悪役令嬢ステンノ―とカボチャ軍団

甫人一車

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その7

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 次の日から、即座に街道整備は始まった。

 といっても、動くのは指揮するハイドラとゴーレムたちである。
 マギーの作った計画書の元、屋敷の周辺から進められていった。

 手を道具に変えられるゴーレムはよく働いてくれたと思う。
 わたくしの魔力の限り動いてくれる上、休憩も食事も必要なし。

 逆に操っているわたくしが気疲れして、何度か中断したこともあったほど。

「普通に考えれば、とんでもない作業量ですからねえ」

 無理もありません、とマギーはお茶を入れてくれた。

 今は急に新しい道を作ることはせず、旧道を再生させることを優先。
 まずは、一番近い村……今や廃村だが、そことつなぐ道を整備することに。

 草を刈り、道をならし、石を除く。
 それだけで獣道のようだった旧道は見違えてしまった。

「これなら、馬車も楽々通ります」

 と、ハイドラも満足そうに報告してくる。
 ふと気づけば、ゴーレムの数は200まで増えていた。

 できるだけ急ぎたくて、ついつい増員してしまったわけで。

 別にいいのだが、こんなのが大量にうろつくのは、問題かもしれない。
 まあ、今さらだし。ゴーレム抜きではそれこそ二人の従者への負担ハンパなし。

 3日ほど道路整備に集中し、操作に慣れることにした。
 2日目からはハイドラの指示なしでも仕事はできたし。

 ハイドラには他の調査や狩りなどをやってもらうことに。

 用心のために今回からゴーレムを数体お供につけることにする。
 万一の時はすぐに助けられるように。

 夜にはハイドラの獲ってきた亀を食べた。
 なかなかのお味で大変けっこう。

「この種の亀は繁殖力が高くて、その上悪食なのです」

 と、亀をさばきながらハイドラは言っていた。
 しかし、そろそろカボチャ以外の野菜も恋しい気がする。

 食べられるだけありがたいのはわかっているけど……。

 整備4日目。

 ついに近い廃村まで道がつながった。
 ゴーレムに村の隅々まで探らせたが、やはり人はいない。

 というか、捨てられて何年もたっている様子だ。
 特にめぼしいものはなかったが、近くの丘に小さな屋敷を発見。

 近づいてみたが、やはり人はいない。
 なかなか立派な造りで、正直現在の住居よりもお屋敷感はある。

 ゴーレムから送られる情報をまとめてみると、

 ・窓もドアも閉め切られている。 
 ・厩らしき跡はあるが牛馬はなし。
 ・小さな畑らしき跡はあるが、残っているものはない。

「……何なのかしらねえ」

「もしかすると、魔法使いの屋敷跡かもしれません」

「魔法使い?」

 マギーの意見に、わたくしは少し好奇心をそそられる。

「以前に錬金術を行う魔法使いの家を見たことがありますが、少し雰囲気などが似ているなと思いまして」

「ふーん……。なら元の家主はどこにいったのかしら?」

「そこまでは……。ただ魔法使いのものだとして、ちゃんと引っ越したのなら目ぼしいものは」何も残っていないでしょうねえ。そのへんはちゃんとしているようですから」

「まあ何もないほうが、気楽といえば気楽ですわ。おかしなものが残っていたらたまりませんから――。多分ないでしょうけど」

 そういうわけで、わたくしはゴーレムたちに屋敷跡に潜入させる。

 ゴーレムたちには暗いとかが関係ないので便利。

 ドアは閉じられているけど、鍵はかかっていなかった。
 埃だらけの内部は、見事に何にもない。

 せいぜい壊れかけの椅子やテーブルくらいで、家財と言えるものはゼロ。
 その分こちらは気楽で良いのだけど。

 どうせなので、屋敷を掃除させることにした。
 以前にやった経験が生かされ、スムーズに進む。

「……この家、案外傷んでいませんわね。こっちの住居よりもむしろいいかも――」

 一通りの掃除を終え、わたくしは言った。

「心配は杞憂でしたか……。でも、念のためにもう一度チェックした方がよろしいかと」

「そう?」

 マギーの助言を受け、もう一度屋敷内を調べてみる。

 と――

「うわあ」

 ゴーレムの送る情報にわたくしはつい声を出してしまう。

 一階の部屋に、地下へと通じる階段を発見してしまったのだ。

「これ……何かおかしなものがあったりしませんかしら?」

「それは何とも……」

 マギーは言葉を濁す。

「あるいは、見なかったことにして厳重に封鎖しておくべきかもしれませんが」

「うううん……」

 わたくしは考えてしまう。

 前世の記憶とかでは、物語などではこういう場合、

(何か危ないものが隠されていて、それが外に出てしまって大惨事とか……)

 それは人食い怪物かもしれないし、危ない病原菌かもしれない。

 と、地下にうっすらと光があるとの情報。

「これは……」

 光がある? ということは火がある?
 まさか、地球のように電気とか? いやいや、そんな……。

 いや、魔法によるものかもしれない。

「調べてみましょう」

 わたくしは少し考えてから、ゴーレムたちを地下へと向かわせる。
 危険かもしれないが、放置するのもまた危険かもしれない。

「もしもの場合は、中から封鎖させましょう」

 人間ならば大変だが、そこはいくらでも量産できるゴーレム。
 こういう時に融通が利いてよろしい。

「ステンノ―様、あまり軽率な真似は……」

「でも、ほっといた結果後で大爆発するということもありえますわ」

「そんなこと言ったらなんでも言えるじゃないですか……」

「どうせどん底の身の上だし、あんまり怖がってばかりでもしょうがないでしょ?」

「確かにどん底ですけどね」

 わたくしの言葉に、マギーは苦笑を噛み殺す。
 そして、地下を降っていったゴーレムの送る情報は――

「やっぱり地下室……?」

 地下の部屋はかなり、広い。
 むしろ上の屋敷はフェイクで、地下にこそ本丸があるのでは……。

 色々考えながら探らせていくと、

「え」

 広い地下室の中には、うっすらと発光する透明の円筒型物体があった。

 その中には、何と裸の女の子が。


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