文字の大きさ
大
中
小
1 / 56
第1話 ダンジョン出現
「追い詰めたぞ、魔王っ」
「ま、まさか、人間ごときにここまで深手を負わされるとはっ……わ、我は全世界最強の魔王なのだぞっ!」
魔王がわなわなと震えている。
自分の最期の時が近いことを悟っているかのようだった。
「これでとどめだ。くらえ、ファイナルソードっ!」
「く、くそがぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
――――――
――――
――
「ちょっと、結城くんっ。ボーっとしてる暇あったら店先の掃除でもしといてよねっ」
「あ、はい、すみませんっ」
店長ににらまれた俺は、いそいそとコンビニの外に出ていくと掃き掃除を始める。
店の外はとても暑い。
地球が温暖化しているという話もうなずける。
その点、異世界はよかった。
四季などなく毎日が過ごしやすい気温だった。
周りの人たちもみんな親切だったし、俺をもてはやしてくれた。
モンスターを退治してあげた日には村人、町人こぞって俺に感謝の弁を述べたものだ。
「結城くん、お客様並んでるわよっ。早くヘルプ来てっ」
「はい、今行きますっ」
魔王を打ち倒してから早半年、俺は異世界から現代日本に戻ってきていた。
そして資格らしい資格も持っていなかった俺はコンビニのバイトに応募して、今に至るというわけだ。
正直言うと俺はそのまま異世界に居残るつもり満々だったのだが、俺を異世界に呼び出した召喚術師が用は済んだとばかりに俺をもとの世界に飛ばしやがったのだ。
せっかく異世界で死ぬ思いをしてまで強くなったというのに、これでは宝の持ち腐れだ。
いっそ格闘家にでも転身するか。
……いや、それはまずい。
俺は異世界でとんでもなく強くなってしまった。
下手すりゃデコピン一発でも相手の命を奪ってしまいかねない。
「あっちぃっ! おい、何してんだよっ!」
「あ、すみませんっ。今新しいものに――」
「いいよもうっ! ったく」
電子レンジでおにぎりを温めすぎてしまいお客からは責められる始末。
はぁ、情けない。
異世界では完全無欠の勇者だったのに……。
俺は心の中で深くため息をついた。
まさにその時だった。
ドゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
轟音とともに巨大な地震が突如として襲ってきた。
大きな縦揺れに店長が「きゃあぁっ!」と年甲斐もなく可愛らしい悲鳴を上げる。
三十秒ほど経っただろうか、揺れが収まると俺は街の様子をうかがうためコンビニの外に出た。
「っ!?」
するとそこで俺が目にしたものは、街中にはとても似つかわしくない大きな洞窟の入り口だった。
☆ ☆ ☆
俺はそれに見覚えがあった。
俺がいた異世界のあちらこちらにあったダンジョンの入り口にとてもよく似ていた。
「まさか……ダンジョン、なのか?」
俺は胸が高鳴るのを感じていた。
これで平凡な日常から抜け出せる。
俺の力を存分に発揮できる。
「おい、あれは一体なんだ……!」
「何が起こったの!?」
「今の地震で出てきたのかっ……!」
「とにかく警察だっ、警察を呼べっ!」
外にいた人たちが地面に手をつき、膝をつきながら口々に言う。
「な、な、なんなのよ、あれっ……!」
気付けば店長もコンビニから出てきていた。
ひしっと俺の腕にしがみつく。
「あれは……ダンジョンですよ」
「え? だんじょん……?」
「店長、今までお世話になりました」
俺は店長に向き直ると深々と頭を下げた。
「え……?」
「俺、バイト辞めますっ!」
「え、ちょ、ちょっと、結城くんどういうこと――」
困惑しっぱなしの店長を背に、俺は今しがた現れたダンジョンに潜るべく駆け出すのだった。
「ま、まさか、人間ごときにここまで深手を負わされるとはっ……わ、我は全世界最強の魔王なのだぞっ!」
魔王がわなわなと震えている。
自分の最期の時が近いことを悟っているかのようだった。
「これでとどめだ。くらえ、ファイナルソードっ!」
「く、くそがぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
――――――
――――
――
「ちょっと、結城くんっ。ボーっとしてる暇あったら店先の掃除でもしといてよねっ」
「あ、はい、すみませんっ」
店長ににらまれた俺は、いそいそとコンビニの外に出ていくと掃き掃除を始める。
店の外はとても暑い。
地球が温暖化しているという話もうなずける。
その点、異世界はよかった。
四季などなく毎日が過ごしやすい気温だった。
周りの人たちもみんな親切だったし、俺をもてはやしてくれた。
モンスターを退治してあげた日には村人、町人こぞって俺に感謝の弁を述べたものだ。
「結城くん、お客様並んでるわよっ。早くヘルプ来てっ」
「はい、今行きますっ」
魔王を打ち倒してから早半年、俺は異世界から現代日本に戻ってきていた。
そして資格らしい資格も持っていなかった俺はコンビニのバイトに応募して、今に至るというわけだ。
正直言うと俺はそのまま異世界に居残るつもり満々だったのだが、俺を異世界に呼び出した召喚術師が用は済んだとばかりに俺をもとの世界に飛ばしやがったのだ。
せっかく異世界で死ぬ思いをしてまで強くなったというのに、これでは宝の持ち腐れだ。
いっそ格闘家にでも転身するか。
……いや、それはまずい。
俺は異世界でとんでもなく強くなってしまった。
下手すりゃデコピン一発でも相手の命を奪ってしまいかねない。
「あっちぃっ! おい、何してんだよっ!」
「あ、すみませんっ。今新しいものに――」
「いいよもうっ! ったく」
電子レンジでおにぎりを温めすぎてしまいお客からは責められる始末。
はぁ、情けない。
異世界では完全無欠の勇者だったのに……。
俺は心の中で深くため息をついた。
まさにその時だった。
ドゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
轟音とともに巨大な地震が突如として襲ってきた。
大きな縦揺れに店長が「きゃあぁっ!」と年甲斐もなく可愛らしい悲鳴を上げる。
三十秒ほど経っただろうか、揺れが収まると俺は街の様子をうかがうためコンビニの外に出た。
「っ!?」
するとそこで俺が目にしたものは、街中にはとても似つかわしくない大きな洞窟の入り口だった。
☆ ☆ ☆
俺はそれに見覚えがあった。
俺がいた異世界のあちらこちらにあったダンジョンの入り口にとてもよく似ていた。
「まさか……ダンジョン、なのか?」
俺は胸が高鳴るのを感じていた。
これで平凡な日常から抜け出せる。
俺の力を存分に発揮できる。
「おい、あれは一体なんだ……!」
「何が起こったの!?」
「今の地震で出てきたのかっ……!」
「とにかく警察だっ、警察を呼べっ!」
外にいた人たちが地面に手をつき、膝をつきながら口々に言う。
「な、な、なんなのよ、あれっ……!」
気付けば店長もコンビニから出てきていた。
ひしっと俺の腕にしがみつく。
「あれは……ダンジョンですよ」
「え? だんじょん……?」
「店長、今までお世話になりました」
俺は店長に向き直ると深々と頭を下げた。
「え……?」
「俺、バイト辞めますっ!」
「え、ちょ、ちょっと、結城くんどういうこと――」
困惑しっぱなしの店長を背に、俺は今しがた現れたダンジョンに潜るべく駆け出すのだった。
感想 6
あなたにおすすめの小説
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった……。
この物語は、「竹取物語の月の世界へ帰った後の話」(男版)をコンセプトに展開していきます。
注1:ファンタジーというにはSFチックな展開もあります。
注2:この作品は、小説家になろう、カクヨム、テイルズでも公開していますが、構成が違う場合もあります。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
異世界で俺の初級魔法が最強でした。無自覚に絶望から救った美女やエルフたちに溺愛されています
仙道やり込んでいたゲームの世界に転移した主人公、渉。この世界では、渉にとっての「初級魔法」が最高峰の威力だった。しかし、他の冒険者たちが雑魚モンスター1匹に苦労しているのを見て、「みんなわざと弱い魔法を使って戦闘を楽しんでいるんだな」と思い込む。
渉は手加減を続けながら、美女たちを無自覚に救い出していく。渉は毎回「余計な手出しをしてしまった」と後悔するが、ヒロインたちはそんな渉の強さと優しさにますます惹かれ、激しく溺愛してくる。なぜこんなに好かれるのか全く理解できないまま、渉は柔らかくていい匂いのする女の子たちに囲まれ、この異世界で生きていく。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
「完結」ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》
盾乃あに進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。
ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……
始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。
さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。