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その14
しおりを挟むそして四日目の朝。
「できましたわ……!」
ようやく、自分でも満足できるものが完成する。
見た感じ、筋骨隆々と言った様子の弓兵型ゴーレム。
背丈も大きく、右手なる弓は2メートルほど。
鏃は大人の拳骨サイズ。
……しかし、槍といい鏃といい、カボチャの蔓がベースのはず。
なのに、まるで金属としか思えない。
触ってみたが、完全に鉄のようだった。
どういう理屈なのか、自分でも不明で少々不気味。
ちょっと生成速度がノーマルより遅いけど、それは他のゴーレムも同じ。
特に四輪車は慣れてきても時間かかるし。
それはさておき。
わたくしは周辺の木々で、早速に弓兵たちの操作訓練をした。
適応した構造にはなっているが、一応動かすのはわたくし。
半分無意識でやってるところもあるけど、慣れは大事だ。
結果。
「な、何ですか、この化け物は……」
大弓の威力を見たマギーたちは唖然としている。
矢は樹木の幹に深々と突き刺さり、半ば貫通しているものもあった。
「一般の弓がオモチャに思える」
と、ハイドラは驚きながらも淡々と語った。
「これなら、盗賊や猛獣相手でも安心でしょう?」
「あ、安心というか」
「猛獣はともかく、人間にはオーバーキルかも」
マギーや引きつった笑みを浮かべ、ハイドラはジッと大弓ゴーレムを見る。
確かに威力は絶大だ。
この大弓を普通に引ける人間はそういまい。
なればこそ、戦力になるのではあるまいか……とわたくしは思うのだが。
「でもこんな物騒なもの使う機会、早々あるかな。あるかもなあ……」
と、何やら不吉なことをつぶやくミクロカ。
「それはどういう意味だ」
聞き逃さないマギー。あわてるミクロカ。
「あ、いや確かこの国の辺境辺りはモンスターが出るって……」
「ふーむ?」
トースタ国は、あまりモンスター出現を聞かない土地。
だが、彼女の言だと何か引っかかるというか、サインのようなものを感じる。
「ちなみにどんなモンスターが出ると思いますの?」
「えーと、確かオウルベアとか」
どうやらフクロウと熊の合成らしい。
あまり聞き覚えはないが、やはり気になる。
「ハイドラ、このへんに熊はいるの?」
「そういう様子はなかったです。しかし、怪物となるとどういう行動をするか……」
わかりかねる部分が、とハイドラは付け足した。
「ここらにいなくても、他所から来るということもありえますわね」
「確かにそれはあります」
ハイドラはうなずき、何か考えているようだった。
「他にも、他領で野盗が出没しているとの噂もあります。それに、他国からの流民」
「流民?」
「ええ。隣国では農作物の改良や農地開発に力を入れていたらしいのですが、それに失敗して多くの人間が逃げ出しているとか……」
説明したのはマギーだった。
「ふーん――都にいた頃もチラッと聞いてましたけど、そんなことに……」
あの頃は全然余裕がなくってそんなことを気にしてもなかった。
「あちこちで流民・野盗対策をしているようですし、うちもしておくことに越したことはないかもしれません。取られるもはありませんけど」
苦笑するマギー。
「今はそうですけど、そのうちに財産も食べ物も作る予定ですから」
わたくしは宣言して、
「そうなるとますます警備に重点を置かねばなりませんわね」
「ステンノ―様の負担が心配ですが」
「余裕ですわ。わたくし、魔力が999万ありますから」
正確には、999万9999である。
「どえらいチート……」
眼を丸くするのはミクロカだった。
マギーやハイドラはよくわからない様子。
「流民ですが、ただ追い出すばかりでも芸がないかと」
言い出したのはハイドラだった。
「ある程度許容範囲であれば、領民とするという手もあります」
「なるほど。確かに人間の人手もあったが良いですわね?」
「いや、そうですけど」
マギーが少し呆れた顔で割って入る。
「卵が孵る前にヒヨコの数を数えるな、と言いますよ。来てもいない流民のことをあれこれと
話してもしょうがないでしょう。気が早すぎです」
「確かに」
ハイドラがうなずいた。
日本風にすると、捕らぬ狸の皮算用といったところか。
「でもま、今のうちの流民対策の方針はきちんと決めておいたが良いですけどね」
「まあ、文化やら何やらが違えば色々面倒ですしねえ」
わたくしは前世の難民問題を思い出し、ちょっと不安になる。
「近隣の国なら、文化や宗教の違いはそれほど心配はないでしょうけれど、問題は流民の態度ですね。殊勝にしていても、いつ盗賊の類になるかわからない場合もあります」
「ふーん」
「ま、そうなれば情けは無用ですね」
怖い笑顔で、マギーは言った。
「そうそう。ハイドラ、次に市に行った時に買ってきて欲しいものがありますの」
「何でしょう」
「ボウガンを一丁買ってきて欲しいの。そして、できればボウガンの設計図も」
「新しいゴーレムですか」
「ええ。普通の弓はともかく、ボウガンはちょっとわからない部分が多くて」
これは弓兵型を製作中に考えていたことだ。
ゴーレムで連射のきくタイプのものを作ってみたい。
狩りと防衛、両方に使えそうなやつを。
「それなら、他の武器類も手に入れましょうか?」
マギーが言う。
「そうねえ、うん。お願いしましょうか」
「わかりました。次は私が参りましょう。いくらか目もきくつもりですので」
「頼りにしていますよ」
わたくしは満足にうなずいた後、ふとミクロカの様子を見る。
何かモジモジして落ちつかない様子。
「どうかしました?」
いえ、あの、ちょっと……と、ミクロカは挙動不審。
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