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第三部
22.5.子供部屋での座談会
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子供たちサイドのおまけ小話です。
和様のコメントから生まれました。ありがとうございました!
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幼い弟妹達を寝かしつけた後の子供部屋にて。
高校生になった長女、中学生になった長男、小学校高学年の次女と次男を交えた4人は、就寝前の時間を共に過ごしてた。金曜日の夜くらいは夜更かししてもいいだろう。長女のイチカは、まだ小学生の弟妹達に「早く寝なさい」と言うことなく、呆れ気味なため息を吐いた。原因は、いまだにラブラブな両親二人だ。
「万年新婚夫婦よね……。私、パパみたいな男はちょっと遠慮したいわ。あの愛は重いかも」
ソファに腰かけてクッションに顔を埋める。くぐもったため息がクッションから漏れた。
苦笑気味に宥めてきたのは、すぐ下の弟のフタバだ。幼い頃は全く感情をあらわさなかった彼だが、今では父親と同じように笑顔がデフォルトになっている。全体的に母親似のフタバだが、中身は間違いなく父親似だとイチカは思っている。腹黒いところもだが、笑顔ですべてを済ませようとするめんどくさがりな面など特に。
「私はあんたの将来も心配よ。パパみたいな溺愛振りを見せつけられたら、こっちは糖分過多で胃がやられそう」
「それは酷くない? 僕はあそこまで誰かを溺愛しないと思うけど。ほんと、毎日毎日よくやるよね。徹底的に寝室には強固な結界まで張ってさ。そんなに邪魔されたくないって……ママが大変そう」
全くだと4人は頷いた。
「ママが朝弱いのって、パパの所為なんだろ? だってパパが出張中は、早起きで元気じゃん。いつもは僕たちを見送る事もできないのに」
小学6年生の次男がなかなか際どい話を持ち出してきた。一瞬イチカは返答に困る。果たしてどこまで勘付いているのか。……いや、単に父親が不在の時との違いを指摘しているだけか。
が、言っている事は当たっている。明日の朝も、母はお昼まで起きてこないだろう。
「でも、ママがもし先に死んじゃった場合、あの人はどうなるんだろうね。『死ぬ時は一緒ですよ』なんて笑顔で言ってた事あったけど、冗談っぽく聞こえなかったなぁ」
さらりとフタバが流した発言に、イチカの頬は引きつる。ああ、想像したくもない。女性の方が長生きだとしても、人の死期までは誰にもわからないだろう。古紫の巫女も、寿命を読む事は絶対にしない。
もし父が先に死んだら母は泣き崩れるだろうが、時間が経てば徐々に前を向いて、先を歩く人だ。子供たちがいるとわかればなおさら。
だが、父は?
溺愛している母が先に亡くなった場合、呆然自失で仕事に手がつかないどころか、後を追いそうだと、嫌な想像が駆け巡った。そんなのは断固阻止だ。
「一緒に……。車が海に沈んで溺死? 火事に巻き込まれて焼死? 飛行機墜落で事故死?」
「ちょ、ちょっとヤヨイ! 縁起でもない事言わないで」
双子の片割れ、霊感少女の次女は淡々と言葉を紡ぐ。
「苦しくないのは焼死かも。一酸化炭素中毒で先に意識を失っちゃうから」
「…………」
確かにそうかもしれないが、そんな事は考えたくない。そんな不幸な事故に両親が巻き込まれるのは、絶対に嫌だ。
「パパの重い愛は多分これからも変わらないね~。って、この前メイが言ってたぞ」
「え、ちょっといつの間にそんなの占ってたの、あの子は!」
三女のメイは東条家の第5子だ。占術が得意であり、この双子のすぐ下の妹でもある。
「浮気の心配がない分、ママは幸せだと思うけどね。何人子供が出来てもあの人の愛は衰え知らずだし。でも、もうこれ以上弟妹が増えなくていいかなぁ~とは思うけど」
笑顔で告げたフタバの発言に、思わず頷いた。新しい弟妹が生まれるのは単純に嬉しい。が、多分もう十分だろう。それに高齢出産はあまりしてほしくない。母体に負担がかかるから。
「……大丈夫。たとえどっちかが亡くなったとしても、私がいるから」
ぽつりと静かに呟いたヤヨイを見て、3人は納得した。ああ、確かに彼女がいれば、寂しがる事は減りそうだ。ヤヨイは霊能力者なのだから。
「一般人のパパでも幽霊が見えるようにはまあ、何とかできるか。傍から見たらかなり不気味だけど、死んだ後も変わらず相手が傍にいてくれたら嬉しいかもねぇ」
「……成仏するまでだけどね」
そう続けたヤヨイの言葉に、思わず一同は考え込んでしまう。もし、母が先に亡くなったら……父を置いて成仏するのは、難しいかもしれない。自分を追ってこないか、心配すぎて。
「嫌だ、死んだ後までパパに振り回されるママが見える……。何て迷惑な!」
そしてやっぱり自分たちが介入できる隙間がなさそうだ。ある意味寂しい。
「あの二人には仲良く寿命を迎えてもらうのが一番だね。90過ぎまで生きたら大往生でしょう。そこまで生きたら、どっちかが先に死んでもすぐに迎えが来そうだし」
「そうね、フタバ。二人にはいつまでも元気で仲良く生きてもらうのが一番よね! 子供たちが引くくらいのイチャつきは控えてほしいけど」
最後に本音が来た。
長女のイチカが一番被害を受けて苦労しているのだから、仕方がないとも言える。
「……そういえば。雪おばあちゃんがこの前言ってた。『あの二人は生まれ変わっても変わらぬよ』って」
「「「………」」」
ヤヨイが告げた衝撃的な台詞に、イチカの腕に鳥肌が立った。
「う、うわぁー! 何それ、来世でも出会うって決まってるの!? 見えてるの!? そして恋人同士になるの!? 嫌だ、私ならそれはちょっと遠慮したいわ!!」
「落ち着いてよ、イチカ。断言しているわけじゃないよ。……多分」
「フォローになってないわよ、フタバ!!」
それから1ヶ月後。
麗に妊娠の兆候が見え、4人は思わず顔を見合わせた。やっぱり愛されすぎるのも問題だと思う。
だが、当の本人たちが嬉しそうなら、まあいっか。
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雪花さんは魔女なので、120歳まで生きる・・・かも?
こんな会話があったりなかったり。あくまで夢の世界での話です。
和様のコメントから生まれました。ありがとうございました!
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幼い弟妹達を寝かしつけた後の子供部屋にて。
高校生になった長女、中学生になった長男、小学校高学年の次女と次男を交えた4人は、就寝前の時間を共に過ごしてた。金曜日の夜くらいは夜更かししてもいいだろう。長女のイチカは、まだ小学生の弟妹達に「早く寝なさい」と言うことなく、呆れ気味なため息を吐いた。原因は、いまだにラブラブな両親二人だ。
「万年新婚夫婦よね……。私、パパみたいな男はちょっと遠慮したいわ。あの愛は重いかも」
ソファに腰かけてクッションに顔を埋める。くぐもったため息がクッションから漏れた。
苦笑気味に宥めてきたのは、すぐ下の弟のフタバだ。幼い頃は全く感情をあらわさなかった彼だが、今では父親と同じように笑顔がデフォルトになっている。全体的に母親似のフタバだが、中身は間違いなく父親似だとイチカは思っている。腹黒いところもだが、笑顔ですべてを済ませようとするめんどくさがりな面など特に。
「私はあんたの将来も心配よ。パパみたいな溺愛振りを見せつけられたら、こっちは糖分過多で胃がやられそう」
「それは酷くない? 僕はあそこまで誰かを溺愛しないと思うけど。ほんと、毎日毎日よくやるよね。徹底的に寝室には強固な結界まで張ってさ。そんなに邪魔されたくないって……ママが大変そう」
全くだと4人は頷いた。
「ママが朝弱いのって、パパの所為なんだろ? だってパパが出張中は、早起きで元気じゃん。いつもは僕たちを見送る事もできないのに」
小学6年生の次男がなかなか際どい話を持ち出してきた。一瞬イチカは返答に困る。果たしてどこまで勘付いているのか。……いや、単に父親が不在の時との違いを指摘しているだけか。
が、言っている事は当たっている。明日の朝も、母はお昼まで起きてこないだろう。
「でも、ママがもし先に死んじゃった場合、あの人はどうなるんだろうね。『死ぬ時は一緒ですよ』なんて笑顔で言ってた事あったけど、冗談っぽく聞こえなかったなぁ」
さらりとフタバが流した発言に、イチカの頬は引きつる。ああ、想像したくもない。女性の方が長生きだとしても、人の死期までは誰にもわからないだろう。古紫の巫女も、寿命を読む事は絶対にしない。
もし父が先に死んだら母は泣き崩れるだろうが、時間が経てば徐々に前を向いて、先を歩く人だ。子供たちがいるとわかればなおさら。
だが、父は?
溺愛している母が先に亡くなった場合、呆然自失で仕事に手がつかないどころか、後を追いそうだと、嫌な想像が駆け巡った。そんなのは断固阻止だ。
「一緒に……。車が海に沈んで溺死? 火事に巻き込まれて焼死? 飛行機墜落で事故死?」
「ちょ、ちょっとヤヨイ! 縁起でもない事言わないで」
双子の片割れ、霊感少女の次女は淡々と言葉を紡ぐ。
「苦しくないのは焼死かも。一酸化炭素中毒で先に意識を失っちゃうから」
「…………」
確かにそうかもしれないが、そんな事は考えたくない。そんな不幸な事故に両親が巻き込まれるのは、絶対に嫌だ。
「パパの重い愛は多分これからも変わらないね~。って、この前メイが言ってたぞ」
「え、ちょっといつの間にそんなの占ってたの、あの子は!」
三女のメイは東条家の第5子だ。占術が得意であり、この双子のすぐ下の妹でもある。
「浮気の心配がない分、ママは幸せだと思うけどね。何人子供が出来てもあの人の愛は衰え知らずだし。でも、もうこれ以上弟妹が増えなくていいかなぁ~とは思うけど」
笑顔で告げたフタバの発言に、思わず頷いた。新しい弟妹が生まれるのは単純に嬉しい。が、多分もう十分だろう。それに高齢出産はあまりしてほしくない。母体に負担がかかるから。
「……大丈夫。たとえどっちかが亡くなったとしても、私がいるから」
ぽつりと静かに呟いたヤヨイを見て、3人は納得した。ああ、確かに彼女がいれば、寂しがる事は減りそうだ。ヤヨイは霊能力者なのだから。
「一般人のパパでも幽霊が見えるようにはまあ、何とかできるか。傍から見たらかなり不気味だけど、死んだ後も変わらず相手が傍にいてくれたら嬉しいかもねぇ」
「……成仏するまでだけどね」
そう続けたヤヨイの言葉に、思わず一同は考え込んでしまう。もし、母が先に亡くなったら……父を置いて成仏するのは、難しいかもしれない。自分を追ってこないか、心配すぎて。
「嫌だ、死んだ後までパパに振り回されるママが見える……。何て迷惑な!」
そしてやっぱり自分たちが介入できる隙間がなさそうだ。ある意味寂しい。
「あの二人には仲良く寿命を迎えてもらうのが一番だね。90過ぎまで生きたら大往生でしょう。そこまで生きたら、どっちかが先に死んでもすぐに迎えが来そうだし」
「そうね、フタバ。二人にはいつまでも元気で仲良く生きてもらうのが一番よね! 子供たちが引くくらいのイチャつきは控えてほしいけど」
最後に本音が来た。
長女のイチカが一番被害を受けて苦労しているのだから、仕方がないとも言える。
「……そういえば。雪おばあちゃんがこの前言ってた。『あの二人は生まれ変わっても変わらぬよ』って」
「「「………」」」
ヤヨイが告げた衝撃的な台詞に、イチカの腕に鳥肌が立った。
「う、うわぁー! 何それ、来世でも出会うって決まってるの!? 見えてるの!? そして恋人同士になるの!? 嫌だ、私ならそれはちょっと遠慮したいわ!!」
「落ち着いてよ、イチカ。断言しているわけじゃないよ。……多分」
「フォローになってないわよ、フタバ!!」
それから1ヶ月後。
麗に妊娠の兆候が見え、4人は思わず顔を見合わせた。やっぱり愛されすぎるのも問題だと思う。
だが、当の本人たちが嬉しそうなら、まあいっか。
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雪花さんは魔女なので、120歳まで生きる・・・かも?
こんな会話があったりなかったり。あくまで夢の世界での話です。
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