がある。でも、どのように言えばいいのか、少し悩むところだ。
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