悪役令嬢ステンノ―とカボチャ軍団

甫人一車

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その11

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 かくして、新しい使用人が増えたわけだけれども。

 それで何かが始まるというわけでもなく。
 わたくしたちは相変わらず、ゴーレムを使っての街道整備をすることになる。

 かと思われたが――

「ノーマルかぼちゃじゃん……」

 わたくしのかぼちゃゴーレムを見た途端、ミクロカが言った言葉。

「なに、それは?」

「んーと、かぼちゃウォーズっていうタワーディフェンスゲームのキャラそっくりで……」

 そもそも。タワーディフェンスゲームってなんやねん。

「この机の端と端が敵と自分の陣地として……それを取り合うような感じかな。敵味方同時にどんどんキャラ……まあ、駒を繰り出すんだけど、駒はすぐやられちゃうから次々に新しいのを量産しないといけない。そんな感じ」

 ミクロカはつたない喋りで説明するが、よくわからぬ。

 わかった点は、

「このノーマルかぼちゃは一番コストも安くて、すぐ量産できる初期型キャラ」

 とのことだった。

 なるほど、確かに一致している。

「のう一段上になると、大型で防御力の高いやつとか、中距離・遠距離攻撃のもいるけど」

「へえ……」

「防御担当の初期型は大きな盾を持ったやつかな」

「ふーん……」

 聞きながら、わたくしは何の気なしにゴーレムを生成。
 そして、大きな盾をイメージしてみる。

<シールドタイプ。防御に特化したもの。ややスピードに欠ける。MP作成・稼働共に2>

「ん?」

「え?」

 わたくしのつぶやきに、ミクロカが反応。

 ……できてしまった。

 ちょうど機動隊などが使うような盾を装備したかぼちゃゴーレム。
 どちからというと細身だった今までのタイプより、手足も胴体も太い。

「で、できるんじゃないですか」

「わたくしも今知りました」

 驚きながら言うミクロカに、わたくしはやや他人事みたいに返す。
 ただ……こいつは、手とシールドが融合していて、汎用性に欠けるようだ。

「よくわからないけど、色々なゴーレムが作れるってことですか?」

「そのようですわねえ」

「他人事みたいに言いますね?」

「実感があんまりなくって」

「ふーん。チートに目覚めたけど、あんまり使いこなせてない感じですか」

「そんなものかしら」

 適当に答え、わたくしはふとあの屋敷から持ち出してきた本や資料を思い返す。

(もしかすると、何か今後のヒントになるかも……)

 そう思い立つと、わたくしはゴーレムに作業を続行させつつ、読書タイムに入った。

 山と積んだ資料の前、机にかじるつくが――

「うーーん…………」

 読書開始後、早々に降参したくなってきた。

 資料はひどく殴り書きのような文字でわかりにくい。
 ついでに、いわゆる専門用語らしきものだらけ。

 とてものことに素人がどうにかできるではなかった。

(これは、安易だったかしら……)

 ちょっと自分の考えを反省しつつ、次の資料へ。

 それは今までのものよりもやや簡単な内容だった。
 というか、研究資料というよりは……。

(マンガ家のアイデアノートって、こんな感じ?)

 というもの。

 色々変なアイデアがある中、

『四輪型ゴーレムについて』

 というページに目が留まる。

 ざっと読んだ感じ、馬を必要とせず自走できるものらしい。
 一応設計図らしきものはあるが、全体的に大雑把。

 しかし、その分わかりやすくもある。

「うむ……」

 わたくしはうなずき、小さなものをイメージして魔力を集中。
 ちょうど手押し車みたいなものだろうか。

 ……。

 できたものは、赤ちゃんの使う手押し車みたいなものだった。
 ただし、オレンジ色で前にカボチャの顔がある。

 これもわたくしの意思通りに自在に動かせた。
 あんまり実用性はなさそうだが。

「でも……」

 机の前でわたくしはつぶやき、またも考える。
 そして、席を立つと家の外に出た。

 先ほどの作業を反芻し、もう一度四輪のゴーレムを生成してみる。
 結果、今度は四輪の荷車が完成した。今度は良い感じである。

 取っ手を持ち、ちょっと引いてみた。
 かなりの大型なのにすいすい動き、まるで疲れない。

 今度はゴーレムたちを数体載せてやってみた。
 結果は好調。腕力のないわたくしでも簡単にできる。引ける。

 もっとも近くでよく見ると、やっぱり変な形ではあったけど。
 何しろ蔓が密集して四輪車の形になっているのだから。

 だが、使い勝手は良い。

<荷車ゴーレム。生成:5MP、稼働:2MP>

(道の整備にも、すぐに使えますわね)

 狩った草木なんかを運ぶのにも使えそうである。
 早速にわたくしは新型の量産を始めることにした。

 みんなの反応はというと――

「これは便利です。これならすぐに市場にも行けますよ」

 ハイドラは珍しく瞳を輝かせて称賛してくれた。

「ステンノ―様はもう本当に何でもありになってきましたねえ」

 マギーはちょっと呆れた顔だが、もう慣れたとも言った。

「獣型とか、空飛べるやつとか、色々作ってみてくださいよー」

 ミクロカはオモチャ感覚なのか、無責任な口調で煽ってきた。

「空を飛ぶか……いいかもしれませんわね」

「え。まさか本気ですか? いくら何でも……」

 マギーは軽くミクロカを殴りつつ、苦笑している。

「ともかく、これで荷を運べますから。次の楽市にはカボチャを持っていきましょう」

 ハイドラは割と現実的な意見である。
 しかし、市場か。確かに必要なものは色々あるのだが、お金はあんまりない。

「もうちょいゴーレムを研究して、使えるものがないか考えてみないと……」

 わたくしはだんだん物作りの喜びみたいなものを感じてきた。
 こうなると、あの資料集はかなりの財産になると思われる。

 他にどんなものが作れるのだろうか? ドキドキワクワクだ。


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