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その13
しおりを挟む「どうでした、市場は?」
「色々と情報はありました。予定していたものも買えました」
返ってきたハイドラは、色々と様子を聞かせてくれた。
今回はあくまで様子見と宣伝なので、売り場はゼロに等しい。
「……オレンジのカボチャなんて見たこともない」
「気味が悪い」
という反応が多かったとか。
まあ、そう簡単に爆売れしないとは思っていたけど。
ただ、農家などは飼料として興味を示してくれたようだ。
購入してきたものは、小ぶりなヤギとニワトリ。それに干し肉、野菜の種など。
これで今後の開拓も具体的になりそうだ。
「ミクロカはどうでしたの?」
「田舎者丸出しの態度でした。まあここ以上の田舎は国内にないですけど」
と、微かにハイドラは苦笑する。
そりゃあ現代日本から来たのだから、何もかも珍しかろう。
「今後は初回よりも大量の品物を運ぶことになりそうです」
「ふむ。それならちょうど良いゴーレムが完成してますわ」
わたくしが大型四輪車を見せてやると、
「なるほど。これは便利ですね。それでどのくらいの速度が?」
「速度、ですか。けっこう早いと思いますわ」
その辺はあまり深く考えなかった。
ただ自動車が参考になっているから、大体50から60キロくらいではなかろうか。
「早馬よりも早いかしら?」
「それはすごい」
ハイドラは素直に感心していた。
「これ、ほとんどトラックじゃん……」
大型四輪のタイヤ部分を触りながら、ミクロカがつぶやいている。
「でも、これ乗車席がないね……」
さらに顔を上げ、カボチャヘッドの全部を見るミクロカ。
「やっぱり、いるかしら?」
「まあ、あったほうがわたしにとっちゃ自然かなあ」
「ふむ……なら、もう少し改良の必要ありですわね」
わたくしはまず前世知識を応用し、搭乗席を作った。
それから、四輪に乗り込んで乗り心地などをチェック。
座席やタイヤを改良しつつ、小1時間ほど家の周辺を走らせた。
少々骨が折れた気もするけど、乗り心地は改善。
ブレーキもハンドルもない。
代わりに、わたくしとつながる受信機のようなものをつける。
これはあの研究資料やアイデアノートに書かれたものをアレンジした。
パッと見には何もない座席のようだが、搭乗者や周辺状況がわたくしにつながる。
ゴーレム自体が何をしなくても通じるのけど、何しろ人を乗せるもの。
できるだけ機敏な対応ができたほうが良いだろう。
他にもシートベルトや、水筒などを置ける部分を作っておいた。
「これなら、長距離人を乗せてOKですわ!」
ある程度の自信をもって、わたくしは改良した四輪ゴーレムを降りた。
「でも、このサイズは少し大きすぎて、いきなり街へ入るのは難しいかも」
と、大型四輪を見つめ、ハイドラは言った。
「ふーん。じゃあ、こっちは」
わたくしはすぐに中型を見せてみる。
「まあ、これなら……でも、このカボチャはどうも……」
「変かしら」
「変です。正直に言って」
「うーん。でも自然とこうなっちゃうですわ……」
わたくしは困ってしまう。
基本があのハロウィンみたいなカボチャヘッドだけに、他のものも影響大らしい。
「じゃあ、小さなエンブレムみたいな感じにしたら?」
そこでミクロカの提案。
「なるほど」
言われた通りに、外見を改良する。
「おお、だいぶ自動車っぽくなった」
ミクロカの言う通り、色とカボチャの名残さえ無視すれば自動車的なデザイン。
カボチャヘッドは小さく平たい形状となり、バンパー辺りについた。
ライトはどうしようかと思ったが、何かノーマルの応用で何とかなる。
これで夜道も安心。別に直に運転するわけじゃあないけど。
「さあ。これで次からもっと早く楽になりますわよ」
「何だか感覚が鈍ってきますね、色々ありすぎて」
食事の用意をしていたマギーが苦笑しつつやってくる。
「夕食の用意が出来ましたので、食堂のほうへ」
食事はハイドラの買ってきた食材のおかげでちょっと豪勢だった。
マギーの料理も美味しい。
今後はヤギのミルクと卵が加わるので、今から楽しみである。
夕食後、わたくしはするべきことを思い出す。
「弓兵タイプを作成せねば……」
よく考えれば狩りなどをハイドラばかりに頼っているのは良くない。
彼女の負担を減らすべく、まずは狩り用の弓兵を試みた。
狩りは娯楽ながら経験があるので、すぐにイメージでき、完成。
あんまりノーマルと変わらないが、片手が弓になっている。
しかし、相手をウサギや鳥に想定したためか、ちょっと頼りなくもあった。
「うーむ……」
作ったゴーレムを見直し、もう一度考える。
これではいざという時、野盗だの大型猛獣だの来た時に頼りない。
なのでひとまず作ったものを小弓としておこう。
<小弓ゴーレム。生成:2MP、稼働1MP>
ふむ。まあ、こんなものか。
とりあえずを小弓ゴーレムをベースとして、次の目的にかかろう。
まず小弓は射程も短く、威力も低め。
なので、そのへんを改良したものを目指す。
使い出の良いコンポジット・ボウみたいなのが理想だが……。
しかし、基本カボチャの蔓からなるゴーレムでは色々無理。
というか、おかしい。
なので、もっと単純に大きなものを考えてみた。
確か、鎌倉時代の武士は強力な大弓を使ったと、テレビで見たことがある。
鏃もかなり巨大で、凶悪な威力だったらしい。
「参考にすると、それかもしれませんわ……」
しかし、単に思いつきだけどの開発は時間を食った。
先の四輪車は簡単だが設計図みたいなものを参考にできたけど……。
今回はあくまで自分だけでやらずばならない。
作っては没、作っては没。
そんなことを三日ほど繰り返した。
いつの間にか家の周りには失敗作ゴーレムがゴロゴロ転がる。
ちゃんと分解するのも面倒というか、時間が惜しかった。
いや、別に時間だけは十分あるはずなのだが。
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