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公爵家編
公爵庶子リリアの方針転換
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「不味いわよね」
脳裏に今までの自分の発言が浮かんでくる。
公爵家を継ぐ堂々と公言しているし、使用人にも聞かれている。
お父様も私を後継にすると何度も言った。
これでは完全に爵位の簒奪。重罪だ。
実行するどころか、計画するだけで死刑もありえる。
血の気が引き顔を蒼白にした私は、自身の楽しくない未来を想像して意識を失いそうになった。
でもそこで、ふと思う。何故私はまだ生きてこの場に居るのだろう。
いくらお父様が謀ったとしてもエルドラン公爵家の正当な後継者はソフィアお姉様。未成年とは言え鉱山の経営を始め、公爵家の事業を実質取り仕切っているソフィアお姉様なら、私やお母様を公爵家に迎え入れるのを妨害する事も、こっそり始末する事も出来た筈だ。
だが、実際に私はこの場に居るし、贅沢にも上等な教育だって受けさせて貰っている。
その教育だってお父様の発言を考えれば、手を回したのはソフィアお姉様の独断の様だった。
ソフィアお姉様は私に教育を受けさせたかったってこと?
「っ⁉︎」
そこまで考えた所で私の中で多くの事柄が1つの線で繋がった。
「そうなの? そう言う事なの?」
私に貴族令嬢としての教育を受けさせた事、継承権の無い私にも不自然に従順だった使用人達、厳重に管理されている筈の公爵家の権利に関する書類が、私に出された課題の資料に紛れ込んでいた事。
これら全てがソフィアお姉様が仕組んだ事だったとするなら……。
「私は……試されている?」
エルドラン公爵家は経済には権勢を誇っている。
領地には豊富な埋蔵量を持つ鉱山を幾つも保有し、冬でも凍らない港も有る。
魔物の被害も少ない恵まれた領地だ。
だが1つだけ、問題とも言えないほど小さい物だが1つだけ問題点を挙げるとするならば、本家筋の親族の少なさが挙げられる。
政略結婚で使える親族が居ないのだ。
そこに現れたのが私だ。
半分とは言え、次期エルドラン公爵であるソフィアお姉様と血の繋がった姉妹で有り、尚且つエルドラン公爵家の血は引いておらず発言力は低い。非常に便利な立場と言える。
しかし、余りに愚かでもダメだ。ソフィアお姉様の邪魔にならない程度には有能でなければ意味がない。
今、ソフィアお姉様は私がどれだけ使えるのかを測っているのだとしたら……。
もし私の考えが合っていたらと思うと、気付いた事への安堵と、もし気付かなかったらどうなっていたのかと言う恐怖を覚える。
おそらくこの事に気付きすらしなかったら利用価値なしとして処分されたのだろう。
それだけあからさまだったのだ、気付いてしまえば。
処分の仕方が公爵家からの放逐なのか、好色爺の後妻なのか、新魔法の実験台か、魔物の餌なのかは分からないが、なんとか首の皮1枚で繋がっている……と思いたい。
さて、そうと分かれば私の取る行動はただ1つ、方針転換だ。
私はこれから全力でソフィアお姉様に媚を売る。
私がソフィアお姉様にとって無害で有り、少なからず利益を齎す存在だとアピールするのだ。
お父様とお母様はもうダメだろう。
今から有能の両親に変わる事など出来るはずがない。
幸い、知り合って間もないお父様に大きな情は無いし、私をお父様との繋がる道具としか見ていなお母様も
切り捨てるのに迷う程ではない。
沈むと分かっている泥舟に乗るつもりは無い。
2人を裏切ってでもソフィアお姉様の乗る船にしがみ付く。
悪く思わないで欲しい。私は自分が可愛いのだ。
脳裏に今までの自分の発言が浮かんでくる。
公爵家を継ぐ堂々と公言しているし、使用人にも聞かれている。
お父様も私を後継にすると何度も言った。
これでは完全に爵位の簒奪。重罪だ。
実行するどころか、計画するだけで死刑もありえる。
血の気が引き顔を蒼白にした私は、自身の楽しくない未来を想像して意識を失いそうになった。
でもそこで、ふと思う。何故私はまだ生きてこの場に居るのだろう。
いくらお父様が謀ったとしてもエルドラン公爵家の正当な後継者はソフィアお姉様。未成年とは言え鉱山の経営を始め、公爵家の事業を実質取り仕切っているソフィアお姉様なら、私やお母様を公爵家に迎え入れるのを妨害する事も、こっそり始末する事も出来た筈だ。
だが、実際に私はこの場に居るし、贅沢にも上等な教育だって受けさせて貰っている。
その教育だってお父様の発言を考えれば、手を回したのはソフィアお姉様の独断の様だった。
ソフィアお姉様は私に教育を受けさせたかったってこと?
「っ⁉︎」
そこまで考えた所で私の中で多くの事柄が1つの線で繋がった。
「そうなの? そう言う事なの?」
私に貴族令嬢としての教育を受けさせた事、継承権の無い私にも不自然に従順だった使用人達、厳重に管理されている筈の公爵家の権利に関する書類が、私に出された課題の資料に紛れ込んでいた事。
これら全てがソフィアお姉様が仕組んだ事だったとするなら……。
「私は……試されている?」
エルドラン公爵家は経済には権勢を誇っている。
領地には豊富な埋蔵量を持つ鉱山を幾つも保有し、冬でも凍らない港も有る。
魔物の被害も少ない恵まれた領地だ。
だが1つだけ、問題とも言えないほど小さい物だが1つだけ問題点を挙げるとするならば、本家筋の親族の少なさが挙げられる。
政略結婚で使える親族が居ないのだ。
そこに現れたのが私だ。
半分とは言え、次期エルドラン公爵であるソフィアお姉様と血の繋がった姉妹で有り、尚且つエルドラン公爵家の血は引いておらず発言力は低い。非常に便利な立場と言える。
しかし、余りに愚かでもダメだ。ソフィアお姉様の邪魔にならない程度には有能でなければ意味がない。
今、ソフィアお姉様は私がどれだけ使えるのかを測っているのだとしたら……。
もし私の考えが合っていたらと思うと、気付いた事への安堵と、もし気付かなかったらどうなっていたのかと言う恐怖を覚える。
おそらくこの事に気付きすらしなかったら利用価値なしとして処分されたのだろう。
それだけあからさまだったのだ、気付いてしまえば。
処分の仕方が公爵家からの放逐なのか、好色爺の後妻なのか、新魔法の実験台か、魔物の餌なのかは分からないが、なんとか首の皮1枚で繋がっている……と思いたい。
さて、そうと分かれば私の取る行動はただ1つ、方針転換だ。
私はこれから全力でソフィアお姉様に媚を売る。
私がソフィアお姉様にとって無害で有り、少なからず利益を齎す存在だとアピールするのだ。
お父様とお母様はもうダメだろう。
今から有能の両親に変わる事など出来るはずがない。
幸い、知り合って間もないお父様に大きな情は無いし、私をお父様との繋がる道具としか見ていなお母様も
切り捨てるのに迷う程ではない。
沈むと分かっている泥舟に乗るつもりは無い。
2人を裏切ってでもソフィアお姉様の乗る船にしがみ付く。
悪く思わないで欲しい。私は自分が可愛いのだ。
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