悪役令嬢ステンノ―とカボチャ軍団

甫人一車

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その12

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 わたくしのかぼちゃを持って、ハイドラが市場に行った。

 本当はわたくしも行ってみたかったけれど、やることも色々ある。

 手伝い要因としてミクロカとノーマルゴーレムを一体お供につけた。
 ここでゴーレムに関する新発見。

 何とゴーレムは体を折りたたみ、置物みたいな形状になることができる。

 ……ということがわかった。

 わかったというか、ミクロカに、

「これ、けっこうスペース取るんですけど……。もうちょっと何とかなりません?」

 という意見をもらったのがきっかけ。

 色々思案しているうちに、変形するというアイデアが出たわけだ。
 これなら街中でも目立たない。邪魔なら荷車に放り込んでおけばよい。

 それに、家に居ながらにして向こうの状況もわかる。緊急時にも安心だ。
 街道整備は日々ゴーレム増産しつつやっているがなかなか進まない。

 作業自体はちゃんとやっているが、やはり土地が広いのである。
 今のところは廃道やらを復旧している最中。

 休みなく働くゴーレムたちをもってしても、手間はかかる。
 あるいはわたくしにちゃんとした専門知識があればよいのだろうが。

 だが、不平ばかり言ってもしょうがない。

 ゴーレムを動かしつつ、わたくしは研究資料の熟読に勤しむ。
 先の四輪型はかなり使えるので、今はその発展型を考案中だ。

 しかし、ユンボやブルトーザーみたいなものはなかなかできない。
 わたくしに知識がないせいか、やはり人型をベースにしたほうがやりやすいのだ。

 荷車は一応完成しているので、いっそ乗用車タイプでいくのはどうだろうか?
 そう思いつつ、資料を読み、自分のノートにまとめていった。

 色々試作品を作ってみるが、どれも一長一短。

 よくできたかなーと思うのがあったけど、乗り心地が最悪だった。
 すぐに気分が悪くなって食べたばかりの軽食を吐きそうになる。

 なので、今度は目的を切り替えてみた。

(いっそ土木作業の補助みたいな感じいってはどうかしら?)

 イメージするのは、大型トラックみたいなものだ。

 大量にノーマルタイプを載せて遠地まで輸送できるやつ。

 あるいはその中型……軽トラックだろうか。
 この先どんどん整備する道が増えれば、そういうものが不可欠になる。

 ゴーレムは疲れ知らずだが、移動力はあくまで人並みだ。
 そういうわけで、わたくしは家の前で試行錯誤。

 今度は車輪というかタイヤ部分も自動車をイメージし、悪路を想定。
 数度目の生成後、やっと満足できるものができた。

 できたのはダンプカーの搭乗部がでかいオレンジカボチャになった四輪車。
 見た目、すごく馬鹿馬鹿しい。

 ハロウィン以外はお呼びでなさそうなデザインである。
 しかし、運転試験は上々。荷台に乗ってみたが嫌な揺れも少ない。

 これにて完成、ということでよろしいんじゃないでしょうか?

<四輪型ゴーレム大型。生成:MP10、稼働:MP4>

 今までのものよりコストが高いようだ。

 それでもわたくしのMPからするとわずかなものである。

 ああ、良かった。

「今度から市場にはこれで荷を運ぼうかしら?」

「……悪目立ちするんじゃあないでしょうか……」

 横で控えるマギーは頭を抑えながら言ってくる。

「んー……。まあ、最初からあんまりやりすぎるのもね……」

 それは、後で考えよう。

 とりあえずわたくしは中型のものを生成テストすることにする。
 こちらは先の経験もあり、割とスムーズに完成した。

<四輪型ゴーレム中型。生成:MP8、稼働:MP3>

「うーん……」

 こうしてみると、やたらでかい大型よりも中型のほうが使い勝手は良さそう。

「しかし、ずいぶん珍奇なものですねえ……。これからこんなのも使うんですか?」

「まあ、輸送用とかに。これで領地の隅々までゴーレムを送れますわ」

「なるほど。下手すりゃすぐにでも他所の土地に攻め込めますね」

「おっほほほ。それは無理ですわ。所詮ノーマルゴーレムは作業用ですから……」

 言って後、わたくしは不安になる。

 そうなのだ、いくら数はあっても所詮貧弱な代物なのだと思い至った。
 ちょっとした野盗かそんなものならまだしも、本格的な軍隊相手にどこまで……。

「……でも、うちの土地ってそこまでの値打ちがあるかしら?」

「今のところはないですね。ただ、やはり女ばかりですから、物騒と言えば物騒です」

「ですわね……」

 わたくしはうなずき、次のステージが決まったと思った。

 作業用ゴーレムではなく、防衛用・戦闘用のゴーレムもいると。
 そうとなれば、また例の研究資料を読み込まねばならない。

 急ぎ戻った後、今までのことを反芻しつつゴーレムのテスト生成にかかる。

 衛兵……となれば、やはり基本は槍だろう。
 戦う武器といえば剣を想像しやすい。けれども。

 だが、槍のほうは扱いが平易であると聞いたこともある。
 早速に頑丈さ耐久性向上を目標にしつつ、槍武装のゴーレムを生成。

 何度かの失敗後。どうにか納得できるものができた。
 足腰を丹念に強化し、槍を突き出す動作に特化したもの。

<槍兵ゴーレム。生成:2MP、稼働1MP>

「まあ、こんなものかな?」

 完成品の動作確認をしながら、わたくしはコキコキと首を鳴らす。
 色々根を詰めたせいか、ちょっと体がギクシャクするようだ。

「この槍兵タイプはどの程度必要かしら?」

 わたくしを首をひねりながら、マギーに尋ねてみた。

「そうですね……。ステンノー様の警護用とすれば10から20程度でしょうが……」

「なるほど」

「あと、槍は突くばかりではなく、叩くという動作も重要ですね」

「え?」

「むしろ戦闘ではそういう側面のほうが大きいそうですよ。又聞きですが」

「ふーん」

 そんなものか。レイピアや弓ならいくらか経験もあるが、槍は素人なのだ。
 しかし、確かに突くよりも叩くほうが簡単かもしれない。

 とすると、その辺を考慮した改良が必要か……。
 わたくしはまたも色々試しつつ、槍兵を作り直していった。

 突く動作にプラスして叩くことも考慮した槍。
 やっぱり素人なのであんまり自信はない。

「こうなると、武器や防具に詳しい人材も欲しいところですわねえ……」

「将来的には、そうですね。でも、今は現金収入を得られるようにするほうが……」

 先決でしょうね、とマギーは苦笑する。

「そうですわね」

 わたくしはうなずき、とりあえずの改良をした槍兵ゴーレムを量産する。

 とりえあえず30体ほど作って、家の周辺に配置した。
 こうなると人はいないが、ある程度の格好は突くようになった気がする。

 となれば、次は遠距離武器……弓兵ですわね。


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