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ここはどこ?
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苦しい。息ができない。もがいてももがいても体が沈んでいく。
誰か、誰か助けて……!
そう思った途端、一気に意識が浮上した。
ひゅっと喉が鳴って目を開けると、全然見覚えのない景色だった。
何、ベッド?
もふもふと布団を触ってみると、とても高級な羽毛布団のような手触りだった。
視線をあげてみるが、四方をカーテンが覆っていてベッドの外が見えない。
もしかして天蓋付きのベッド? そんなのうちにあるはずがないよね?
私は今どこにいるの?
とりあえずベッドから下りてみようとごそごそして気が付いた。
なんか、なんだろう、体に違和感が……。
座ったまま自分の体を見下ろしてみる。
手触りのいい高そうなかわいいワンピース。というか、ネグリジェ。
これも変だけどそうじゃない。
ペタペタとお腹やら腕やらを触ってみる。
ん? なんか、もともと貧相だった胸が更に貧相になっているような……。
その時、さら、と髪が肩口からこぼれた。
あれ、私こんなに髪長かったっけ? って、何これ。
視界に入ったのは明るい茶色の髪だった。
いや、そんなわけないじゃん、私の髪はお母さん譲りの真っ黒な髪だよ。
誰かにウィッグでもかぶせられたのかな。
でも、なんで?
そう思って、ウィッグを外そうと無造作に髪を引っ張った時だった。
「いたっ……!」
頭皮に痛みが走った。
「え、いや、ちょっと待ってよ」
表情が強張っているのが分かる。
こういう時どんな顔をしたらいいのか分からない。
あらためて自分の手を見てみて、ようやく気が付いた。
明らかに小さい。まるで小学生のような手。少なくとも高校生の手ではない。
「待って、どういうこと……」
頭が混乱して、状況が飲み込めない。
私は学校の帰り道で池に落ちたはずだ。そして気が付いたらここにいた。
意味が分からない。
その時、手に固くて冷たい何かが触れた。
反射的にそれが何なのかを確認しようと視線を下げる。
「あ、スマホ」
私のスマホがあった。とりあえずお母さんにでも電話してみようかな。
そう思っていつも通りスマホを持つが、一向に画面が明るくならない。
なんで? 池に落ちた時に壊れた?
「嘘でしょ……」
がっくりと肩を落としたその時だった。
ベッドの向こう側でドアが開く音がした。次いで誰かの足音が聞こえる。
私はとっさにスマホを枕の下に突っ込んだ。
「エレナ様、お目覚めですか?」
若い女の人の声が聞こえて、カーテンがそっとめくられる。
エレナ様? なんで私様付けで呼ばれているの? 何、本当にどういう状況?
訳が分からない。とりあえず私はカーテンをめくった女の人を眺めてみた。
すごい美人。目つきはきりっとしていてきつそうに見えるけど声がすごく優しい。
年齢は二十歳前くらいだろうか。
そしてメイド服を着ている。スカート丈が足首程まである上品なメイド服。
何、メイドさん? メイドさんがいるって何。私は今どこにいるんだろう。
「エレナ様? お体の調子はいかがですか?」
何も喋らない私をメイドさんは心配そうにのぞき込んでくる。
「あ、はい、大丈夫です」
声が裏返ったことに対してか、私の挙動不審な態度へか、メイドさんが眉をひそめた。
綺麗な人はどんな表情をしても綺麗だな。
なんてどうでもいいことを考えんがら、尋ねる。
「あの、あなたは……?」
メイドさんはまるでおかしなものを見るような目で私を見た。
「昨年からエレナ様にお仕えしております、アリアですが」
なるほど、去年から。このアリアさんが言う「エレナ様」はもちろん私じゃない。
「じゃあ私は?」
私が自分を指さしてそう聞くと、アリアさんはため息をついて答えてくれた。
「このフィオーレ家のご令嬢、エレナ・フィオーレ様です」
ふむ、と腕を組んで頷く。
やっぱり西野愛玲奈ではなかったか。もうすでに分かり切っていたことではあるので、そこまでの衝撃はない。
「ちなみに何歳でしょう?」
「八歳です」
アリアさんは怪訝そうな顔をしながら私の顔を覗き込んだ。
「どうしました? 頭でも打ちました? それとも熱があるのですか?」
近い、近いよ!
整った顔が至近距離にあり、緊張とよく分からない恥ずかしさで顔が熱くなってくる。
「大変、お顔が真っ赤ですよ。やっぱり熱があるんですね。春とはいえまだ涼しい日が続いております。こんな時期に池に落ちるなんて熱が出て当然ですよ」
そりゃ池に落ちたら風邪をひいて当然だ。
ふむふむ、と頷いて、ハッとした。
池に落ちた? それは私じゃないの? このエレナも落ちたの?
「あの、アリアさん」
「アリアで結構です」
池に落ちたことを詳しく聞こうと声をかけると、すごい力で肩を押され、再びベッドに体が沈んだ。
「お喋りはもうおしまいです。今は温かくして体を休めてください。お医者様の手配をしておきます。では、何かあったらベルを鳴らしてくださいね」
アリアはそれだけ言うと、私の返事を聞かずに部屋から出て行ってしまった。
シンとした部屋で私はふかふかの布団に埋もれて考える。
エレナ・フィオーレって名前、なんか聞き覚えがあるんだよね。
つい最近聞いた覚えが……そうだ、あのゲームの登場人物だ。
自分と同じ名前だから覚えていた。
私の好きな乙女ゲームの登場人物。
ってことは、私、乙女ゲームの世界に転生したってこと!?
誰か、誰か助けて……!
そう思った途端、一気に意識が浮上した。
ひゅっと喉が鳴って目を開けると、全然見覚えのない景色だった。
何、ベッド?
もふもふと布団を触ってみると、とても高級な羽毛布団のような手触りだった。
視線をあげてみるが、四方をカーテンが覆っていてベッドの外が見えない。
もしかして天蓋付きのベッド? そんなのうちにあるはずがないよね?
私は今どこにいるの?
とりあえずベッドから下りてみようとごそごそして気が付いた。
なんか、なんだろう、体に違和感が……。
座ったまま自分の体を見下ろしてみる。
手触りのいい高そうなかわいいワンピース。というか、ネグリジェ。
これも変だけどそうじゃない。
ペタペタとお腹やら腕やらを触ってみる。
ん? なんか、もともと貧相だった胸が更に貧相になっているような……。
その時、さら、と髪が肩口からこぼれた。
あれ、私こんなに髪長かったっけ? って、何これ。
視界に入ったのは明るい茶色の髪だった。
いや、そんなわけないじゃん、私の髪はお母さん譲りの真っ黒な髪だよ。
誰かにウィッグでもかぶせられたのかな。
でも、なんで?
そう思って、ウィッグを外そうと無造作に髪を引っ張った時だった。
「いたっ……!」
頭皮に痛みが走った。
「え、いや、ちょっと待ってよ」
表情が強張っているのが分かる。
こういう時どんな顔をしたらいいのか分からない。
あらためて自分の手を見てみて、ようやく気が付いた。
明らかに小さい。まるで小学生のような手。少なくとも高校生の手ではない。
「待って、どういうこと……」
頭が混乱して、状況が飲み込めない。
私は学校の帰り道で池に落ちたはずだ。そして気が付いたらここにいた。
意味が分からない。
その時、手に固くて冷たい何かが触れた。
反射的にそれが何なのかを確認しようと視線を下げる。
「あ、スマホ」
私のスマホがあった。とりあえずお母さんにでも電話してみようかな。
そう思っていつも通りスマホを持つが、一向に画面が明るくならない。
なんで? 池に落ちた時に壊れた?
「嘘でしょ……」
がっくりと肩を落としたその時だった。
ベッドの向こう側でドアが開く音がした。次いで誰かの足音が聞こえる。
私はとっさにスマホを枕の下に突っ込んだ。
「エレナ様、お目覚めですか?」
若い女の人の声が聞こえて、カーテンがそっとめくられる。
エレナ様? なんで私様付けで呼ばれているの? 何、本当にどういう状況?
訳が分からない。とりあえず私はカーテンをめくった女の人を眺めてみた。
すごい美人。目つきはきりっとしていてきつそうに見えるけど声がすごく優しい。
年齢は二十歳前くらいだろうか。
そしてメイド服を着ている。スカート丈が足首程まである上品なメイド服。
何、メイドさん? メイドさんがいるって何。私は今どこにいるんだろう。
「エレナ様? お体の調子はいかがですか?」
何も喋らない私をメイドさんは心配そうにのぞき込んでくる。
「あ、はい、大丈夫です」
声が裏返ったことに対してか、私の挙動不審な態度へか、メイドさんが眉をひそめた。
綺麗な人はどんな表情をしても綺麗だな。
なんてどうでもいいことを考えんがら、尋ねる。
「あの、あなたは……?」
メイドさんはまるでおかしなものを見るような目で私を見た。
「昨年からエレナ様にお仕えしております、アリアですが」
なるほど、去年から。このアリアさんが言う「エレナ様」はもちろん私じゃない。
「じゃあ私は?」
私が自分を指さしてそう聞くと、アリアさんはため息をついて答えてくれた。
「このフィオーレ家のご令嬢、エレナ・フィオーレ様です」
ふむ、と腕を組んで頷く。
やっぱり西野愛玲奈ではなかったか。もうすでに分かり切っていたことではあるので、そこまでの衝撃はない。
「ちなみに何歳でしょう?」
「八歳です」
アリアさんは怪訝そうな顔をしながら私の顔を覗き込んだ。
「どうしました? 頭でも打ちました? それとも熱があるのですか?」
近い、近いよ!
整った顔が至近距離にあり、緊張とよく分からない恥ずかしさで顔が熱くなってくる。
「大変、お顔が真っ赤ですよ。やっぱり熱があるんですね。春とはいえまだ涼しい日が続いております。こんな時期に池に落ちるなんて熱が出て当然ですよ」
そりゃ池に落ちたら風邪をひいて当然だ。
ふむふむ、と頷いて、ハッとした。
池に落ちた? それは私じゃないの? このエレナも落ちたの?
「あの、アリアさん」
「アリアで結構です」
池に落ちたことを詳しく聞こうと声をかけると、すごい力で肩を押され、再びベッドに体が沈んだ。
「お喋りはもうおしまいです。今は温かくして体を休めてください。お医者様の手配をしておきます。では、何かあったらベルを鳴らしてくださいね」
アリアはそれだけ言うと、私の返事を聞かずに部屋から出て行ってしまった。
シンとした部屋で私はふかふかの布団に埋もれて考える。
エレナ・フィオーレって名前、なんか聞き覚えがあるんだよね。
つい最近聞いた覚えが……そうだ、あのゲームの登場人物だ。
自分と同じ名前だから覚えていた。
私の好きな乙女ゲームの登場人物。
ってことは、私、乙女ゲームの世界に転生したってこと!?
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