落ちこぼれ同盟

kouta

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6章 リサイア大会 パートナー決め編

おとなげない嫉妬

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「……あのよ」
「なに?」
「もうすぐ、アレがあるだろ?」
「あれって?」
「リサイア大会の事だよ。それで、そのペア戦なんだけど―――」
「あぁ、それな。おれア―……ルトリウスと組むんだ」
「はぁ!? アルトリウスって、まさか!!」

レイの脳内にあの忌々しい記憶が甦る。マンイータに襲われたトシキを助けたフードを被った怪しい人物。シアンが確かアルトリウスと呼んでいた。
 泣き叫ぶトシキのピンチを救い、さり気なくトシキの身体を抱きしめていたあの男の事を思い出し、レイは顔が真っ青になる。

「そういや、以前会ってるんだっけ。おれさー友達少ないんだけど、あいつとは親友なんだ。すっげーいい奴なんだぜ」
「だ……だだだ駄目だ!! そいつだけはぜってーに駄目だ!! 今すぐペア解消しろ!!」
「はぁ? いきなり何言い出すんだよ。ってかなんでお前にそんなこと言われなくちゃいけないわけ?」

それまでケットシ―達と戯れて機嫌の良かったトシキの顔が歪む。それに気づかないままレイは叫んだ。

「とにかくあいつだけは駄目だ!! あいつは絶対にお前を狙ってる!! フードで素顔を隠しているような胡散くせー野郎、おれは絶対に認めね―!!」
「なんでおれのパートナーを決めるのに、お前に認められた奴にしなきゃなんねーんだよ!! 大体、ア……ルトリウスはお前の何倍もいい奴だ!! おれのこと馬鹿にしねーし、ちゃんと助けてくれるし、料理も旨いし、優しいし!」
「くっ……! そ、その件は許したんじゃなかったのかよ!?」
「お前がアルトリウスの事をよく知りもしないで悪く言うからだろ!! あぁもういい!! 帰るよミュウ!!」
『みゃぁ?』

先程まで笑顔だったトシキの変化に、ミュウがレオの背中に乗っかったまま不思議そうに首を捻る。トシキはミュウの首根っこを掴んでレイをキッと睨みつけた。

「ちょ、待てよ! まだ話が……」
「さようならレイ生徒会長様!! それと……今日はミュウと一緒に遊んでくれてありがとなレオ」

レイが慌ててトシキを引き留めようとするが、トシキは顔をツンと逸らすと、レオにだけ柔らかな笑みを浮かべてミュウと一緒に帰ってしまった。
 残されたレイは暫し呆然とトシキの背中を見送っていたが、やがてその姿が完全に視界から消えると我に返り、舌打ちをしたかと思うとすぐに生徒会室に向かった。
 部屋の扉を開けるとリヒトが書類に囲まれて孤軍奮闘していた。レイが部屋に入ってくるとぱぁっと顔を明るくしたがすぐに拗ねたような顔つきになり、

「レイ!!……遅い。何処に行っていたの?」

少し咎める口調で訊ねた。しかし、レイはリヒトの言葉を無視して彼の前までくると、書類の積み上がったその机を両手でバンッ!!と叩いた。

「ど、どうしたのレイ……?」
「リヒト。リサイア大会のルールを変えるぞ。今すぐ作業に取り掛かれ」
「え? ルールを変えるって今から!?」
「あぁ」
「無理だよ。もう時間が無い」

リヒトはそういって止めたがレイは聞いちゃいなかった。レイの目は完全に据わっており、説得しようとしたリヒトはそれを見て諦めてレイの作業を手伝った。

 翌日。生徒会からペア戦のパートナー決めに関する規則の改正があった。
 曰く『同学年同士のペアは認められない』というものだった。理由は尤もらしく『今年の新入生歓迎会はアクシデントにより中止になったため、他学年との交流を深めるいい機会だと思ったから』だと記されていた。
 それを見た生徒達は『さすが会長様だ!』とレイの心配りに感動し、ガーネットやディーン達も『なかなか粋な計らいじゃないか』『へぇ……考えたねレイ』と好意的な反応をした。

 まさかそれが単なる嫉妬による大人げない行為であった事を知る者は少ない。

「よしっ!! これでまたふりだしだ!! ふふふっ……わははははははっ!!」

ガッツポーズをしながら大声で笑う主を、レオがとても冷めた目で見ていた。

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