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公爵家編
公爵庶子リリアの異母姉
街で見かける辻馬車とはまるで違う豪華な馬車に揺られて貴族街の奥にあるとても大きな屋敷へとやって来た。
まるでお城の様な屋敷だ。
門から入り口までが物凄く遠い。
大きな屋敷に興奮する母の傍、私もこれからの生活にワクワクが止まらない。
玄関前に並んだ使用人が一成に頭を下げて私達を迎えてくれた。
私に頭を垂れる使用人の姿を見て、まるで私が偉くなった様な気になる。いや、私は公爵令嬢になったの
だった。それも時期公爵家の当主。
気分を良くした私は、使用人に先導されてサロンへとやって来た。
このサロンだけでも私が生まれ育った場末の酒場を何個も買えるだけのお金が掛けられているのだろう。
フカフカのソファの腰を降ろした私は、高価な紅茶や綺麗なお茶菓子を食べる。
お、美味しい。
パクパクとお菓子を食べる私を、お父様は微笑ましそうな視線を向けて来る。
胡散臭い笑顔だが、まあ良いか。
しばらく談笑をしていると、使用人がノックの後に誰かの来訪を告げた。
その名前を聞いたお父様の顔が苦々しく歪んだ。
入室して来たのは綺麗に手入れされた金髪と柔和そうな笑みを浮かべた少女だった。
「失礼致します、お父様」
「何をしに来た」
「新しい家族に一言ご挨拶を、と思いまして」
「ふん、こいつは長女のソフィアだ。ソフィア、私の愛するハンナとリリアだ。
くれぐれも馬鹿な真似はするなよ。分かったらさっさと退がれ」
「…… はい。失礼致します」
ソフィアは椅子に座る事すらなくサロンを後にした。
アレが公爵令嬢、私の姉なのか。
あからさまにお父様から冷遇されているみたいね。
前妻は権力を使って母とお父様の間を引き裂いて無理矢理結婚したと聞いている。
その為、お父様は姉を嫌っているのだろう。
「ソフィアはいけすかない前妻にそっくりでな。もし口煩く何かをいて来たら直ぐに私に言いなさい」
「はい、ありがとうございます」
「あいつは王子殿下の婚約者だからと父である私を見下す様な奴だ。リリアが成人したらあんな奴は追い出すからな。そうしたら正式にこの公爵家はリリアの物だ」
そう言って頭を撫でてくれるお父様。母も嬉しそうだ。
しかし、あの姉がそんなに悪どいのだろうか?
見た感じ温室育ちのお嬢様にしか見えなかったけれど。下町のクソガキの方がよっぽど悪どいと思う。
まぁ、前妻の様に生意気だとお父様も言っているし、今はお父様に愛されていて将来公爵家を継ぐ私の前だから猫を被っているのかも知れない。
この日から私の生活は大変贅沢な物になった。
朝から晩まで使用人にお世話をされて、欲しい物はお父様が何でも買ってくれた。
そんな充実した生活を送っていると、私の部屋を訪れる人が居た。
メイドにドアを開けさせると、そこに立っていたのはソフィア……お姉様だった。
「あらお姉様。何か御用ですか?」
「ええ、リリア。貴女がこの家に来て1ヶ月。そろそろ貴族令嬢としての教育を受けて貰おうと思うのだけれど良いかしら?」
「教育?」
成る程。どうやらソフィアお姉様は私に媚を売りに来た様だ。
教育や教養とは究極的には無くても困らない物、つまりは贅沢品。下町の小娘では決して手に入らない物だ。
それを私に与えて将来の自分の立場を少しでも良くしようとしているのだろう。
惨めなお姉様。
贅沢品を私に差し出してまで今の立場に縋るしかないなんてなんて哀れなのだろうか。
まぁ、くれると言うなら貰ってあげるわ。
私に尻尾を振ると言うなら悪い様にするつもりはない。
「はい、ありがとうございます。お姉様」
「……そう。では手配しておくわね」
ソフィアお姉様は少し驚いた様に頷いて帰って行った。
私が施しなんて受けないとでも言うと思ったのだろうか?
貰える物は貰う。私はそう言う女なのだ!
まるでお城の様な屋敷だ。
門から入り口までが物凄く遠い。
大きな屋敷に興奮する母の傍、私もこれからの生活にワクワクが止まらない。
玄関前に並んだ使用人が一成に頭を下げて私達を迎えてくれた。
私に頭を垂れる使用人の姿を見て、まるで私が偉くなった様な気になる。いや、私は公爵令嬢になったの
だった。それも時期公爵家の当主。
気分を良くした私は、使用人に先導されてサロンへとやって来た。
このサロンだけでも私が生まれ育った場末の酒場を何個も買えるだけのお金が掛けられているのだろう。
フカフカのソファの腰を降ろした私は、高価な紅茶や綺麗なお茶菓子を食べる。
お、美味しい。
パクパクとお菓子を食べる私を、お父様は微笑ましそうな視線を向けて来る。
胡散臭い笑顔だが、まあ良いか。
しばらく談笑をしていると、使用人がノックの後に誰かの来訪を告げた。
その名前を聞いたお父様の顔が苦々しく歪んだ。
入室して来たのは綺麗に手入れされた金髪と柔和そうな笑みを浮かべた少女だった。
「失礼致します、お父様」
「何をしに来た」
「新しい家族に一言ご挨拶を、と思いまして」
「ふん、こいつは長女のソフィアだ。ソフィア、私の愛するハンナとリリアだ。
くれぐれも馬鹿な真似はするなよ。分かったらさっさと退がれ」
「…… はい。失礼致します」
ソフィアは椅子に座る事すらなくサロンを後にした。
アレが公爵令嬢、私の姉なのか。
あからさまにお父様から冷遇されているみたいね。
前妻は権力を使って母とお父様の間を引き裂いて無理矢理結婚したと聞いている。
その為、お父様は姉を嫌っているのだろう。
「ソフィアはいけすかない前妻にそっくりでな。もし口煩く何かをいて来たら直ぐに私に言いなさい」
「はい、ありがとうございます」
「あいつは王子殿下の婚約者だからと父である私を見下す様な奴だ。リリアが成人したらあんな奴は追い出すからな。そうしたら正式にこの公爵家はリリアの物だ」
そう言って頭を撫でてくれるお父様。母も嬉しそうだ。
しかし、あの姉がそんなに悪どいのだろうか?
見た感じ温室育ちのお嬢様にしか見えなかったけれど。下町のクソガキの方がよっぽど悪どいと思う。
まぁ、前妻の様に生意気だとお父様も言っているし、今はお父様に愛されていて将来公爵家を継ぐ私の前だから猫を被っているのかも知れない。
この日から私の生活は大変贅沢な物になった。
朝から晩まで使用人にお世話をされて、欲しい物はお父様が何でも買ってくれた。
そんな充実した生活を送っていると、私の部屋を訪れる人が居た。
メイドにドアを開けさせると、そこに立っていたのはソフィア……お姉様だった。
「あらお姉様。何か御用ですか?」
「ええ、リリア。貴女がこの家に来て1ヶ月。そろそろ貴族令嬢としての教育を受けて貰おうと思うのだけれど良いかしら?」
「教育?」
成る程。どうやらソフィアお姉様は私に媚を売りに来た様だ。
教育や教養とは究極的には無くても困らない物、つまりは贅沢品。下町の小娘では決して手に入らない物だ。
それを私に与えて将来の自分の立場を少しでも良くしようとしているのだろう。
惨めなお姉様。
贅沢品を私に差し出してまで今の立場に縋るしかないなんてなんて哀れなのだろうか。
まぁ、くれると言うなら貰ってあげるわ。
私に尻尾を振ると言うなら悪い様にするつもりはない。
「はい、ありがとうございます。お姉様」
「……そう。では手配しておくわね」
ソフィアお姉様は少し驚いた様に頷いて帰って行った。
私が施しなんて受けないとでも言うと思ったのだろうか?
貰える物は貰う。私はそう言う女なのだ!
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