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公爵家編
公爵庶子リリアの驚愕
公爵家の書庫はとても大きい。
歴代の公爵家の人々が収集した書物や代々の領地経営の記録などが納められている。
その奥、禁書庫の付近の書架に舐める様に視線を這わせる。侍女のサラに聞いた所によると、この辺りに有るはずなんだけど……。
「あった」
書架に収められた鉱山に関する資料を手当たり次第に引き抜いてゆく。
パラパラと資料を捲り、目的の情報を拾い上げてゆく。
「うん、こんな物かな」
目的を果たした私は、読み終えた資料を元通りに書架に戻そうとした。その時にふと目に入ったのは去年の鉱山経営の決算書類だった。
そこには『ロバート・フォン・エルドラン』とお父様のサインが入っている。
「……なによ。やっぱりお父様はちゃんと鉱山の経営をしているじゃない」
じゃあ、なんで昨日は私の質問に答えてくれなかったのだろうか?
そう思いながら何となく書類を捲った。
「え?」
私は思わず戸惑いの声を上げた。
鉱山経営の決算書に書かれたサインは確かに公爵であるお父様の物だ。
しかし、その他の部分。
予算の計算や付属されている報告のまとめなどが全て別人の筆跡で書かれていたのだ。
コレが鉱山からの報告書や調査書なら問題無い。
お父様が確認してサインを入れるのは自然な事だ。
しかし、この書類は王宮に提出する物の複写だ。確か、王宮に提出する書類は複写であっても権利者が全て書き上げなければならないと、昨日、クソ陰険メガネが言っていた。
「コレも……コッチも……」
他の書類も確認したがどの書類もお父様はサインをしているだけだった。
「どうなっているの? あれ? この書類は……」
不思議に思っていると、公爵家の権利関係の書類が纏められた冊子が出てきた。
本来なら禁書庫の書架に保管されている筈の資料だ。誰かが間違えて此処に戻したのだろうか?
少し躊躇したが中を開いた。
「な、なにコレ⁉︎」
そこに書かれていたのは鉱山の管理者の名前。
お父様の名前が書かれている筈の場所に書かれていたのは『ソフィア・フォン・エルドラン』と言うお姉様の名前だった。
更に、過去の資料を確認すればそこのある名前は『メリッサ・フォン・エルドラン』だった。
お父様の前妻で、ソフィアお姉様の死んだ実母の名前だ。
私の背中をざわざわをした感覚が襲う。
この屋敷に来た時から感じていた違和感が形になろうとしている。
鉱山の経営だけではない、資料を確認すると他の事業や公爵家の運営まで、全てソフィアお姉様が手掛けている。
「か、家系図!」
私は書庫をひっくり返す勢いで探し出した公爵家の家系図を指で辿った。
そして……。
「っ⁉︎ お父様、婿養子じゃない!」
お父様は婿養子。生まれはリンドル伯爵家の六男だった。
最近、教わった事だが、この国では爵位の相続は血筋が何よりも優先される。
例え子供に女しかいなくても他家出身の婿に爵位を継がせる事は無い。
その場合は妻が爵位を相続して婿は補佐になるし、子供が居なければ分家筋から養子を取る。
お父様はエルドラン公爵家の血を持っていない。勿論、私もエルドラン公爵家の血を引いていない。
籍としてはエルドラン公爵家に属しているが、継承権は無い。
お父様は爵位が相続されるまでの繋ぎでしかない。
未成年のソフィアお姉様の書類には後見人のサインが必要だ。だからお父様は確認のサインだけをしていたのだ。
つまり、お父様はエルドラン公爵を名乗っているが、正確にはエルドラン公爵“代理”だったのだ。
歴代の公爵家の人々が収集した書物や代々の領地経営の記録などが納められている。
その奥、禁書庫の付近の書架に舐める様に視線を這わせる。侍女のサラに聞いた所によると、この辺りに有るはずなんだけど……。
「あった」
書架に収められた鉱山に関する資料を手当たり次第に引き抜いてゆく。
パラパラと資料を捲り、目的の情報を拾い上げてゆく。
「うん、こんな物かな」
目的を果たした私は、読み終えた資料を元通りに書架に戻そうとした。その時にふと目に入ったのは去年の鉱山経営の決算書類だった。
そこには『ロバート・フォン・エルドラン』とお父様のサインが入っている。
「……なによ。やっぱりお父様はちゃんと鉱山の経営をしているじゃない」
じゃあ、なんで昨日は私の質問に答えてくれなかったのだろうか?
そう思いながら何となく書類を捲った。
「え?」
私は思わず戸惑いの声を上げた。
鉱山経営の決算書に書かれたサインは確かに公爵であるお父様の物だ。
しかし、その他の部分。
予算の計算や付属されている報告のまとめなどが全て別人の筆跡で書かれていたのだ。
コレが鉱山からの報告書や調査書なら問題無い。
お父様が確認してサインを入れるのは自然な事だ。
しかし、この書類は王宮に提出する物の複写だ。確か、王宮に提出する書類は複写であっても権利者が全て書き上げなければならないと、昨日、クソ陰険メガネが言っていた。
「コレも……コッチも……」
他の書類も確認したがどの書類もお父様はサインをしているだけだった。
「どうなっているの? あれ? この書類は……」
不思議に思っていると、公爵家の権利関係の書類が纏められた冊子が出てきた。
本来なら禁書庫の書架に保管されている筈の資料だ。誰かが間違えて此処に戻したのだろうか?
少し躊躇したが中を開いた。
「な、なにコレ⁉︎」
そこに書かれていたのは鉱山の管理者の名前。
お父様の名前が書かれている筈の場所に書かれていたのは『ソフィア・フォン・エルドラン』と言うお姉様の名前だった。
更に、過去の資料を確認すればそこのある名前は『メリッサ・フォン・エルドラン』だった。
お父様の前妻で、ソフィアお姉様の死んだ実母の名前だ。
私の背中をざわざわをした感覚が襲う。
この屋敷に来た時から感じていた違和感が形になろうとしている。
鉱山の経営だけではない、資料を確認すると他の事業や公爵家の運営まで、全てソフィアお姉様が手掛けている。
「か、家系図!」
私は書庫をひっくり返す勢いで探し出した公爵家の家系図を指で辿った。
そして……。
「っ⁉︎ お父様、婿養子じゃない!」
お父様は婿養子。生まれはリンドル伯爵家の六男だった。
最近、教わった事だが、この国では爵位の相続は血筋が何よりも優先される。
例え子供に女しかいなくても他家出身の婿に爵位を継がせる事は無い。
その場合は妻が爵位を相続して婿は補佐になるし、子供が居なければ分家筋から養子を取る。
お父様はエルドラン公爵家の血を持っていない。勿論、私もエルドラン公爵家の血を引いていない。
籍としてはエルドラン公爵家に属しているが、継承権は無い。
お父様は爵位が相続されるまでの繋ぎでしかない。
未成年のソフィアお姉様の書類には後見人のサインが必要だ。だからお父様は確認のサインだけをしていたのだ。
つまり、お父様はエルドラン公爵を名乗っているが、正確にはエルドラン公爵“代理”だったのだ。
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