これが私の生存戦略

はぐれメタボ

文字の大きさ
10 / 17
公爵家編

公爵庶子リリアの閃き

 私の護衛に付けられたのは寡黙な巨漢だった。
 ロデリックと言う男は見るからに威圧的で強そうだが、話してみると気さくで礼儀正しい好中年だった。
 彼はメイド頭のロクサーヌの旦那さんで2人の子供を溺愛しているらしい。

 そのロデリックとサラを連れて私が向かっているのは王都の外れにある孤児院だ。
 リスクとリターンを勘案した結果、ソフィアお姉様から受け取った予算の使い道はやはり慈善活動に決めた。

 王都の孤児院を調べ、大きな貴族や商人の援助が無い孤児院をいくつかピックアップして支援する事にした。
 しかし、ただお金を渡して終わりと言う訳には行かない。
 何かソフィアお姉様に認められる様な事を考えないと。
 教会に併設された孤児院に着いた私は、管理しているシスターと面会した。

「リリア様。この度は当院へご支援頂きありがとうございます」
「頭を上げてください、シスター。子供達は国の未来を担う存在なのですから、手を差し伸べるのは貴族として当然の事ですわ」

 私がそう言って微笑み掛けると、シスターは更に恐縮して頭を下げた。
 うんうん。本当に頭を下げる必要は無いのよ。ただ私の名声を広げてくれればそれで良いの。具体的にはソフィアお姉様の耳に入るくらい。

「私はこう言う活動は初めてなのですが、何かお困りの事は有りませんか?」
「い、いえ! こうして御寄付を頂いただけで十分で御座います。お陰様で子供達にお腹一杯食べさせてあげる事が出来ます」
「そうですか。ではもし困った事が有ればご連絡下さい」
「ありがとう御座います。リリア様」

 それからシスターに孤児達の事や教会の活動などを教えて貰う。
 当然、下町育ちの私は知っている事が殆どだったが、サラやロデリックは朝から晩まで働く孤児達の生活に驚いた様だった。
 ある程度話を聞き、今日の所はこの辺でお暇する事にする。

「では私はコレで」
「はい。リリア様に神の御加護を」

 シスターに挨拶して孤児院を出る。
 あまり収穫は無かったな。
 こんな支援ではただソフィアお姉様のお金を横に流しただけだ。
 ダメでは無いが、凄く良い訳では無い。
 孤児院の庭で楽しそうに騒いでいる孤児達に視線を向ける。
 子供達は年嵩のシスターに群がる様に集まっている。何をしているのかと見れば本を読んで貰っている様だ。
 なる程。孤児達は自分で本を読む事が出来ないから、ああやって読んで貰っているのだろう。
 仕事の合間の僅かな楽しみと言う訳だ。
 この国の平民の識字率は高くない。
 私も、公爵家で教わるまでは自分の名前と簡単な言葉しか読めなかったし、計算だって50より多いと出来なかった。公爵家の優秀な家庭教師の指導を受けたお陰で現在では文字も計算もなかなかの物だ。
 今の私なら平民でもそれなりに良い仕事に…………そうだ! これだ!
 孤児達に勉強を教えるんだ。文字が読めて計算が出来れば孤児院を出た後に良い仕事に衝けるかも知れない。
 ソフィアお姉様から貰った予算で子供達が勉強出来る様にしよう!
 そう思いついた私は、サラとロデリックに帰りに文具を取り扱う商会に寄って貰う様に頼むのだった。
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

嘘からこうして婚約破棄は成された

桜梅花 空木
恋愛
よくある婚約破棄物です

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~

プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。 ※完結済。

堕とされた悪役令嬢

芹澤©️
恋愛
「アーリア・メリル・テレネスティ。今日を持って貴様との婚約は破棄する。今迄のレイラ・コーストへの数々の嫌がらせ、脅迫はいくら公爵令嬢と言えども見過ごす事は出来ない。」 学園の恒例行事、夏の舞踏会場の真ん中で、婚約者である筈の第二王子殿下に、そう宣言されたアーリア様。私は王子の護衛に阻まれ、彼女を庇う事が出来なかった。